2021年1月5日火曜日

05- 岡田晴恵氏 緊急事態宣言「遅い」/緊急事態創出した菅首相の責任重大(植草一秀氏)

  1日当たりの新規感染者数は東京、神奈川、千葉、埼玉の1都3県が全国の5割超を占め、曜日毎の新規感染者は連日過去最多を更新しつつあります。当然病床も逼迫し、東京都で確保した3500床8割の病床が埋まっています。

 菅首相は4日、首相官邸で年頭の記者会見に臨み、首都圏を対象に新型コロナ対策の特別措置法に基づく緊急事態宣言の再発令を検討すると表明しました。週内にも政府対策本部を開いて正式決定し、発令するということです。さすがに1/12からのGo To再開は否定せざるを得ませんでした。
 AIを用いたグーグルの感染予測1/02~1/29)によると、1日当たりの新規感染者数は1/14の8173人/日をピークに下降するとしています。それは緊急事態宣言を加味した結果と思われますが、その内容によってはそうならない可能性は十分にあります。
 そもそも市中感染率がここまで高まると、緊急事態宣言で自粛しても簡単には収まらないと見られています。日本では調査が行われていないため市中感染率がいくつなのか不明ですが、あるTV番組では首都圏は10%とも伝えていました。
 因みに年末7日間(12/25~12/31)の全国ベースの新規感染者数対PCR受診者数の比は16%で、第2波(7/26~8/1)の0.6%を大幅に超えています。感染率は第2波よりも大幅に上昇していると考えられます。

 白鴎大の岡田晴恵教授が4日放送の「羽鳥慎一モーニングショー」にリモート出演し「第波の時の緊急事態宣言は、春夏の気温がある時期に向かって市中感染率が低い時期に行ったのでストンと落ちた今は冬という環境的な条件としては非常に悪いところに向かって、かなり市中感染率が高い状況で出すわけですから、どれぐらい効果が上がるかというとそんなにきれいに落ちてこない11月に出せば良かった。(要旨)」と、政府の対応の遅れを指摘しました。報知新聞が報じました。
 また、植草一秀氏は「緊急事態創出した菅首相の責任重大」とするブログを出しました。
 4日の会見で菅首相は、東京都が国の新規感染者の半数を占めていると非難がましく述べて、緊急事態宣言の発令を検討すると述べました。しかしあたかも東京都に責任があるかのような言い方は大間違いで、この事態を生み出した全責任は挙げて菅政権にあります。
 経済を回すことは、政権などより国民自身が心から望んでいることであり、コロナを抑制しつつ経済を回す責任が政府にあったのでした。
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岡田晴恵教授、緊急事態宣言は今、発令しても「ちょっと遅い…11月に出せば良かった」
                            報知新聞 2021/01/04
 白鴎大の岡田晴恵教授が4日放送のテレビ朝日「羽鳥慎一モーニングショー」(月~金曜・午前8時)にリモート生出演した。
 番組では、今月2日に東京都など1都3県の知事が政府へ新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言を求めたことを報じた。この要請に西村康稔経済再生担当相は東京都の小池百合子知事らへ飲食店の営業時間を午後8時までに短縮することなどを求めたが、緊急事態宣言の発令には「専門家に判断をいただかないといけない」と慎重な姿勢を崩さなかった。
 岡田氏は「緊急事態宣言を出すこと自体は、ある一定の効果はあると思うんです」とした上で「ただ第一波の時の緊急事態宣言は、春夏の気温がある時期に向かって、しかも市中感染率が低い時期に行ったわけです。ですから、きれいにストンと落ちてきたわけです。ただ、今は冬という環境的な条件としては非常に悪いところに向かって、しかもかなり市中感染率が高い状況で出すわけですから、どれぐらい効果が上がるかというとそんなにきれいに落ちてこない、ちょっと時間がかかるだろうと考えられるわけです」と解説した。
 さらに緊急事態宣言について「市中感染率が低いうちに出すことがポイントですから、ちょっと遅いのかな、と。11月に出せば良かったのかな、と。もしくは、本当は原理原則を言えば、検査をしてちゃんと無症状を見つけて保護をして隔離をする、と。市中感染率を上げない状況で冬を迎えてワクチンを待つというのが本当だったんだろうなと思っております」とコメントしていた。


