日本共産党は10月1日、「消費税減税・廃止を求める、新たなたたかいをよびかけます」を発表しました。それは消費税を5%に引き下げるという主張で、野党間の合意を得るための個別の協議を開始しています。
消費税を5%に引き下げる効果については、京都大学の藤井聡教授も力説しているところです。
しんぶん赤旗が、赤旗編集局などに寄せられている疑問・質問に答える連載を始めました。6回連載の予定ということです。
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消費税減税・廃止へ 疑問に答えます(1)
しんぶん赤旗 2019年10月28日
消費税が10%に引き上げられた10月1日、日本共産党は間髪を入れずに「消費税減税・廃止を求める、新たなたたかいをよびかけます」を発表しました。赤旗編集局などに寄せられている疑問・質問に答えます。(6回連載の予定)
どうしていま消費税減税なの?
5%で景気にインパクト
日本共産党が消費税5%への緊急減税を掲げているのは、安倍晋三政権が2014年に強行した8%への消費税率引き上げが日本経済と国民の暮らしに耐え難い打撃を与えたからです。
安倍首相は8%への増税前、景気への影響は「ワンショットだ」と一時的なものとしていましたが、消費不況は5年半たった今でも深刻です。実質消費支出は増税前より年20万円も落ち込み、実質賃金も年15万円も落ち込みました。8日の衆院本会議で日本共産党の志位和夫委員長は「『一時的』どころか、長期に渡る消費不況が今に至るも続いている」と迫りました。安倍首相は「景気回復にも遅れが見られた」と認めざるを得ませんでした。
9月の日銀短観は大企業製造業の景気判断が3期連続で悪化し、6年ぶりの低水準。8月の景気動向指数(内閣府)は基調判断を再び「悪化」に下方修正しました。「悪化」は基調判断のうち最も下の区分です。
グラフ:消費者態度指数の前月比増減
消費者心理の明るさを示す消費者態度指数(内閣府)は9月、12カ月連続で悪化し、過去最悪となりました。景気悪化が鮮明なのに、10%への消費税増税を強行したことは無謀の極みであり、さらなる景気悪化は必至です。政府は「十二分な景気対策」を行っているとしますが、一部の店舗と消費者しか利用できない「ポイント還元」は税の公正さを損ない、現場にも混乱をもたらしています。
同時に所得の低い者ほど負担が重くなる消費税を増税した結果、貧困と格差はさらに深刻になっています。いま、消費税の減税を打ち出すことは、貧困と格差問題の解決方向を示すとともに、インパクトのある景気対策として消費者心理をあたため、日本経済の低迷を打開する力になります。
共産党は「増税反対」だったのでは?
導入以来一貫して廃止要求
日本共産党は、税率3%で消費税導入が強行されたその日(1989年4月1日)から、一貫してこの悪税の廃止を求めてきた政党です。
橋本政権下で強行された3%から5%への増税(97年4月)、安倍政権下での5%から8%への増税(2014年4月)で日本共産党は、その暴挙を厳しく糾弾。同時に、「消費税をきっぱり廃止する運動」(97年4月1日の党中央委員会声明)をよびかけ、「応能負担の原則」に立った税制改革、国民の所得を増やす経済改革で「消費税を廃止する展望も開けてくる」(14年4月1日の党声明)という立場を表明してきました。この間の国政選挙政策でも「将来の消費税廃止」を一貫して掲げてきています。
一方、消費税導入から31年間に歴代政権は「財源は消費税で」と言って常に増税をたくらんできました。そのもとで消費税増税阻止が当面の政治課題となったため、日本共産党は10%増税が強行(10月1日)される直前まで増税反対の旗を高く掲げてたたかってきました。今回10%増税の強行という事態を受け、「消費税廃止」を目標としつつ、緊急要求として「消費税を5%に減税し、長期にわたる経済低迷を打開する」新たなたたかいをよびかけたものです。
税理士で立正大学法学部客員教授の浦野広明さんは本紙2日付で「この31年、消費税導入や増税に反対する運動が続けられてきました。そのたたかいを踏まえたのがこのよびかけだと思います」と語っています。
政府は「社会保障のため」と言うけど?
真っ赤なウソ。改悪の連続
消費税が導入されてからの31年間、社会保障制度はよくなるどころか、改悪に次ぐ改悪の連続でした。
厚生年金の支給開始年齢は60歳から65歳に引き上げられました。年金支給額を毎年削る仕組みである「マクロ経済スライド」が導入され、老後の不安は増すばかりではないでしょうか。
医療もそうです。消費税導入前1割だったサラリーマン本人の医療費窓口負担は3割へと3倍になりました。国民健康保険の保険料(税)は1・6倍へ急増です。そのうえ安倍政権は75歳以上の患者負担を原則2割に引き上げることを狙っているのです。
介護では2000年に新たな保険制度がつくられましたが、保険料がどんどん重くなる一方で、給付は縮小されてきました。安倍政権はさらに、要介護1~2の人への生活援助なども保険給付から外そうとしています。
消費税の導入以来、一貫して口実とされた「財政再建」はどうだったでしょうか。1989年の導入時に161兆円だった公債残高は、97年の5%への増税時には258兆円、8%の2014年には774兆円、そして19年には897兆円と歯止めを失ったように増え続けています。「財政再建」どころか、財政規律を弛緩させ、「財政破綻」を招くのが消費税です。
消費税10%増税の強行とあわせて安倍政権は「高等教育の無償化を実現した」と宣伝しています。ところが、高等教育の修学支援制度と引き換えに国立大学の授業料減免対象者が減らされる事態が起きています。
消費税増税の“正当化”で持ち出されている「全世代型社会保障」は、若者から高齢者まですべての世代に負担増・給付減をもたらすものに他なりません。