2021年1月11日月曜日

新型コロナ、国内の死者4000人超える 3000人からわずか18日間で

 コロナが感染爆発する中で、コロナによる国内の死者は9日、全国で4000人を超えました。2000人から3000人に到達するまでは1月かかりましたが、そこから4000人まではわずか18日間でした。死者の増加ペースも加速しています

 また医療機関以外で体調が悪くなり変死などとして取り扱った遺体のうち、122人が新型コロナウイルスに感染していました。12月に56人と急増しており、自宅や宿泊施設で体調が急変して死亡したケースもありました。
 あってはならないことですが、これらは第1波の時から確認されています。はるかに大規模で起こっている第3波では、その実態は明らかにされた数字を大幅に上回っているものと思われます。
 毎日新聞と日刊ゲンダイの記事を紹介します。
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新型コロナ、国内の死者4000人超える 3000人からわずか18日間で
                           毎日新聞 2021年1月9日
 新型コロナウイルスによる国内の死者は9日、全国で新たに59人確認されて4035人となった。2000人から3000人に到達するまでは1カ月かかったが、そこから4000人まではわずか18日間だった。全国で感染が急拡大するなか、死者の増加ペースも加速している。
 毎日新聞の集計では、最初の死者の確認から1000人までは158日間、1000人から2000人までは125日間を要したが、11月以降の「第3波」で感染が急拡大したのに合わせて死者が急増している。東京、大阪、北海道、兵庫では1日の死者が10人を超える日も出ている。
 厚生労働省がまとめた6日時点の死者数(3470人)のデータでは、非公表などを除き男性2068人(59・6%)、女性1326人(38・2%)。年代別では80代以上が2141人と61・7%を占め、70代839人(24・2%)、60代293人(8・4%)、50代97人(2・8%)の順だった。40代以下は44人(1・3%)にとどまる。
 陽性者に対する死者の割合(死亡率)は、80代以上が12・3%と最も高く、70代4・5%、60代1・4%、50代0・3%、40代以下0・03%となっている。
 死者の増加ペースの加速について、感染症に詳しい国際医療福祉大の和田耕治教授(公衆衛生学)は「感染者の急増と医療の逼迫(ひっぱく)が原因だ。感染者を減らすことに注力しなければならない」と強調する。
 再発令された緊急事態宣言については「飲食店への時短要請は人と人が接触する機会を減らすのが狙いだが、明確に伝わっていないのではないか。政府はその点を強調すべきだ」と指摘。その上で「感染者が増えれば医療が行き届かなくなり、死亡率も上がることを、みんなが自分のこととしてとらえるべきだ」と訴える。
 一方、富山県衛生研究所の大石和徳所長は死者が増え続ける現状について「このまま医療が逼迫すれば、そのしわ寄せが高齢者らに向かい命の選別が止まらなくなる」と危機感を示す。
 前回の宣言では経済活動を幅広く停止させたが、全面解除まで1カ月半を要した。大石所長は今回の対策について「これほどの感染爆発に対し、不十分に見える。感染ペースを遅らせる程度の効果しか期待できないのではないか」と疑問視する。
 「都市部から地方へと感染が拡大すれば、1カ月後にさらに強い自粛を国民に強いる結果になるだろう。現時点で国民に徹底した不要不急の行動自粛を強く呼び掛けるべきだ」と語る。【島田信幸、近松仁太郎、荒木涼子】


コロナ変死増…7割が死後に陽性「医療体制はもはや論外」
                          日刊ゲンダイ 2021/01/07
 新型コロナ第3波が勢いを増している。6日の感染者はとうとう6000人を超え、過去最多を更新した。感染拡大の長期化で、すでに医療機関はパンパン。昨年末から助かる命が助からない事態が進行している。
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 警察庁によると、新型コロナに感染後、医療機関以外の自宅などで体調が急変し死亡した人は昨年3~12月で122人。4月の21人を除き、11月までは10人以下で推移していたが、12月は56人へと急増した
 56人のうち50人は自宅や高齢者施設、療養先のホテルなどで死亡。6人は外出先の路上や店のトイレで亡くなった。体調が悪化したが、医療機関の受診に時間がかかり、死に至ったケースもあるという。

 驚くことに約7割にあたる38人は死後のPCR検査で陽性が判明している。体調が悪かったのに検査を受け入れなかったか、無症状のまま急死したと思われる。
 死後判明のコロナ死は、5日の都の発表でもあった。同日の死亡者14人のうち3人は、救急車で運ばれて、死後の検査で陽性が判明している。適時・適切なPCR検査ができていないのだ。都内のある男性は、この年末、発熱相談センターにPCR検査をリクエストしたが、4日間の様子見を指示され、結局、受けさせてもらえなかった。

医療崩壊進行、助かる命が助からない
 コロナ患者の急死や死後の陽性判明が増えているのは、医療と検査体制が回っていないからだ。
 6日に開かれた厚労省の「アドバイザリーボード」は、入院調整が困難な事例があり、入院待機を余儀なくされるケースが生じていることを指摘。日本医師会の中川俊男会長も、6日の会見で「現実はすでに医療崩壊だ」と強い危機感を示した。
 東京都では6日時点で、自宅療養の約4900人と入院・療養等調整中の約3500人が、医療機関以外での療養や待機を余儀なくされている。確保病床3500床に対し、3090人が入院していて、ほぼ空きがないからだ。
 西武学園医学技術専門学校東京校校長の中原英臣氏(感染症学)は言う。
「都の自宅療養と調整中の計8400人は容体が急変しても、医療従事者がすぐに対応できない可能性が高く、死亡のリスクは高まります。加えて、都の集計には出てきませんが、PCR検査を受けられずに、感染を自覚していない陽性者も急変死する恐れがある。死後の検査で陽性が判明する事態を招いているのは、医療提供体制としてはもはや論外です。今からでも検査体制の充実や宿泊療養の徹底、都立病院をコロナ専用病院にするなどできることはあります。菅首相や小池知事からは医療体制についての危機感が感じられません」

1月の死者4000人超えも
 グーグルの感染予測(6日時点)によると、1月4日から1月31日までの28日間で感染者は19万超(1日あたり6800人)、死者は4550人(同162人)。わずか28日間で、これまでの累計死者数約3800人を上回ると見込んでいるのだ。
 手遅れ感は否めないが、菅首相や小池知事は医療提供体制に総力を挙げるべきだ。