緊急事態創出した菅首相の責任重大
                 植草一秀の「知られざる真実」 2021年1月 4日
菅首相が記者会見を行い、首都圏の1都3県を対象に緊急事態宣言を発出する方針を示した。
1月9日午前零時に発出されるとの観測記事も流布されている。
緊急事態宣言発出と併せてGo Toトラベルの一時停止も延長される見通し。
菅内閣の誤誘導と優柔不断さが事態の悪化を招いている。
緊急事態宣言の最重要の機能は「メッセージ」。
感染拡大抑止に向けての強いスタンスを示すもの。
直接的効果よりもメッセージによる「アナウンス効果」が大きい。

重要なことは行動抑制である。
何よりも重要なことは無症状の感染者が感染を拡大させることを防ぐこと。
この目的を達成するには検査の拡充が必要不可欠。この点での方針転換は示されていない。
菅内閣はこれまで間違ったメッセージを発し続けてきた。
最大の誤りはGo Toの全面推進。
11月の3連休の前に感染拡大の傾向は鮮明に表れていた。この時点で感染抑止優先の方針を明示するべきだった。ところが、菅内閣は真逆の対応を示した。
わざわざ11月の3連休が終了するまで感染抑止のメッセージを示さなかった。
Go To推進方針を明示したのだ。
11月25日になって「勝負の3週間」としたが、「感染拡大推進の勝負の3週間」としか受け止められなかった。
10月1日からGo Toに東京が組み込まれた。
11月入り後、感染拡大傾向が鮮明になったが、Go Toにブレーキをかけることが抑制された。菅義偉首相がGo To推進に執着し続けたのだ。
大坂、札幌がGo Toの一時停止を始動させたが、これら地域を目的地とする旅行だけが停止された。
これら地域を出発地とする旅行は停止されなかった。
東京のGo Toが一時停止されたのは12月22日。
これも東京を目的地とする旅行だけで東京を出発地とする旅行は停止されなかった。
12月11日に菅首相はニコ動に出演し、Go To一時停止について、「まだ、そこは考えていない」と答えた。
菅首相がGo To全国一時停止を表明したのは3日後の12月14日。
しかし、この発表を行ったのち、菅首相は二階俊博自民党幹事長が主催した銀座のステーキ店での8人での忘年会に出席した。

5人以上での会食を控えることを国民に求めるなかで8人による忘年会に出席した。
Go Toの一時停止を表明したが、実施は2週間後だった。
一刻を争うときに2週間後の実施とは現実対応能力を失った腐敗官僚機構の対応だ。
その結果として、12月31日には東京都で1300人を超す新規陽性者数確認が生じた。
Go Toトラベルの推進は、都道府県をまたぐ人の移動を奨励するもの。
Go Toイートの推進は会食を奨励するもの。
いずれも、感染が収束した段階で実施すべきもの。
感染が拡大するなかで「旅行」や「会食」を奨励するメッセージが発出されてきた。
菅首相の8人での会食も「会食推進」の強烈なメッセージになった。
二階俊博氏に至っては、「マスクをとらないと食事できないじゃないですか」
と逆切れした上で、「会食を目的に出会っているんじゃない」と弁明を示した。
これが通用するなら、すべての国民が会食を実行して、同じ弁明を発することになるだろう。
首都圏の4知事が1月2日に緊急事態宣言の発出を要請したのだから、菅首相は1月2日、遅くとも1月3日には結論を示し、正月休み明けの1月4日には緊急事態宣言を始動させる迅速対応を示すべきだ。
1月4日に会見を開いて1月9日から実施というのも、あまりにもスピード感に欠ける。
感染拡大を危機的状況にまで拡大させた菅義偉首相の責任が重大だ。
            (以下は有料ブログのため非公開)