2021年1月18日月曜日

PCR費用対効果否定 厚労相の重罪(植草一秀氏)

 田村憲久厚労相は、閣外にいた頃にはテレビ朝日の「羽鳥慎一モーニングショー」に出演してPCR検査拡充の重要性を述べていました。
 それが1月14日のBSフジ番組で「検査はやればやるほどいいと私も思います。ただ税金で行う以上費用対効果の問題があるがそれはあまり良くない。米国は2億回ほど検査を行っているはずだが、あのような状況(要旨)と述べたということです。
 米国が検査数の多い割に感染者が減らずダントツの死亡者数になっているのは、国民皆保険制度がないため、低所得者の感染が確認されても「隔離され、必要な治療を受ける」ことが出来ていないためと思われます
* 1人の感染者を見つけるためのPCR検査数は、中国1808.7回、韓国66.6回、カナダ24.3回、イギリス22.2回などに対して米国は12.7回で、検査が不足しているという見方もあります。⇒1月16日)本庶佑教授が改めて「PCR検査の大幅な拡充」を訴える 
 WHOの「検査の徹底  感染者の割り出し  隔離・治療」という鉄則を否定している日本の厚労省(医系技官グループ)は、要するにPCR検査の有効性を否定する理由を探すことにだけ熱心で、PCR検査の拡充には一貫して反対してきました。田村氏もその毒に染まってしまったようです。
 植草一秀氏が「PCR費用対効果否定厚労相の重罪」とする記事を出しました。
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PCR費用対効果否定厚労相の重罪
                植草一秀の「知られざる真実」 2021年1月17日
昨年12月6日付ブログ記事「PCR2900円なら1億人でも2900億円」https://bit.ly/3syIVji メルマガ記事「政府がコロナ対策で果たすべき五大責務」https://foomii.com/00050 に政府が果たすべき五大責務を
 1.検査の徹底的拡充
 2.陽性者の行動抑止、
 3.正確なコロナリスクの周知、
 4.すべての国民の生活保障
 5.重篤化リスクの高い人の保護
と記した。
経済対策は、すべての国民の生活保障を基軸にするべきだ。
生活保障とは所得保障のこと。所得が保障されれば、その所得が支出につながる。
その支出が生産活動を支えることになる。経済活動を支援するには、すべての国民の所得を保障することが最も適正だ。
上記の五つの責務のうち、1番目と2番目が「検査と隔離」。この「検査と隔離」こそ感染症対策の基本である。

田村憲久厚生労働相が1月14日のBSフジ番組で次のように述べた。
「検査はやればやるほどいいと私も思います。
ただ税金で行う以上費用対効果の問題がある。国家体制が違うから、中国のように強制して一斉に行うことはできない。
すると費用対効果はあまりよくない。
アメリカは2億回ほど検査を行っているはずだが、あのような状況。」
米国で検査が多いのに死者が多数であるのは、米国の医療費がべらぼうに高く、多数の米国民が十分な医療を受けられないことが最大の背景だ。
田村厚労相は「費用対効果」が悪いから検査をしないと主張した。
その「費用対効果」の費用として、何を計上しているのか。その算出根拠を明らかにしなければ話にならない
日本ではPCR検査を1回3万円から4万円の法外価格で実施しているケースがある。
政府が支出しているPCR検査の単価を公表させる必要がある。
1回3万円の検査なら1億回実施して3兆円になってしまう。しかし、1回2000円なら1億回で2000億円だ。
民間企業が1回2000円で検査を提供しているのだから、1回2000円で検査を実施することは十分に可能。
広く検査を実施して陽性者を明らかにする。この陽性者が感染を拡大させないように、宿泊療養施設での隔離を行う。この措置が感染症収束に決定的に重要だ。

基本をおろそかにしてきたのが安倍内閣と菅内閣。
検査の「費用対効果」が悪いと言って二内閣が実行してきたのがGo To。政府が血税を投入して感染拡大を推進してきた。
11月3連休の前にGo Toを全国一時停止にしなかった代償はあまりにも大きい。
菅義偉首相は12月27日までGo Toトラベルを推進した。
11月16日に全国の新規陽性者数が初めて2000人を超えた。コロナ分科会からは「英断を心からお願い申し上げる」とまで言われた。
ところが、菅首相は進言を無視して12月27日までGo Toトラベルによる感染拡大を推進した。その結果としての感染爆発だ。

いま何が起きているのか。
コロナ感染が確認されながら、宿泊療養施設への収容、入院の措置を取ることができず、自宅に放置されている感染者が7000人に達している。ここから、何の手当ても受けられずに死亡する事例が相次いでいる。菅コロナ大失態がもたらした惨事だ。
安倍内閣は1年前のコロナ感染症問題が表面化した時点から、現在まで、一貫して検査抑制を続けてきた。
検査利権ムラの利権だけが優先されてきたの
安倍内閣、菅内閣の政策破綻の責任が厳しく問われなければならない。

             (以下は有料ブログのため非公開)