2019年10月23日水曜日

無責任の横行する行政 / 理解に苦しむ教育委の在り方

 園児を殴ってけがを負わせたとして、福岡県警は21日、福岡県宗像市の私立認可保育所「日の里西保育園」の清原こづえ副園長傷害容疑で逮捕しました。清原容疑者が副園長になったのは11で、園長の娘として実質的に同保育所の運営を仕切っていました。同保育所では途中退園する園児も多く、10年以降、60人以上の職員が退職しています。
 宗像市には2016年度以降副園長から暴力を受けたなどの苦情・相談が計11件寄せられ、県と市が指導していたということです
 
 副園長は保育士として不適格者に見えますが、それにもかかわらず8年間もの間副園長として居続け、この事態に至ったのでした。管理監督する立場の役所が的確な指導が出来ないのであれば園児(や保護者)は救われません。
 
「日々雑感」氏は、この件の他にも兵庫県の教師に対するイジメでも以前から教育委員会はそうした事実を承知していたことや、児童相談所が適切に虐待時に対応して来なかったために乳幼児が殺害される事件相次いでいるなど、指導し取り締まるべき立場の行政機関が適切な措置を講じて来なかったという事件が頻発していることに対して、「なぜこうした行政に設置された組織と権能が適宜機能していない事件が目立つのだろうか」と述べ、「適切な保育が行われていないという指摘が行政に11件もあったのに対し、行政が適切な指導と措置講じられなかったという事実を重く受け止めなければならない」と結んでいます
 
 一方教育委員会は、学校や教員たちの在り方に対してより直接的な監督や指導の権限を持っているのではないかと思われますが、学校に重大な問題があっても一向に納得できる対応をしていない事例が山ほどあります。
 なぜそんなになっているのか不思議なことですが、教育委員には校長経験者などが就くようなので、もしも校長の経歴に傷がつかないように庇い合いが行われているのであれば大変な問題です。
 
 千葉県流山市の市立小中学校で生徒いじめ問題について、市のいじめ対策調査会会長だった人が21日、文科省で記者会見しひどいけがを負っても重大事態と認めず、認定後も放置するなど法令違反があると指摘し「神戸市や埼玉県川口市などでも教委の不適切な対応が続出している。法令を守らない教委が一定数あることを前提に法や制度を考える必要がある」と訴えました。
 要するに現場で深刻な事態が起きていても、教育委がそれ自体を認めないということで酷い話です。詳細は東京新聞の記事をご覧ください。
 二つの記事を紹介します。
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無責任の横行する行政
日々雑感 2019/10/22
 園児を殴ってけがを負わせたとして、福岡県警は21日、同県宗像市の私立認可保育所「日の里西保育園」の副園長清原こづえ容疑者(40)(福岡市中央区白金1)を傷害容疑で逮捕した。
 宗像市には2016年度以降、清原容疑者に暴力を受けたなどの苦情・相談が計11件寄せられ、県と市が指導していた。同園では職員の退職も相次いでおり、県警は園の運営実態を調べている。
 
 発表では、清原容疑者は6月26日、園内で、あおむけに体を反らせる「ブリッジ」をしていた男児(6)の顔面を手で殴り、打撲など全治2週間のけがを負わせた疑い。「ブリッジの途中に泣いていたので、励ますために両頬に触れただけ」と容疑を否認しているという。
 清原容疑者は男児の母親に対し、「どこかにぶつけたかもしれない」と説明。男児が母親に「ブリッジ歩きの時に、他の人より少し遅れたからたたかれた」と話したため、県警宗像署に被害届を出した。
 
 宗像市の聞き取りに対しても、清原容疑者は「手が当たったかもしれない」と意図的な暴力を否定したが、市は7月上旬、園長を務める清原容疑者の母親を通じて口頭で指導した。
 市にはその後も、別の保護者から「(子供が)肩と頭を押さえられて口の中を切った」との苦情があり、清原容疑者も行為を認めたため、市と県は9月上旬に再発防止を指導したという。
 県警などによると、清原容疑者は11年に副園長となり、実質的に園を運営。途中退園する園児も多かったという。また、10年以降、60人以上の職員が退職していた
以上「読売新聞」より引用)
 
