2021年1月28日木曜日

「嘘つき」の次は「空っぽ」という国の悲劇

 日刊ゲンダイが「『嘘つき』の次は『空っぽ』という国の悲劇 菅答弁を聞く限り支持率下落は今や底なし」という記事を出しました。

 タイトルの前半は、「安倍首相から菅首相に変わった日本の悲劇」を言い換えたもので、後半は「その「空っぽ」の人が責任逃れれの答弁を繰り返していても世論が納得する筈がない」ということを述べたもので、事態はその通りに進んでいます。
 日本学術会議メンバーの任命拒否に始まった菅政権の破綻は留まるところを知りません。
 記事は「通常国会の会期末まで菅政権はもつのか見ものである」と結んでいます。

 それとは別にNEWSポストセブンが「菅首相、国民より二階幹事長を向いた“忖度発言”の数々 Go Toに550億円お詫び予算も」とする記事を出したので併せて紹介します。。
 二階幹事長に向けた忖度政治というのが菅政権を性格付けるもう一つの大きな要素です。世に「ボタンの掛け違い」という言葉がありますが、いまやどうすることもできない事態となりました。もっとまともな政治を行っていればそれは避けられた筈でしたが ・・・ すべては自業自得というべきです。 
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「嘘つき」の次は「空っぽ」という国の悲劇 菅答弁を聞く限り支持率下落は今や底なし
                        日刊ゲンダイ 2021年1月26日
                       (記事集約サイト「阿修羅」より転載)
 新型コロナウイルス対策を盛り込んだ2020年度第3次補正予算案の基本的質疑が25日、衆院予算委員会で始まったが、菅首相の覇気のなさはコロナ禍の行く末を暗示しているかのようだ。ただでさえボソボソした小声はマスク越しで聞き取りづらいのに、かすれかすれの弱々しさ。いつにもましてスローな語り口。一気に老け込んだ印象だ。
 野党トップバッターで質問に立った立憲民主党の小川淳也議員に「咳が止まらないとか、咳き込むとかいう報道が散見されます。朝から声のかすれがちょっと気になる。体調はいかがですか」と問われた菅は、「のどが痛くて声が出ないだけで、至って大丈夫です」と答弁していたが、その声に力はない。それでいて、肝いりの「GoToトラベル」の予算措置についてはかたくなだった。
 総額19兆1761億円の3次補正は、感染防止策に4兆3581億円、「GoToキャンペーン」を含む経済構造転換に11兆6766億円、ドサクサ紛れの国土強靱化の推進などに3兆1414億円――といった内訳だ。新型コロナ対策に充てられるのは全体の4分の1に過ぎない。閣議決定されたのは先月15日。予算執行は年度内なのに、緊急性のないお手盛り案件がドッサリ積まれている上、緊急事態宣言の再発令で状況は様変わりしている。

GoToが感染6~7倍増
 立憲民主はトラベル事業向けの1兆311億円、イート事業515億円、脱炭素に向けた革新的技術開発を支援する基金2兆円、そして国土強靱化絡みの2兆936億円の撤回を要求。「1兆円超の観光支援事業が入っているのは不謹慎だと思う。3月までに(トラベル事業を)やるんですか? 撤回して組み替えを求めたい」と小川が迫ったが、菅は「『GoToトラベル』については、地域経済の下支えに貢献するもの。しかるべき時期の再開に備えて計上しております」と拒否。しかし、「しかるべき時期」に至る道筋もプランも言及なしだ。何ら見通しがないからだろうが、3月末までに第3波がキッチリ収束し、経済活動が正常化することはあり得ない。素人でも想像がつく。そうでなくても、ここまで国民の暮らしを疲弊させておいて、再び感染拡大を招く「GoToトラベル」の再開なんて正気の沙汰じゃない。
 菅は「トラベルが感染拡大の原因であるとのエビデンスは存在しない」と言い張っているが、「8割おじさん」として知られる京大教授の西浦博氏らの研究チームは、「GoToトラベル」開始後に旅行関連の新型コロナ感染者が最大6~7倍増加したと分析。国際医学誌に発表した。西浦氏は「第2波は8月中旬までに減少に転じていたが、初期のGoTo事業が感染拡大に影響を及ぼした可能性がある」と指摘。さらに詳しい分析を続けるという。

