2019年10月15日火曜日

神戸市で教員いじめ 信じがたい劣化 何故放置されたのか

 神戸市立東須磨小学校での、3040代の男女の教員4人による20代男性教員へのいじめはあまりにも度が過ぎていて、常人のすることとは思えません。
 ミミズ腫れが出来るほど尻を叩く、ビール瓶で殴る、熱湯の入ったやかんを顔におしつける、羽交い絞めにして激辛カレーを食べさせる、そのカレーの汁を目に擦りこむ、等々の暴力行為はどれ一つとっても暴行致傷の傷害罪に当たります。
 それに加えて4人は「ボケ」「カス」といった暴言を浴びせ、別の女性教員に性的メッセージを送ることを強要し、40代の女性教員は生徒に「反抗して学級をつぶしたれ」とけしかけるなど、陰湿な精神的なはずかしめ(辱め)やいじめも行いました。
 被害教員9月から出勤できなくなったのはあまりにも当然でした。
 
 学校(校長)の対応も全く理解できません。前校長(今春異動)は被害教員が「大丈夫です」と答えたため詳しい調査をしなかったといい、現在の校長も6月同僚教員からの報告で被害教員が尻をたたかれてみみず腫れができたことを把握していましたが、市教委にはいじめの詳細を伝えませんでした。
 市教委が詳しくいじめを確認したのは男性教員の家族が9月に訴えからでした。
 
 神戸では校長同士で協議し、個別の教員の人事異動を決められるということで、自分が異動するときには手勢を連れて移ることも出来るということです。そんなことからその「手勢」が権力を振るうというのであれば、そうしたシステムは即刻廃止すべきでしょう。
 
 神戸市長は市教委が学校の実態を把握できていない点「統治能力の欠如」と批判し市教委に任せず市が調査を主導することにしました。妥当なことに思われます。
 この加害行為は「教育」以前の問題なので、市は警察の力も借りて徹底的に解明し根絶すべきです。
 
 三つの社説を紹介します。
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社説 【教員のいじめ】子どもを指導できない
高知新聞 2019.10.12
 あろうことか、いじめがないように子どもを指導する立場の教員が同僚の教員に暴言を浴びせ、暴力的な行為までしていた。
 神戸市の市立東須磨小学校で、30~40代の男女の教員4人が20代の男性教員をいじめていた問題だ。
 市教委によると、男性教員には昨年以降、「ボケ」「カス」といった暴言や、コピー用紙の芯で尻をたたくなどの暴力があった。別の女性教員に性的メッセージを送るよう強要したり、激辛カレーを食べさせられたりするいじめがあったという。
 ほかにもビール瓶で殴られたり、熱湯の入ったやかんを顔につけられたりする被害を関係者は指摘している。こうなれば、いじめやセクハラですむ話ではない。暴行事件になるかもしれない大きな問題だ。
 
 市教委によると男性教員は9月から欠勤し、加害の4人は授業から外され、事実上の謹慎になっている。
 この4人はいずれもリーダー的な存在で、中にはいじめ対応担当で児童同士のトラブルの仲裁に当たっていた教員がいたという。
 こんな教員が子どもを指導していた―。同校の保護者でなくても耳を疑うが、心配なのは子どもたちの心への影響だ。激辛カレーを食べさせられる様子を撮影した動画がテレビなどで流れている。
 身近な存在の先生が、別の先生をいじめていた。子どもたちの心に影響はないだろうか。精神的ケアが必要になるかもしれない。
 
 理解できないのは学校の対応だ。
 見かねた同僚教員が今年2月、前校長(今春異動)に相談したものの、男性教員が「大丈夫です」と答えたため詳しい調査をしなかったという
 いじめられている側は、聞き取りに対して「何もない」と返事をするケースがよくある。いじめのエスカレートを心配してのことだ。
 教育者として、この傾向を前校長が知らなかったはずがない。加害者側を含めた詳しい聞き取りをなぜしなかったのだろう。「教員のいじめ」という不祥事を隠蔽(いんぺい)する意図はなかったのか。
 
 現在の校長も6月、同僚教員からの報告で男性教員が尻をたたかれてみみず腫れができたことを把握していた。しかし、市教委にはいじめの詳細を伝えていない
 現校長は昨春、教頭として同校に赴任した。加害教員の中には職員室で高圧的な態度を取るなど問題になったケースがあった。教員の人間関係に十分目を配っていたのか。前校長を含めて管理職の責任は重い。
 現校長は会見で隠蔽の意図を否定した。結局、市教委が詳しくいじめを確認したのは男性教員の家族が9月に訴えてからだという。
 神戸市教委では、3年前に自殺した市立中生のいじめの調査メモを校長らが隠蔽するなどした問題が起きている。いじめへの現場の注意力は十分だろうか。小さなSOSに気づいているのか。すべての教育関係者が気を引き締める必要がある。
 
