東京藝術大学美術学部・音楽学部・大学院教員有志は、文化庁による「あいちトリエンナーレ2019」への補助金交付の取り消しを深く憂慮し、その決定に強く抗議する声明を出しました。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
文化庁による「あいちトリエンナーレ2019」補助金交付取り消しに対する抗議声明
文部科学大臣 萩生田光一殿
文化庁長官 宮田亮平殿
東京藝術大学美術学部・音楽学部・大学院教員有志は、今回の文化庁による「あいちトリエンナーレ2019」への補助金交付の取り消しを深く憂慮し、その決定に強く抗議する。補助金交付取り消しの理由として「展示会場の安全や事業の円滑な運営を脅かすような重大な事実を認識していたにもかかわらず、それらの事実を申告することなく採択の決定通知を受領した」ことが挙げられているが、非難されるべきは「安全や円滑な運営」の実現を不可能にした脅迫等の行為であり、主催者側を罰するかのような今回の決定は「文化芸術の『多様な価値』を生かして、未来をつくる」ことを「文化芸術推進基本計画」の柱として掲げている文化庁の理念に大きく反するものである。
そもそも「あいちトリエンナーレ2019」への補助金交付は、有識者・専門家の審査を経て正式に文化庁により採択された。その取り消しは、国内のみならず「あいちトリエンナーレ2019」の行く末を注視していた海外のアーティストや芸術関係者、諸機関にとって、政府機関が特定の芸術表現の排除を意図したように映るだろう。開かれた芸術創造・実践・研究を目指し、グローバルに活躍する芸術家・研究者の育成を志す私たち教員一同は、今回の決定が、日本における芸術文化創造への評価を著しく貶めることに強い危惧を抱いている。
芸術文化における多様な価値を尊重し、自由な表現を希求する東京藝術大学の教員として、表現の萎縮につながりかねない今回の決定に断固として反対し、撤回を求める。
2019年10月3日
東京藝術大学教員有志一同
(計42名 2019年10月3日現在)
(氏名 専門 は省略)