2021年1月17日日曜日

17- 「菅政権では国はメチャクチャ ~ 」(日刊ゲンダイ)

 7日に緊急事態宣言を再発令してから10日になりますが、その効果は勿論、収束に向かう予兆すらも見えません。菅首相は「必ず収束させる」と訴えましたがその具体策は首都圏の飲食店の営業時間短縮だけ、そんなことで新型コロナの感染が1ヵ月で収束するなどと国民の誰も思っていません。

 責任部署であるならより厳しい見方をすべきなのに、政府が無根拠の大甘な見方を示すようでは話になりません。
 そもそもこの感染爆発の主要な原因となった「Go To」は、官房長官時代の菅氏の肝いりの政策で、昨年の比較的早い時期に「フライング」で始めたものでした。それが菅政権になってからも、新型コロナの感染対策は皆無のままで「Go To」だけが強行されました。
 要するに菅氏からは「Go To」への思いだけは伝わりますが、肝心のコロナにどう対応しようというのかは一切見えてきません。きっと第1波の時のように「大したことがなく収まる」と踏んでいたのでしょう。
1年かけてコロナのことが分かった?」はずの菅首相のコロナ対策は「無定見」の一語に尽き、その実態は「泥縄式」「迷走」「小出しの修正」「その場しのぎ」「中途半端」と呼ぶに相応しいものです。政権の無策と失政の責任を転嫁された「飲食業」の方こそいい迷惑です。

 日刊ゲンダイが「菅政権では国はメチャクチャ ~ 」とする記事を出しました。
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<菅政権では国はメチャクチャ> 列島を覆う 未曽有の混乱 渦巻く怨嗟
                       日刊ゲンダイ 2021年1月15日
                      (記事集約サイト「阿修羅」より転載)
 政府が首都圏1都3県を対象に緊急事態宣言を再発令してから1週間が経ったが、その効果は見えない。街の人出は減らず、14日も全国で新たに6608人の新型コロナウイルス感染者が確認された。1カ月間の緊急事態宣言で収束に向かうなんて、もはや誰も思っていない
「当初、首都圏を対象に発令した際に、関西地域などは追加する状況にないと言っていたのに、それから1週間もしないうちに大阪、兵庫など7府県を追加するなど、相変わらず泥縄式の対応に終始している。これでは、政府の本気度も危機感も国民に伝わらないし、緊急事態宣言の効果も見込めません。インパール作戦を例に出すまでもなく、戦力の逐次投入は負け戦の典型です。まず、この感染拡大状況を首都圏の飲食店の営業時間短縮だけで乗り切れると最初に判断したことも解せません。こういう非常時には、政府は先の事態を予測して大きく網をかけ、包括的な対応をする必要がある。後手後手の小出し対応を続けていたら、感染拡大は収まらず、中途半端な緊急事態宣言がズルズル続いてしまいかねません」(法大名誉教授の五十嵐仁氏=政治学)
 それなのに菅首相は「仮定の話はしない」とか言ってるのだから、話にならないレベルだ。データに基づいて先を予測し有効な手だてを講じるどころか、楽観的な思い込みにしがみつき、経済を回すと言って「Go Toキャンペーン」に固執した結果、感染拡大は止まらず、目の前の惨状になす術なく傍観。無能ぶりを満天下にさらして、支持率下落にうろたえ、突き上げられると慌てて弥縫策を発表するという繰り返し。その迷走ぶりは目に余る

ホテル朝食の批判回避でミスリードか
 新型コロナ第3波の拡大を受け、菅政権は感染対策の“急所”として飲食店での会食に的を絞った。緊急事態宣言の発令にあたって「飲食店の午後8時までの営業時間短縮」と、「午後8時以降の不要不急の外出自粛」を要請したことは記憶に新しい。
 ところが、ここへきて微妙に修正を加えてきた。西村コロナ担当相は12日、「昼間のランチはリスクが低いということではない。昼間もできる限り、不要不急の外出自粛をお願いしたい」と言い出した。緊急事態宣言を出しても昼間の人出が減らず、感染拡大が止まらないことに焦ったのだろうが、まるで本来の意図をくみ取らない国民が悪いような言い方をする。いかにも姑息なやり方だ
「もちろん、ウイルスは夜行性ではないので、昼間の会食でも感染リスクがあることは国民も分かっているでしょう。しかし、政府がことさら『20時以降の自粛』を呼びかけたことが、ミスリードにつながったのは間違いない。朝と昼に国会近くのホテルで秘書官や有識者と会食するのが日課だった菅総理に配慮して、日中の会合が批判を受けないよう、当初はあえて昼間の自粛には触れなかったのではないかと勘ぐってしまいます」(自民党関係者)
 昨年末にステーキ会食で世論の猛批判を浴びたことがこたえたようで、菅は夜の会食を自粛。緊急事態宣言の発令後は、ホテル朝食も見送っている。それでストレスがたまっているという報道もあるが、冗談じゃない。多くの国民はずっと前から我慢を続けているし、毎朝、優雅にホテルで朝食をとる余裕もない。小出しの修正に振り回されるのはウンザリだ。
 さすがに、一方的に悪者にされた飲食業界からも反発の声が上がり始めている。
「きのう、またランチがどうのこうのと言われましてね。ふざけんなよと」
 こう言って怒りをあらわにしたのは、ファミリーレストラン「サイゼリヤ」の堀埜一成社長だ。13日に行われた決算会見の席上、政府の対応にかみついた。