 
社説  神戸市で教員いじめ 信じがたい劣化を憂える
毎日新聞 2019年10月13日
 学校や教員への信頼を揺るがす、信じがたい不祥事である。 
 神戸市の公立小学校で複数の教員が集団で若い教員に悪質ないじめを繰り返していた。子供のいじめ問題が深刻な中、根絶の先頭に立つべき教員による犯罪的な行為だ。 
 30代の男性教員3人と40代の女性教員によって、20代の男性教員が標的にされた。羽交い締めにされ激辛カレーを無理やり食べさせられ、汁を目にこすりつけられた。同僚女性に性的なメッセージを送信させられる精神的な辱めも受けていた
 被害教員は自分が担当する児童に対し女性教員が「反抗して学級をつぶしたれ」とけしかけたと証言する。子供まで「いじめ」に巻き込もうとしていたなら言語道断だ。 
 
 なぜこんなことが起き、しかも対応が遅れてしまったのか。経緯を徹底調査し、いじめに加担した教員を厳正に処分すべきなのは当然だ。 
 被害教員は9月から出勤できなくなった。家族が市教委にパワハラの被害を訴え、初めて実態の一部が明らかになった。 
 いじめは前校長時代の少なくとも昨年からあり、今年2月と7月に指導が行われたが、市教委には報告されなかった。神戸では校長同士で協議し、個別の教員の人事異動を決めることができる方式が取られている。こうした人事体系が閉鎖的な環境を助長した可能性もある。 
 
 市教委の対応にも疑問がある。いじめに加担していたとされる男性教員は過去に児童を押し骨折させる事故を起こしていたが、口頭で注意しただけだった。 
 市長は市教委が学校の実態を把握できていない点も「統治能力の欠如」と批判した。市教委に任せず市が調査を主導するのはやむを得まい。 
 外部の目が届きにくい職員室で若手教員が孤立する恐れはどこの学校でもある。公立学校で精神疾患による病気休職は5000人前後に上る。教職員間のトラブルによるものもあるのではないか。 
 学校現場は近年、教員の過重負担が指摘されている。そうした中で教員の倫理と質が劣化し、底割れしそうになっているのではないか。他の学校でも教員によるいじめやパワハラがはびこっていないか、国や自治体は実態把握を急ぐべきだ。 
 
 
教員間のいじめ 放置された原因の解明を
信濃毎日新聞 2019年10月14日
 大人げないでは済まされない。
 神戸市立東須磨小学校の20代男性教諭が、先輩の同僚教諭4人からいじめを受け、9月から欠勤している。加害教諭の2人は校内のいじめ対策担当だった。深刻な事態だ。
 「いじめは駄目」と子どもたちを指導すべき先生の間で、なぜこんなことが起きるのか。市教委には、事実関係だけでなく背景も含めた全容解明を求めたい。
 
 市教委によると、男性教諭へのいじめは昨年から始まった。「ボケ」「カス」と暴言を浴びせる、コピー用紙の芯で尻をたたく、女性教員に性的メッセージを送るよう強要する…。羽交い締めにして激辛カレーを無理やり食べさせる行為は、動画に残している。逃げ回る男性教諭を見て大声を上げて笑う様子は、たちの悪いいじめっ子と変わらない
 4人は、同僚3人にも暴言やセクハラ行為をしていた。「自分がおもしろければ良かった」などと話している。教員としての資質に欠けているのではないか。
 
 学校としての対応はどうか。
 昨年の段階で、複数の教職員が職員室で暴言を見聞きしながら、黙認していた。加害者たちは学校運営の中心的な存在で言い出しづらかったという。今年2月、見かねた同僚が前校長に「いじりの度が過ぎる」と報告したが、前校長は後任に引き継がなかった。
 6月にも同僚から報告があり、男性教諭が尻をたたかれてみみず腫れができていることを、校長が把握している。市教委へは「教員間でトラブルがあった」としたが、詳細は伝えなかった。
 
 市教委がいじめを確認したのは9月だ。それも男性教諭の家族からの訴えで分かった。前校長への報告から半年以上がたつ。校長は「隠すつもりは一切なかった」としているが、7月初旬に加害教諭を指導した後も市教委に報告していない。問題を放置してきたと言わざるを得ない。
 小学校は、子どもたちが生き生きと学び、遊び、個性を育む場であるはずだ。それを支える先生たちにいじめがあることを子どもたちが知ったら、どう思うか。教育への影響は極めて大きい。
 男性教諭は警察に被害届を出している。市教委は、有識者を交えて問題を検討し、再発防止を図る方針だ。なぜ問題は放置されたのか、教員一人一人が事なかれ主義に陥っていなかったか。人と人が尊重し合う教育現場を取り戻すのなら、そこに目を向けた検討と対策がなければ意味がない。