2021年1月24日日曜日

危機を見ない政治の転換は不可欠/日本は もはや「無政府状態」

 23日発表のGoogleの新型コロナ感染予測によると、死亡者数は28日後の2/19には累計10,615人に達し(1/22の累計は4,934人、2/19の予測数は984人/日)、陽性者数は同じく2/19には累計397,604人(1/22の累計は353,449人、2/19の予測数は17,508人/日)に達します。

 日別陽性者数は2/12にピーク19,220人/日(7日間移動平均値)に達し以後減少に転じますが、その程度は極めて緩やかで2/19の予測数は15,138人/日(同)です。菅氏は当初、「2月6日には感染拡大が治まる様に最大限の努力をする(要旨)」と述べましたが所詮「たわごと」に過ぎません。これに限らず何の根拠もないことをペラペラと口にする鉄面皮さには呆れます。
 コロナ感染が分かっても入院できずに自宅で亡くなった人は18人に達しています。
 コロナの爆発的な感染を招き各地で医療崩壊を起こさせた元凶は菅首相です。医療業界から「これ以上感染者が増えれば医療崩壊につながる」と度重なる警告が出されたにもかかわらず、一切無視して「Go Toトラベルが有害というエビデンスはない」と強弁して、コロナ対策(検査体制の拡充・医療体制の拡充など)を何も打たないまま「Go To」に走った結果がこのありさまです。
 何よりも救いがないのは、そのことを国会で追及されても、「専門委員会の意見を聞きながらしっかりやってきた」として、何の責任も認めないことです。
 しんぶん赤旗は「首相の答弁は棒読みばかりで、誠実さを欠いてい。深刻な現実が見えていないのか無為無策に反省がない。感染抑止に逆行する政治をこれ以上許すわけにはいかない。政権の交代はいよいよ急務」と述べました(23日「主張」)。この政権が居座っていては日本は破壊されます。
 併せて日刊ゲンダイの記事「菅政権に頼っていたら命はない 日本は もはや『無政府状態』  」を紹介します。
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主張 衆参代表質問 危機見ない政治の転換不可欠
                       しんぶん赤旗 2021年1月23日
 菅義偉首相の施政方針演説への代表質問が国会で行われ、日本共産党の志位和夫委員長(衆院)と小池晃書記局長(参院)が、政府の大失政で危機を拡大している新型コロナウイルス感染の抑止策を中心に首相をただしました。志位氏は、検査、医療、補償で三つの緊急提案を行い、実行を求めました。さらにコロナ収束に集中するため今夏の東京五輪の中止も提起しました。ところが、首相の答弁は棒読みばかりで、誠実さを欠いています。深刻な現実が見えていないのか。無為無策に反省がなく、感染抑止に逆行する政治をこれ以上許すわけにはいきません

緊急提案の実行を求める
 菅政権のコロナ対策がなにより深刻なのは、緊急事態宣言で国民に多くの努力を求めながら、政府としてどのような積極的方策をとるかが、全く見えないことです。
 三つの緊急提案は、政府がすべきことを具体的に示しています。第一は、PCR等検査の抜本的拡充で無症状者を含めた感染者を把握・保護し、新規感染者を減らすことです。志位氏は ▽感染者が集中する地域での大規模検査 ▽全額国費による医療機関と高齢者施設などの社会的検査 ▽陽性者保護のための宿泊療養施設の借り上げ、スタッフの確保・容体管理―の重要性を力説し実施を求めました。
 第二の提案は、医療機関と医療従事者、保健所への支援の抜本的拡充です。各地で医療体制が逼迫(ひっぱく)・崩壊し医療従事者の疲弊は極限に達しています。全ての医療機関に対し減収補填(ほてん)をはじめ十分な財政支援を直ちに行うことは切実な課題です。保健所がパンク状態になり濃厚接触者追跡などの機能を果たせていないことは深刻です。保健所の臨時的な人員強化に全力をあげつつ、抜本的な定員増に踏み切ることは待ったなしです。
 提案の三つ目は、営業時間の短縮要請と一体の十分な補償など、雇用と営業を守るための大規模な支援策の実行です。1日最大一律6万円の協力金では足りません。事業規模に応じた補償など事業継続を可能にする施策でなければ、実効ある感染抑止はできません。

