2021年1月5日火曜日

菅氏1日307万円×7年8ヵ月余 官房機密費86億円超 総裁選中も

 菅首相が内閣官房長官に在任した78カ月余(2822日)で自身に支出した内閣官房機密費(報償費)は868000万円超だったことが判明しました。菅氏は、自身の“つかみ金”(使途を説明する必要のない金)として1日平均307万円をつかった計算になります。
 菅氏が総裁選への出馬を表明したのは9月2日のことですが、ご丁寧にも、その前日に官邸内にある官房機密費1億3200万円余のうち9020万円を自身が自由につかえる領収書不要の「政策推進費」に振り分けました。

 これらを明らかにしたしんぶん赤旗は、「1日平均300万円までつかうことが“既得権益”になっていなかったのか  。官房機密費のあり方とともに菅氏の姿勢が問われ」ると述べています。
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菅氏、1日307万円×2822日支出 官房機密費の“つかみ金”86億円超 総裁選中もきっちり使う
                     しんぶん赤旗 2021年1月4日
 菅義偉首相が内閣官房長官に在任した7年8カ月余(2822日)で自身に支出した内閣官房機密費(報償費)は86億8000万円超だったことが、本紙が情報公開で入手した資料で判明しました。支出した官房機密費の総額95億4200万円余の90・97%を菅氏は、自身の“つかみ金”として1日平均307万円をつかった計算になります。(矢野昌弘)
 昨年8月28日、安倍晋三首相(当時)の突然の辞任表明で、自民党内は総裁選一色に染まります。
 菅氏が総裁選への出馬を表明したのは、9月2日のこと。その前日の1日に菅氏は、官邸内にある官房機密費1億3200万円余のうち、9020万円を菅氏自身が自由につかえる領収書不要の「政策推進費」に振り分けました
 本来、官房機密費は「内閣官房の行う事務を円滑かつ効果的に遂行するために、当面の任務と状況に応じて機動的に使用する」経費です。
 官房機密費は会計検査院に対しても支出先や目的を明かす必要のない“つかみ金”です。機密費の内訳は「調査情報対策費」「活動関係費」「政策推進費」の3類型に分かれます。このうち「調査情報対策費」と「活動関係費」は、事務補助者が出納管理をします。しかし「政策推進費」は官房長官にお金が渡った時点で“支出完了”となるため、何に使ったかを知るのは官房長官のみ。官房機密費の中でもっとも闇金の要素が強い金です。
 菅氏は昨年9月14日に自民党新総裁となり、同16日に首相に指名されます。16日に官房機密費の引き継ぎを行った際には、9月に入ってからの16日間で、4820万円を菅氏が使っていました。総裁選中もきっちり1日平均300万円をつかった計算です。
 菅氏が使い残して、年度末に国庫に返納した官房機密費は12年度~19年度分をすべてあわせても40万5000円余です。
 1日平均300万円までつかうことが“既得権益”になっていなかったのか―。官房機密費のあり方とともに菅氏の姿勢が問われます。


闇金2種 使い分け 自民幹部らに党の政活費 首相になると官房機密費
                        しんぶん赤旗 2021年1月4日
                      (記事集約サイト「阿修羅」より転載)
 政権の“つかみ金”が内閣官房機密費なら、自由民主党にも「政策活動費」などの“つかみ金”があります。自民党が野党の時には、総裁にも支出していた「政策活動費」ですが、第2次安倍晋三内閣ができると、安倍総裁(当時)への「政策活動費」がパタッとなくなるのです。なぜでしょうか。
 自民党の“つかみ金”となっているのは、「政策活動費」と「調査費」です。どちらも主な支出先が、党所属の国会議員となっており、議員が受け取った金を何に使ったのか不明です。
 毎年、数億円と巨額の「政策活動費」の多くは党幹事長に支出されています。
 この自民党の二つの“つかみ金”ですが、自民党が野党だった2009年9月から12年12月には、当時の総裁に支出されていました。
 谷垣禎一総裁(当時)には計1600万円。12年9月末から総裁となった安倍氏には同年12月11日までに5回、計2億5000万円の「政策活動費」が渡されていました。
 ところが、同月26日に第2次安倍内閣が発足してから、少なくとも2019年末まで安倍総裁(当時)への「政策活動費」と「調査費」の支出はありませんでした。
 なぜ、野党時代には安倍総裁にも渡していた金が、政権与党になると、渡さなくなるのか。
 首相になると、官房機密費(報償費)が使えるようになります。
 小渕恵三内閣で官房長官を務めた野中広務氏(故人)は、官房機密費の使途について10年に「国会対策に使うことが多かった。一つは、総理の部屋に月1000万円。それから、とにかく衆議院国会対策委員長、参議院幹事長室に(月)500(万円)ずつ持って行かなきゃならなかった」と記者団に証言しています。
 安倍氏本人も第3次小泉改造内閣で官房長官をつとめ、多額の官房機密費を支出しています。官房機密費の中で最も“闇金”の要素が強い「政策推進費」を2006年9月下旬までの11カ月間で10億5100万円も使っていました。
 安倍前首相の後援会による「桜を見る会」前夜祭の費用を補填(ほてん)したお金の原資が注目されています。その原資に、こうした官邸の“闇金”があてられていないか、疑惑は深まります。

政治ゆがめた疑惑 今も
           神戸学院大学教授(憲法学)上脇博之さん
 2018年に最高裁は官房機密費の支出関連文書の一部開示を国に命じました。私たち原告と弁護団は、機密費のうち官房長官のつかみ金である「政策推進費」を政治家や評論家に渡さないことや、機密度に応じて将来は公開するなどのルール作りを申し入れました。それにもかかわらず、「政策推進費」が9割超という比率は判決後も変わっていないし、使途の将来公開も実現されていません。申し入れは無視された状態です。菅義偉首相(当時、官房長官)側は、会計検査院さえも使途をチェックできないと、タカをくくっているのではないか。
 野中広務元官房長官(故人)が証言したように、官房機密費は以前から、まるで自民党の政治資金のように都合よく使われ財政法違反の目的外支出がなされてきた疑惑がありますが、今も続いているのではないか。つまり、公金の闇金で政治や選挙がゆがめられているという疑念を持たざるをえません。
 また、政治資金や選挙資金の支出は公表が法律で義務付けられていますが、自民党は「政策活動費」などの名目で幹事長ら政治家個人に多額の政治資金を支出し、それが最終的に何に使われたのか不明です。これは、もう一つの闇金で、政治や選挙がゆがめられているとの疑惑が生じます。
 自民党は与党になり内閣を握ると官房機密費も使える。要するに闇金の“サイフ”が一つ増えてしまう。官房長官や首相には、あえて自民党の政治資金を渡さなくても、官房機密費を闇金として使えるのです。

 闇金をなくすためには、官房機密費の目的外支出の禁止と使途の将来公開のルール化が不可欠ですし、政治資金の政治家個人への支出を法律で禁止することが必要です。政権交代し、世論が新政権に要求しなければならないでしょう