2021年1月30日土曜日

菅氏には総理はムリだった 全国民が思っていること(現代ビジネス)

 菅義偉氏が総理の器でなかったというのはいまやみんなが思っていることです。

 コロナには無為無策でGo Toだけに走って感染爆発を起こしたことで完全に国民の信頼を失いました。それなのに「こんにちは、ガースーです」などとニヤけていては失望はさらに深まります。一向に必死さが伝わってこないのはどうしてなのでしょう。
 昨年の話でしょうが、田村厚労相が首相に『コロナの感染状況が危機的だ』という報告をしたところ、激怒してされた資料を机の上に投げ捨ということです。これでは誰も進言しなくなるのは当然で、元日に行った主席補佐官の更迭などは的外れもいいところです。
 いまや「官邸がまったく機能していない」状態で、菅氏が話すのは側近の和泉洋人補佐官だけだそうです
 そんな首相が執念を燃やしているのは、コロナ対策よりも「情報統制」だということで、朝日新聞が5日、「外国人新規入国、全面停止へ」という記事を報じたところ、「漏らしたのは誰だ!」と激怒し、和泉補佐官に指示を出し官邸内で厳しい「犯人捜し」が始まったということです。一部の外部有識者とは会食しながら話を聞くものの身内をまったく信用しないというのは、菅氏の心の荒みようが分かる話です。そもそも「情報統制」とは、官房長官時代の「唯我独尊」状態の再来を願ってのことでしょうか。
 国のトップは多種多様な意見に耳を傾けその中で決断を下し、結果には責任を負うことが求められていますが、にはそうした素質は全くありません。
 ただ一つ 内閣支持率にはさすがに敏感で、それが急落すると一転して「世間の顔色」を窺うようになったのですがいかにもその場しのぎ泥縄式対応にしか見えないのはお粗末すぎます。それが菅氏の限界なのでしょう。そんなトップの下で、日本はコロナ禍と闘わざるを得ないのです。
 現代ビジネスが「『菅さん、あなたに総理はムリだったね』 ~ とする記事を出しました。
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「菅さん、あなたに総理はムリだったね」全国民が思っていること 
     人には器というものがある
                           現代ビジネス 2021.01.28
情熱と意志をこめたリーダーの言葉を、国民は欲している。だが彼は下を向き、原稿を棒読
みして、ぶつぶつ呟くのみ。ああ、総理の器じゃなかったのか  。国難のさなか、皆、
安でいっぱいです。

当たり散らす日々
「小池が、犬と猿と雉を連れて来るんだって?」
2021年の新年は、コロナ禍とともに明けた。もはや隠しようもない。この国の為政者としての、菅による大失敗である。
菅は、東京都の小池百合子知事が緊急事態宣言を要請すべく、1月2日に神奈川、埼玉、千葉の知事と共に官邸に乗り込んでくると聞いた際、冒頭のように吐き捨てた。
「菅さんは『小池のパフォーマンスにやられた』と地団太を踏んだ。ただ、その後の世論調査でも『緊急事態宣言が遅すぎる』という声が圧倒的多数を占めているように、先手を打てなかった総理の判断ミス。これまでのコロナ対応はすべて裏目に出ていて、焦る菅さんは官邸で怒鳴り散らしています」(官邸関係者)
菅は普段、小池のことを「おてもやん」と呼んで揶揄している。
おてもやんとは熊本民謡などに登場する、白塗り厚化粧で頬に丸い紅という、滑稽で奇妙な容貌をイメージさせる女性像だ。「おかめさん」のような女性と言えば分かりやすい。
小池のことをその「おてもやん」に喩えて笑っているという話は、菅の周辺では有名な話だが、こんなことが小池の耳に入ったら、ただでさえ軋轢が噂される両者の関係が、ますます険悪になってしまうことは確実だ。
いずれにせよ、菅に対する国民の信頼は、完全に失われたと言える。1月7日、「必要ない」という自身の言を翻して1都3県への緊急事態宣言を発出した際も、なぜか時折ニヤニヤとしながら会見を行い、国民を失望させてしまった