 志位氏が今夏の東京五輪中止を提起したのは、いま日本と世界はコロナ対策に力を尽くすべきだと考えるからです。ワクチン接種の効果は五輪に間に合わないことは世界保健機関(WHO)も認めています。先進国と途上国とのワクチン格差、感染状況の国ごとの違いなどアスリートの置かれている状況からもフェアな大会として開催できる条件はありません。五輪開催期間中に多数の医療関係者を現場から引き離し、五輪に振り向けることは、非現実的です。いまこそ立ち止まり、ゼロベースから開催の是非を再検討すべきです。

大切なのは国民の信頼
 菅首相の答弁は、適切にやっていると繰り返すばかりで失政を認めません。やっていないことをやっていると事実と違うことも口にしました。無責任です。安倍晋三前首相の「桜を見る会」問題のウソ答弁や、吉川貴盛元農水相の汚職事件でも説明をしません。
 小池書記局長は、東日本大震災の被災地支援強化、沖縄米軍新基地建設中止などを迫りましたが、首相は住民の声にこたえません。危機時に重要な政治リーダーとしての信頼を首相は失っています。政権の交代はいよいよ急務です。


<菅政権に頼っていたら命はないぞ>日本は もはや「無政府状態」の自覚が必要
                       日刊ゲンダイ 2021年1月22日
                      (記事集約サイト「阿修羅」より転載)
「このままではトリアージもせざるを得ない。助かる命に優先順位をつけなければならない」
 日本医師会の中川俊男会長が20日の会見でこう言って危機感をあらわにしたが、既にその域に達しつつあるのではないか。
 急病人が救急車を呼んでも搬送先が決まらない“タライ回し”が急増、先月上旬と比べ2・3倍にもなっているのだ。全国主要都市の52消防本部の事例を集計している総務省消防庁によれば、今月17日までの1週間で計3317件に上ったという。
 医療現場は悲鳴や苦悩に包まれ、それが連日、新聞やテレビで報じられる。患者の受け入れを求める救急隊員の切迫した声にも「受け入れられません」と断らざるを得ない医師のやるせなさ。「現場の努力では、もうどうしようもない」とにじませる悔しさ。業務過多でパンクしている保健所の職員は「今までのやり方では限界」と訴える
 中でも、自宅待機中だったコロナ陽性者が死亡した神奈川県は深刻だ。自宅療養者が増えすぎて職員の手が回らないため、1日2回、職員が電話をかける「健康観察」を見直すことを決めた。
 電話連絡は容体の急変を察知するのが目的。40代以上の自宅療養者の見守りに重点を置くため、これまでのように全員には電話をかけられないということだ。
 黒岩知事は「誰かを切り捨てるわけではなく、リスクの高い人にはちゃんと対応する」と理解を求めたが、そもそもリスクの高い人が自宅療養している現状に問題がある。
 神奈川県のコロナ病床の不足は危機的。これまで1939床としていた「最大確保病床」が現状は1078床にとどまっているため、実態に合わせて発表数字を減らすことを検討していると、21日の東京新聞が報じてもいる。要は、実際の病床使用率は、さらに逼迫しているということだ。
 もちろん神奈川だけの話じゃない。感染者急増にともなう病床逼迫で、全国的に医療体制や行政対応が破綻状態なのである。

責任逃れ答弁に終始
 ところが、この期に及んでも、菅首相の口からは出まかせばかり。「1カ月後には事態を改善させる」「国民の命と健康を守り抜く」なんて、誰が信じられるものか。楽観論にしがみつき、年末には感染者が減ると期待していたのはどこのどいつだ。
 21日の国会の代表質問でも、野党議員から、爆発的感染や医療崩壊を招いた責任を問われると「適切に判断し、対策を講じてきた」と言ってのけるのだから唖然。PCR検査についても、「可能な限り拡充を図ってきた」と開き直る。検査を待つ間に急死した立憲民主党の羽田雄一郎参院議員の同僚議員が、「1日約5万件ではあまりにわずかだ。これで回るようになったと言える神経が分からない」と憤ったが、もっともである。
 政治評論家の野上忠興氏が言う。
「菅首相の答弁からは、責任逃れに徹しようという姿勢しか見えません。冬場の感染拡大は予想されていたのですから、どうして事前にもっと準備できなかったのか。病院はクラスター発生を恐れている。経営にも直結するからで、そうした事情を考慮した対応も必要でした。コロナ失政で支持率が急落し、いまや菅首相は、思考力や集中力が欠如している状態です。焦りの裏返しが、河野大臣のワクチン担当指名。見え透いた人気取りなのは誰の目にも明らかです」

