2021年1月24日日曜日

社長が口にしたら3日で会社がつぶれる3つの「菅首相用語」

 NEWSポストセブンに「社長が口にしたら3日で会社がつぶれる3つの『菅首相用語』」とする記事が載りました。極めて明快な説明で「目からウロコ」の思いがします。
 反面教師としてはこれ以上の好例はありませんが、悲劇なのは、そういう人間が国のトップに座っているという日本の現実です。
 
 また作家の適菜 氏は、数えきれないほどの菅首相の原稿の読み間違いを取り上げて、「誰でも読み違えることはある。しかし、菅の場合、政治家としてのデタラメさに直接つながっているのだ」として、「要するに他人事なのだ」と指摘しました。これもそう言われてみると納得が出来るもので、菅首相は一体何を目指して何のために政治をしているのでしょうか。少なくとも「他人事」で政治をされては国民は堪ったものではありません。 
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社長が口にしたら3日で会社がつぶれる3つの「菅首相用語」
                石原壮一郎 NEWSポストセブン 2021/01/23
 リーダーにとって「言葉」は重要だ。危機を救う契機にもなれば、崩壊を決定づけることにもつながる。コラムニストの石原壮一郎氏が指摘した。
                 * * *
 もしかしたら忘れている人も多いかもしれませんが、現在、東京都、大阪府、福岡県など全国11都府県では「新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言」が発出されています。もちろん、それ以外の地域は大丈夫というわけではまったくありません。いったい何がどうなったら、収束の兆しが見えてくるのでしょうか。
 不安かつ困難な状況が続く中、たいへん残念なことに、日本に住む私たちはもう長いあいだ「この指導者についていけば大丈夫!」「この人はやってくれそうだ!」という思いを抱けずにいます。安倍首相から菅首相に交代しても、そこは変わりませんでした。
 いや、カリスマ的な指導者に盲従したいわけではありません。しかし、少しは「この人は頼りになりそう」と思わせてもらわないと、日々、落胆と怒りに包まれる羽目になります。さんざん疲れさせて、政治への諦めを持たせようという魂胆でしょうか。
 でも、政治家や政府にケチばかりつけていると、またあの偉そうで怖そうなおじいさんにケチをつけられます。どんな時でも、学ぶ姿勢は大切。今の日本の現状から、強引に教訓を得てしまいましょう。これも、いわゆるひとつの「自助」です。

 ひときわ国民をイラつかせているのが、記者会見や国会答弁における菅義偉首相の話しっぷり。我慢して聞いているうちに、大きな発見をいたしました。世の中のすべての社長さん、とくに会社の経営状況があまりよくない社長さんは、昨今の「菅首相語録」に学ぶところ大ではないかと。
 そんなわけで、たくさんの呆れた発言の中から「社長が口にしたら3日で会社がつぶれる3つの『菅首相用語』」をピックアップしてみました。その3つは、こちら。
 その1「仮定のことについては、私からは答えは控えさせていただきたい」
 その2「引き続き緊張感を持って、事態を注視していきたい」
 その3「一日も早く収束させ、安心して暮らせる日常を取り戻すために全力を尽くしま
     す」

 それぞれ、なぜ社長が口にしてはいけないのか。たとえば部下が「社長、このままでは半年後に売り上げが半分になることが予想されます。いかがいたしましょう?」と相談してきたときに、その1の「仮定のことについては、私からは答えは控えさせていただきたい」と返したら、部下は瞬時に「この会社はダメだ」と見切りをつけるでしょう。
 あるいは、工場で製造ラインにトラブルが発生し、早くどうにかしないと生産がストップしてしまう状況だとします。のそっと様子を見に来た社長が、その2の「引き続き緊張感を持って、事態を注視していきたい」と言ったら、工場にいる全員が即座に手を止めて家に帰るでしょう。役員会議で「表示の偽装が判明しました」と報告されて、こう答えたとしても同じ。その場で解任動議を出されても仕方ありません。
 会社というところは、トラブルの火種が常にくすぶっています。セクハラやパワハラ、モラハラやイジメ……。被害を訴える部下や事態の深刻さを報告する部下に対して、社長が「一日も早く収束させ、安心して暮らせる日常を取り戻すために全力を尽くします」と人ごとみたいな言い方をしたら、その日のうちに社員全員が辞表を出すでしょう。