専門家連発のいいとこどり「逃げ答弁」
 小川に続いた立憲民主の江田憲司議員は衆院事務局の調査をもとに、昨年の臨時国会で菅が「答弁を控える」などと答えたのは113回だったと指摘。人気マンガ「鬼滅の刃」の決めゼリフを引いて「『全集中の呼吸』で答弁させていただく」と答弁したのに、実際は真逆だったわけだ。江田が答弁姿勢について「メモの棒読み、紋切り型だ。全集中の呼吸は一体どこにいっちゃったんですか」と批判すると、菅は「百何回というご指摘だが、そのように答えたのであれば、質問が同じだったのではないか」とまぜっかえして反論。江田が「今日は紙を見て答弁するのはやめませんか。官僚が作成した答弁書を読んでも国民に伝わりません。ご自身の言葉で答弁されませんか」と求めても、「総理大臣としてしっかり答弁したい。確認しながらさせていただいております」と暖簾に腕押し。「これまでのコロナ危機対策に反省はございませんか」と水を向けられても、「緊急事態宣言について後手後手、いろんなことを言われていることは素直に受け止めさせていただきますけれども、最高責任者として判断するわけですから、専門家の皆さんに相談させていただいた中の判断だと思っています」と逃げた。
 政府分科会の尾身茂会長がトラベル事業停止にたびたび言及してもガン無視したくせに、収拾がつかなくなると「専門家」を連発。江田が「いいとこどりをやっている」と嫌みを言った通りなのである。
 法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)は言う。
「菅首相は体調がすぐれないとのことでしたが、それにしても新型コロナ対策への自信のなさがアリアリと伝わってきました。中身がないばかりでなく、首相のコミュニケーション能力の欠落が問題の根幹にあるのもハッキリした。菅首相に対する最大の風は首相自身なんじゃないか。国会審議は波瀾万丈の展開になるでしょう」
 朝日新聞の世論調査(23~24日実施)によると、内閣支持率は前月比6ポイント減の33%まで下落。「危険水域」の30%割れが目前だ。不支持率は10ポイント増の45%で、不支持が支持を上回る逆転現象は常態化。新型コロナをめぐる政府の対応を「評価しない」は7ポイント増の63%に上り、菅が新型コロナ対策で指導力を「発揮していない」が3ポイント増の73%を占めた。
 スガ答弁を聞く限り、支持率下落は今や底なしである。

自民支持率下落で09年再来
 何を聞いても原稿棒読み、説明する気もなければ、中身も持ち合わせていない愚鈍の極致が支持率3割台で予算委に突入した今後はどうなるのか。
 政治評論家の森田実氏はこう言う。
「内閣支持率の下落傾向は続き、間もなく30%を割り込むでしょう。最近の世論調査の特徴は内閣支持率下落に比例し、自民党の政党支持率も下げている点です。安倍前政権では内閣支持率が落ち込んでも自民党支持率は持ちこたえ、一方で野党第1党の立憲民主党の政党支持率は上向かなかった。それが、足元では立憲民主党の支持率が上がり始めています。このままいけば、麻生政権を引きずり降ろし、自民党を下野に追い込んだ2009年と似たような状況をつくり上げることができる。10月21日までに必ず実施される衆院選で、自民党は100議席を失う危機に直面しています。高支持率を維持した安倍前政権は、国政選挙にも勝ち続けて7年8カ月に及びましたが、一皮むけばウソばかりで国民をだまし続けてきた。それを引き継いだ菅首相は明確なビジョンも理念もなく、本気でウイルスと闘おうとしない。思考停止した自民党がダメ政権を支えているデタラメがコロナ禍で露呈し、国民は目を覚まし始めている。秋までに大政変が起きる可能性が浮上してきました」
「嘘つき」の次は「空っぽ」という国の悲劇に、ようやくエピローグが見えてきたのか。
 新型コロナの感染状況はわずかではあるが、改善の兆しが見えてきた。25日の新規感染者は2764人、死者74人。もっとも、一時的に感染者が減じても、それは国民の自助努力だ。冬場の感染拡大は予見されていたのに、政府は医療提供体制を整えず、医療崩壊が各地で発生。救急搬送はたらい回し、自宅待機を余儀なくされた陽性者の孤独死が続出する危機的事態に直面すれば、自衛するほかない。菅政権が振りまくワクチン幻想にも、世論は懐疑的だ。国民が望んでいるのは場当たり、神頼み、自己都合政権の退場である。
「立憲民主党は政権交代に備えた準備委員会を立ち上げ、国民に政権を担う本気度を示すべきです。受け皿が目に見えれば、信頼度も上がる。日本学術会議の会員候補任命拒否問題もそうですが、アベ・スガ政権のやり方に反発する学者や有識者は少なくないですから協力を得られるでしょう。コロナ禍がもたらしたチャンスをものにし、国民の敵を討たないと、この国は沈没しますよ」(森田実氏=前出)
 通常国会の会期末まで菅政権はもつのか。見ものである。