 園児を殴ってけがを負わせたとして、福岡県警は21日、同県宗像市の私立認可保育所「日の里西保育園」の副園長清原こづえ容疑者(40)(福岡市中央区白金1)を傷害容疑で逮捕したという。以前から清原容疑者に暴力を受けたなどの苦情・相談が計11件寄せられ、県と市が指導していたというから言語道断だ
 
 こうした指導し取り締まるべき立場の行政機関が適切な措置を講じて来なかった、という「事件」が頻発しているのはなぜだろうか。兵庫県の複数の教師による教師に対するイジメでも以前から教育委員会はそうした事実を承知していたという。
 児相が適切に虐待時に対応して来なかったために乳幼児が殺害される事件も相次いでいる。なぜこうした行政に設置された組織と権能が適宜機能していない事件が目立つのだろうか。
 
 確かに上記引用記事では保育園の設置管理者や他の保育士たちはどうしていたのか、という疑問がある。仲間の不適切な保育実態を見逃していたのか、あるいは副園長という立場に遠慮して指摘できなかったのだろうか。
 あらためて指摘するまでもなく、保育園の主人公は乳幼児だ。彼らがいなければ保育園そのものが不要だ。その主人公に対して、適切な「保育」を行うために様々な環境整備を行い、保育士という有資格者を配置して保育に当たっている、はずだ。その「はずだ」という点を実行ならしめるために行政に対応すべき部署が置かれている。そこにも税で給与を支払われる公務員が貼りついている。
 
 こうした二重三重の「安全装置」があるにも拘らず、適切な保育が行われていなかった。「適切な保育が行われていない」という指摘が行政に11件もあったというが、それに対して適切な指導と措置が講じられなかったという事実を重く受け止めなければならない。まさか無能揃いというわけでもないだろう。
 
 清原容疑者は11年に副園長となり、実質的に園を運営。途中退園する園児も多かったという。また、10年以降、60人以上の職員が退職していたという。それこそ「日の里西保育園」で非常事態が起きている、という証ではないだろうか。
 そうした「警報」に対しても市の担当部署無反応だったとしたら保育園にどもを預ける親は何を頼れば良いのか。市当局だけはない、市議会議員たちは何を見ていたのか。すべてを「任せっぱなし」にして責任から逃れるのを無責任という。
 
 
流山市教委いじめ対応 前調査会会長、異例の批判
東京新聞 2019年10月22日
 千葉県流山市の市立小中学校で元男子生徒が遭ったいじめに対し、市教委の不適切な対応が続いているとして、五月まで第三者でつくる市いじめ対策調査会会長だった藤川大祐・千葉大教育学部教授が二十一日、文部科学省で記者会見した。ひどいけがを負っても重大事態と認めず、認定後も放置するなど法令違反があると指摘した
 
 藤川さんは会見で「神戸市や埼玉県川口市などでも教委の不適切な対応が続出している。法令を守らない教委が一定数あることを前提に法や制度を考える必要がある」と訴えた。
 藤川さんによると、元男子生徒は小学六年だった二〇一四年、ほかの児童からの暴力でひどいけがをしたが、市教委は重大事態と認定しなかった。中学進学後もクラスや部活で暴力や仲間外れにされるなどのいじめに遭い、自殺未遂もし、長期の不登校になった
 
 市教委は一七年四月、中学でのいじめを重大事態と認めたが、調査会に調査を依頼しなかった。藤川さんは八月の会議で、保護者から市教委と調査会宛てに七月に届いた手紙を見せられ、市教委が四カ月も放置したことを知った。いじめ防止対策推進法は、身体への重大な被害や三十日以上の不登校があれば重大事態として速やかに調査するよう求めている。
 調査会は同年九月から調査を始めたが、被害者側と関係がこじれた市教委の担当者が連絡を続け、調査が妨げられたと主張。今年五月、職責を果たせないとして全委員七人が再任を拒否して退任した
 
 藤川さんが会長の間、調査会は二回、中間報告書を市教委に提出し、再発防止策も盛り込み、早期の対応を求めた。退任後、市教委は最終報告が出るまで対応しない方針だと知り、記者会見で訴えることにした。
 藤川さんによると、元男子生徒は今も家からあまり出られない状態。保護者はコメントを寄せ「子どもは深刻な人間不信にある。子どもたちのために働くはずの教育委員会が、法令を守らず、子どもを裏切り、苦しめている実態があることを知ってほしい」と訴えた。
 流山市教委は取材に「最終報告が出るまでコメントできない」と答えた。(柏崎智子)