独断専行の末の官邸ガバナンス崩壊という醜態
 菅は、ワクチン接種さえ始まれば、すべてがバラ色になるとでも思っているのだろう。21日の国会答弁でも、米ファイザーが開発したコロナワクチンの供給を受ける契約を正式締結したことに触れ、「全体として3億1000万回分を確保できる見込み」「感染対策の決め手になる」と強調していた。
 ギョッとしたのは、「ワクチンを前提としなくても安全安心な大会を開催できるよう準備を進める」と、改めて東京五輪開催に意欲を示したことだ。ワクチンと五輪開催を関連づけられるのを嫌った言い訳なのか意味不明だが、菅政権がワクチン接種を急ぐ裏に五輪があることを、いまや多くの国民が感づいている。
 内閣支持率の暴落で分かるように、世論はもはや菅というリーダーを信頼していないのだ。首相就任前から「コロナ対策が最優先」と言いながら、感染防止は二の次で、経済のアクセルばかりを踏み、利権絡みの「Go Toキャンペーン」に固執。「エビデンスがない」の一点張りでマトモに説明責任を果たさず、感染拡大や医療崩壊を招いた
 そのうえ、大人数での会食が感染リスクだとしながら、自分は二階幹事長とともに高級ステーキ会食で舌鼓。そんなリーダーに、国民がついていけないのは当然だ。
 それは霞が関の官僚も同様で、総務大臣時代に意に沿わない課長を更迭した際、「飛ばしてやったよ」と興奮するような人物が、7年8カ月の長期にわたった官房長官を経て、官僚の人事権を完全掌握しているのだから、周囲はイエスマンばかりになる。
 本気で菅を支えようという官僚がどれだけいるのか。側近が諫言したり、菅に聞く耳があれば、「ガースー」発言のようなピント外れや「Go To」停止のドタバタは起きていない。官邸内のガバナンスが利いていない証左である。

ワクチン大臣と政府関係者が齟齬
 そのひとつの象徴が元日発令の異例人事だ。首相の政務秘書官がわずか4カ月で交代。官房長官時代の秘書官だった財務官僚が再登板することになった。「菅首相には菅官房長官がいない」と言われたが、これまで通り、全てを独断専行で動かせると勘違いした結果が、いまの醜態なのである。
 で、菅が起死回生の一手として繰り出したのが、河野行革担当相のワクチン担当相なのだが、さっそく混乱が起きている。政府関係者の話として「早ければ5月下旬にも一般向け接種を開始」と20日報じられたが、河野はこれをツイッターで否定。<勝手にワクチン接種のスケジュールを作らないでくれ。デタラメだぞ><新聞各紙が「政府関係者」なる者を引用しているけれど、全く根拠のないあてずっぽうになっている。信用しない方がいいよ>と投稿した。
 担当大臣と政府関係者が齟齬をきたし、振り回されるのは国民だ。一体全体、この政府は何をやっているのか。ただでさえワクチン接種をめぐっては、1万カ所にのぼる接種会場、氷点下75度での輸送と保管、医師や看護師らの人員確保など、膨大な調整が必要なのに、この体たらくでは未曽有の大混乱になるのは確実だ。
 政治ジャーナリストの角谷浩一氏がこう言う。
「ワクチン担当大臣なんて、本来は各省庁の調整役である官房長官か、自治体の窓口である総務大臣の仕事でしょう。ハンコ大臣にワクチン大臣をくっつけるのは、やってる感の演出でしかありません。官邸が機能しなくなり、自民党が菅首相を支えなければならない状態になっている。しかし皆で助けても、状況は改善することはなく、むしろ混乱の渦は拡大して、どんどんメチャクチャになっています。蚊取り線香の逆パターンで、官邸という渦の真ん中に火がついて、ぐるぐると広がっているような感じです」
 1年以上続いてもまだ出口の見えないコロナ禍という有事で、国民にも官僚にも信頼されない首相が陣頭指揮にあたる。つまりは、この国はもはや「無政府状態」と言っていい。
 怪しいワクチン“神頼み”政権に任せていたら、命がいくつあっても足りない。国民はその自覚が必要になってきた。