 また、それこそどこの会社でも、コロナによる「クラスター」がいつ発生するかわかりません。そうなった場合の対策を相談されたときに「仮定のことについては、私からは答えは控えさせていただきたい」と話を打ち切る。発生しても「引き続き緊張感を持って、事態を注視していきたい」としか言わない。さらに詰め寄られたら「一日も早く収束させ、安心して暮らせる日常を取り戻すために全力を尽くします」とすました顔で答える――。ここまでくると、悲劇を通りこしてもはや喜劇です。

 気を付けたいのは、この3つの言葉だけではありません。ほかにも「丁寧な説明をしていきたい」(まずは何をどう説明するつもりかを丁寧に説明してほしい)や「専門家の意見を聞きながら判断した」(暗に「こうなったのは専門家のせいだ」と責任を押し付けている)など、言ってはいけないお手本を頻繁に繰り出してくれています

 世の中の社長さんにおかれましては、「ああ、これは言ってはいけないな」「こんなこと言ったら間違いなく会社はつぶれるな」と感じていただけたでしょうか。社長に限らず、上司やリーダーの立場にある方も、ぜひ参考にしてください。
 こうして反面教師にさせてもらえてありがたい限りです。ところで、首相といえば、日本という国の社長みたいなもの。経営状況がよくない国の“社長”が、言ってはいけないセリフを連発しています。企業ならとっくにつぶれていそうですけど、はたして大丈夫なんでしょうか。もしかしたら日本は、私たちが思っている以上に深刻なピンチにあるのかもしれません。


それでもバカとは戦え
結局、国民が被害…スガ発言が意味不明なのは他人事だから
                      適菜  日刊ゲンダイ 2021/01/23
 菅義偉、ダメ人間だとは思っていたが、想像以上にダメでしたね。麻生太郎は漢字が読めなかったし、安倍晋三は日本語が苦手だったが、菅の場合、それ以前に自分の発言の内容すら理解していない。
 菅は施政方針演説(18日)で、脱炭素化の推進に関連し「あらゆる主体」を「あらゆるぜんたい」、不妊治療と仕事の両立を巡っては「後ろめたい」を「後ろめいた」と原稿を読み間違えた。
 昨年10月の所信表明演説では「重点化」を「げんてん化」、「改定」を「かいせい」、「貧困対策」を「貧困せたい」、「被災者」を「ひがいしゃ」と誤読。
 外遊先のベトナムでは「ASEAN」を「アルゼンチン」、「カバレッジ(網羅率)」を「カレッジ」と勝手に脳内変換した。
 揚げ足を取りたいのではない。誰でも読み違えることはある。しかし、菅の場合、政治家としてのデタラメさに直接つながっているのだ。
 政府のコロナ対策本部における発言では、緊急事態宣言の対象に追加された「福岡」を「しずおか」と誤読(13日)。議論の経緯を理解していればこういう誤読が発生する余地もない要するに他人事なのだ。結局、被害を被るのは国民である
 官房長官時代には、愛媛県の「伊方原発」を「いよく原発」、大阪府北部を震源とする地震の際には「枚方市ひらかた市」を「まいかた市」と誤読した。
 挙動も言動も不審。会見で医療体制を強化するための法整備について、「国民皆保険、そして多くのみなさんがその診察を受けられる今の仕組みを続けていくなかで、コロナがあって、そうしたことも含めてもう一度検証していく必要があると思っている。必要であれば、そこは改正をするというのは当然のことだと思う」と発言。国民皆保険制度を廃止するのかと騒ぎになり、官房長官の加藤勝信が火消しに追われた。
 発令した緊急事態宣言の効果が出なかった場合について質問されると「仮定のことは考えていない」と返答。
 意味不明。最悪のケースを仮定して、対策を怠らないのが危機管理の基本ではないか。
 コロナ対策で迷走した揚げ句、「ワクチンは感染対策の決め手だ」と結局は神風頼み。これでは国が滅びる。菅の持論は「国民から見て当たり前のことをやる」である。だったら、今すぐに総理を辞めろ。

適菜収 作家

1975年生まれ。作家。近著に「国賊論 安倍晋三と仲間たち」、「ニーチェの「アンチクリスト」を現代語訳した「キリスト教は邪教です!」、「ゲーテの警告 日本を滅ぼす『B層』の正体 」など著書40冊以上。購読者参加型メルマガ「適菜収のメールマガジン」も始動。詳細は適菜収のメールマガジンへ。