2021年1月4日月曜日

04- 緊急事態宣言決断しない後手後手対応表明

 菅首相が28日、「先手、先手で対応するために、全世界から外国人の新規入国者の停止を発表させていただきました」と、あまりに実態から外れていて予想もしなかった『先手、先手で対応』という言葉を用いたのには、大方の人が呆気に取られました。

 それから数日しか経っていない1月2日、首都圏の4知事が緊急事態宣言の発出を要請官邸に行きましたが、応対したのは西村経済再生担当相で、「緊急事態宣言を視野に入れて検討」するというレベルから何も進展しませんでした。
 菅首相は知事らに会わず西村担当相の報告も聞かないで官邸を退出しました。それはコロナ特措法を改正してから「宣言を発出したい」という考えだからと言われています。
 そうなると18日に国会が開かれ、改正案が成立してからということになり、とても間拍子に合いません。『先手、先手で対応』どころか、限りなく「後手後手」の対応です。
 植草一秀氏の「呆れ果てた」という感じのブログを紹介します。
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緊急事態宣言決断しない後手後手対応表明
                 植草一秀の「知られざる真実」 2021年1月 3日
12月28日、菅首相が発言した。
「国民のみなさんの命と暮らしを守るため、先手、先手で対応するために、全世界から外国人の新規入国者の停止を発表させていただきました」
年末のお笑いグランプリか、自分の耳の不具合かと受け止めた人が多いだろう。
SNSでは「後手後手」の言い間違いとの指摘が広がった。お追従を演じるのは杉村太蔵氏くらいのもの。
菅内閣は全世界を対象にとってきた出入国緩和策を12月28日から一時停止すると発表した。
コロナの変異種の存在が明らかになり、英国と南アフリカが対象から除かれていたが、その除外対象を全世界に広げた。この措置について菅義偉氏が「先手先手」と表現したようだ。
しかし、外国人の新規入国をすべて停止したわけではない。
感染状況が落ち着いている国・地域を対象に、
1.出張などの短期滞在者を2週間待機免除で受け入れる
2.駐在員や技能実習生などの中長期滞在者を2週間待機付きで受け入れる
措置は維持されるため、外国人の新規入国を全面的に停止するわけではない。対応が不完全、不十分なのだ。

Go Toの停止も五月雨式で先送り。
感染拡大地域を目的地とするGo Toは停止したが、感染拡大地を出発地とするGo Toは停止しなかった。
全地域でのGo To一時停止を発表したのは12月14日だったが実施は12月28日に先送りされた。
戦力の逐次投入、誤った作戦を誤りであると気付きながら取りやめることができない。
令和版インパール作戦が展開されている。
11月21日からの3連休の前に感染拡大が明確になっていた。
冬季に感染が拡大しやすいとの認識も存在した。
11月3連休前に明確な方針転換が必要不可欠だった。
しかし、動き始めた無謀な作戦を方針転回できない。方針転換を始めても戦力の逐次投入を続ける。「失敗の本質」をそのまま地で行っている。
感染拡大は爆発状況に近い。
元日、1月2日と、検査数が抑制されているなかで新規陽性者数が極めて高水準だ。
1日当たり死者数も50人規模に増加している。
年率換算で1万8000人を超える。
インフルエンザよりもはるかに軽微と言えない水準に変化している。

このなかで首都圏1都3県の知事が政府に対して緊急事態宣言の発出を要請した。
西村康稔担当相の発言は「緊急事態宣言発出を視野に入れて検討する」
驚くべき発言だ。「緊急事態」の宣言を「視野に入れて検討」なのだ。
このこと自体が「緊急性」を政府がまったく認識していないことを意味するもの。
Go Toについての判断でさえ西村氏は
「実態をよく掴んでいる都道府県の判断に委ねる」と繰り返してきたのではないのか。
その知事から「緊急事態宣言」の発出が要請されたのであるから、政府は直ちに対応を決断するべきだろう。
1月2日のうちに判断を明確に示すべきだ。
その判断を、再び、先送り、先送りするのだろうか。
このような対応を日本語では「後手後手」と表現する。
菅義偉氏には状況を判断し、冷静に分析し、速やかに判断する能力が欠落しているようだ。
政権の能力不足が問われている
            (以下は有料ブログのため非公開)