菅首相、国民より二階幹事長を向いた“忖度発言”の数々 Go Toに550億円お詫び予算も
                       NEWSポストセブン 2021/01/27
                        ※週刊ポスト2021年2月5日号
 菅義偉・首相はコロナ対策に「先手、先手を打つ」と強調しているが、実際には後手後手に回っていることは誰の目にも明らかだ。感染拡大は止められず、あちこちで医療崩壊が現実のものになっている。そうした菅首相の政治判断に大きな影響力を持つのが“後見人”の二階俊博・幹事長である。
 二階幹事長はGo Toキャンペーンを推進した「観光業界」のドンであり、出稼ぎ労働者を多く受け入れている「農業団体」にも強い影響力を持つ。
 菅首相の発言を振り返れば、国民より二階氏に顔を向けた“忖度”発言も多い。

【菅語録】「悩みに悩んでGo To止めた」
 Go Toキャンペーンの一時停止を表明した夜、菅首相は二階氏に呼ばれて8人の“ステーキ会食”に出席し、批判を浴びた。本来なら総理を招いた二階氏が釈明して詫びる立場のはずだが、なぜか菅首相が二階氏に代わって謝罪した。
「他の方の距離は十分ありましたが、国民の誤解を招くという意味においては、真摯に反省いたしております」
 Go Toの一時停止についても、「私自身悩みに悩んだ結果として全国一時停止を表明いたしました」(昨年12月24日の講演)と語り、さらに今後に向け、「国が前面に出て、ホテル、旅館、街の再生を行なうために、今回の補正予算で550億円の新たな補助制度を創設します」と“お詫び予算”までつけた。
 菅首相がこの間のコロナ対策で本当に「悩みに悩んだ」のは二階氏の顔を潰すことになるGo To停止だけだろう。

【菅語録】「全世界から外国人の新規入国者の停止」の嘘
 二階氏のためなら“嘘”も厭わない。
「全世界から外国人の新規入国者の停止を発表させていただきました」
 昨年暮れも押し迫った12月28日の会見で菅首相はそう語った。
 しかし、中国、ベトナム、タイなど11か国のビジネス往来は止めていなかった。政治アナリスト・伊藤惇夫氏が語る。
「官邸は当初、全面的に入国を禁止するつもりでいた。しかし、ベトナムや中国から日本に入国する研修生など出稼ぎ労働者を止められたら経済界が困る。だから11か国には開放したといわれている。そうだとすれば官邸は統治能力を失っている」
 この判断の背景にも中国との経済交流を止めたくない二階氏への配慮があったとみられている。しかし、最終的には1月13日に全面停止に追い込まれた。
 その日の会見で「もっと早く停止すべきだった」と指摘されると、菅首相は、「ビジネス往来の入国者に変異株の感染が確認された事例はなかった」と言い張ったが、水際作戦は新型コロナを防ぐためのものだ。「変異株」だけを問題にするのは論理のすり替えだ。伊藤氏が指摘する。
「今回の緊急事態宣言は、飲食店、外食産業がターゲットとなっています。菅さんはGo To トラベルについて、感染が広がるエビデンスがないとしきりに強調していたが、飲食店で感染がとくに多いという明確なエビデンスもない。一貫性がなく、業種によって扱いが違う。
 そもそも政府のコロナ対策の全体像がないなか、Go Toトラベルなど人の移動で拡大した責任を飲食に押し付けたように見えてしまう」
 身勝手な理屈で国民に制約を強いる菅・二階政治は国民にとってコロナに劣らない“厄災”だ。