持続化給付金や家賃支援給付金は打ち切りの非情
 サイゼリヤは、食事用マスクを開発したり、会計時の硬貨のやりとりを減らすためにメニュー価格を端数ゼロに改定したりとコロナ禍でも企業努力を続けてきた。なにより、「ミラノ風ドリア300円」「グラスワイン100円」などの価格設定が懐にやさしい庶民の味方だ。その社長が、「恐ろしいのが大手が潰れることなんですよ。中小だけじゃなくて、大手にも(支援を)広げてほしい。そうじゃないと、シャレにならないことが起こる」と怒りを爆発させていた。
 サイゼリヤは緊急事態宣言の発令で時短要請にも応じているが、実は、東京都内の店舗は協力金を受けられないのだという。東京都の場合、1日あたり6万円の協力金の支給対象は資本金5000万円以下、従業員100人以下の中小企業や個人事業主に限られ、大手飲食店チェーンには支給されない
 これには、「紅虎餃子房」などで知られる際コーポレーションや、「庄や」「やるき茶屋」なども展開する居酒屋チェーンの大庄らが都庁に乗り込み、支援の要望書を提出。中小企業も苦しいが、従業員の生活を守らなければならないのは、大手チェーンも同じだ。
 ファミレス「ロイヤルホスト」などを展開するロイヤルホールディングスの菊地唯夫会長も日経新聞(14日付)のインタビューで「大企業は体力があり雇用を維持できると思われているがそんなことはない。我が社も自己資本の約半分が昨年に吹き飛んだ。もう内部留保や金融支援で雇用を守れる段階を超えようとしている」と飲食業界の窮状を訴えていた。ロイヤルHDは今年末までに約90店を閉店し、正社員200人程度の希望退職も募集するという。

飲食店をターゲットに責任転嫁
 大手外食チェーン店が支援を訴えていることについて、14日の会見で聞かれた加藤官房長官は「緊急事態宣言の中でいろいろな措置が取りうるが、基本的には都道府県知事の判断だ」と、まるで他人事だった。
菅政権は後手後手なだけでなく、その場しのぎの中途半端な対応を繰り出して混乱を招いているだけに見える。緊急事態宣言で飲食店の取引先も打撃を受けると突き上げられたら、中堅・中小企業に40万円、個人事業主に20万円を上限とする一時金を支給すると急に言い出しましたが、基準が曖昧です。飲食店に関わる業種は多いのに、内容がきっちり詰められていないから、あちこちで不満を呼びかねない。その一方、持続化給付金や家賃支援給付金制度の申請は15日で締め切るというのだから、やっていることに一貫性がないのです。冷静に対策を考えるチームもないのでしょうか。今まで何とか持ちこたえてきた事業者も、政府の対策に期待できない以上、廃業を決めるところが増加する可能性があります。そうなれば失業者も増える。これでは企業だけでなく、個人も悲鳴を上げて、怨嗟の声が渦巻きそうです」(経済評論家・斎藤満氏)

 帝国データバンクの調査では、新型コロナ関連の倒産は887件に上り、業種別では「飲食店」が139件で最多。今後、感染者数の減少が見られずに緊急事態宣言の期間が延長されれば、経済活動への悪影響は計り知れない。
「そもそも本当に飲食店が感染拡大の原因かも分かりません。無策で感染拡大を招いた政府の責任を回避するために、飲食店をターゲットにして責任転嫁し、一部に負担をかけている面は否めない。そういう場当たりをやっていれば感染拡大は止められず、医療崩壊を引き起こして経済も壊滅という最悪の事態を引き起こしかねません。菅首相は1カ月で収束させると言っていますが、こんなデタラメ対応で1カ月経っても効果がなければどうするつもりなのか。どうしようもないのではないですか。それを国民も感じているから、要請にも従わない。政治への信頼感は失われ、無政府状態に陥っています」(斎藤満氏=前出)
 菅政権でこの国はメチャクチャだ。しかし、現状はまだ序章。本当の地獄はこれからだ。1カ月後には未曽有の混乱が待ち構えている。