「こんにちは、ガースーです(ニタァ)」
先が見えないコロナのトンネルの中でもがく人々が見たいのは、そうした頓珍漢な人気取りをしたり、ヘラヘラと誤魔化したりするリーダーの姿ではない。覚悟と意志、決断力を持って、自分の言葉で国民に語りかけ導いてゆく総理大臣だ。
だが、どうやら菅には荷が重い。「器」ではなかった—。いまや、誰もがそう思っているだろう。
「官邸がまったく、機能していない」
そう語るのは、政権の中枢を知る政府関係者の一人である。
「菅総理に直接、進言をする人間が誰もいない。総理が話すのは、側近の和泉洋人補佐官だけ。菅さんは、自分の意に反する意見を聞くとキレて激怒してしまうから、誰も何も言えなくなった。
田村(憲久)厚労相すら、『コロナの感染状況が危機的だ』という報告をしたら逆鱗に触れ、同席した官僚が渡したペーパーを机の上に投げ捨てられたほど。田村大臣は精神的にかなり追い詰められ、心身ともに参っています」

話を聞かない、信用しない
菅が執念を燃やしているのは、コロナ対策よりも、「情報統制」だ。1月5日、朝日新聞が、「外国人新規入国、全面停止へ」という記事を報じた。
イギリス、南アフリカなどで確認されている変異ウイルスの国内への侵入を防ぐため、中国・韓国を含む外国人の入国を全面停止することを、政府が検討に入ったとする記事だった。
これに菅は、「漏らしたのは誰だ!」と激怒し、官邸内で厳しい「犯人捜し」が始まったという。
「菅総理に言わせると、検討中に過ぎない情報を漏洩したのは内閣官房の人間に違いないということで、和泉補佐官に指示を出し、躍起になって『犯人』を割り出そうとしました。メディアと付き合いがあるスタッフは、LINEで情報をやり取りしていないかなど、徹底的に調べられたようです。
菅さんは一部の外部有識者とは会って話を聞きますが、身内をまったく信用しない。部下は無能か、裏切り者ばかりと思っている周囲もそんな総理の態度に辟易して、何も言わなくなる。すべてが悪循環になっている」(官邸スタッフ)
菅本人が宣言した通り、現在は緊急事態、日本にとっての国難だ。
コロナの感染拡大は止めなければならない。だが、経済を崩壊させるわけにはいかず、同時に国民の生活を守らなければならない —。
そこに明確な「正解」はない。そんなことは誰もが分かっている。だからこそ、国のトップは多種多様な意見に耳を傾け最善策を探り、その中で決断を下し、結果には責任を負うという、強い覚悟を示す必要がある
だが、菅にはそれができない。「Go Toキャンペーンは感染拡大と関係ない」と強行しながら、批判を浴びると折れて中断する。「緊急事態宣言は必要ない」と言っていたのに、知事や世論の突き上げを食らうと、緊急事態を宣言する。
「柔軟」なのではない。菅の場合、支持率の急落(1月9〜10日、共同通信社調査で前月比9ポイント下落の41・3%など)といった「世間の顔色」を窺い、その場しのぎで泥縄式に対応をコロコロ変えているだけだ。
「菅さんの信条は、『ブレないこと』だった。ところがコロナ禍の中で単に話を聞かない頑迷固陋な政治家と化してしまい、やることなすことすべてが非難を浴び、結果としてブレブレの状態になっているのは皮肉なことです」(自民党ベテラン議員)

官邸も党もバラバラ
リーダーとしての器、政治家としての「器量」とは何か。こんな話がある。菅の政治上の師である梶山静六(元官房長官)は、定期的に「悪口会」と称する会合を番記者たちと開いていたという。
「梶山さんは、記者を集めて『俺に関する悪評をすべて教えてくれ』と言って、自分がどんな批判を世間やメディアで受けているか、ひたすら聞く会を開いていました。
時には、記者たちが正直に伝える罵詈雑言があまりに酷いため、『バカにしているのか!』と梶山さんが激怒して退席してしまうこともあった。それでも本人がすぐ気を取り直し、会は続いたのです。
菅さんには、そうした懐の深さがない。だから、周囲にイエスマンや太鼓持ちしかいなくなる批判する者、反対意見を唱える者は、即時排除する。その器の小ささ、狭量さが、これまでのすべての失策に繋がっている」(自民党閣僚経験者)
官邸はもちろん、与野党も役所も、民間もすべてが一丸となって協力しなければ、到底、このコロナ禍は乗り切れそうにない。だが、菅にはそれをまとめるだけの「器量」がない。したがって、迷走し、混乱だけが広がっていく。
自民党代議士の一人がこう証言する。
「年明けから、加藤(勝信官房長官)さんが、森山(裕国対委員長)さんの事務所に何度も通っている。本来、官邸と国対委員長との間を繋ぐ坂井(学)官房副長官がまったく機能しないからです。
森山さんは『こんなに相談や報告に来ない奴は初めてだ』と怒っていた。それで仕方なく、加藤さんが国対とやり取りをする羽目になっている」
菅政権の後ろ盾は、言うまでもなく、二階俊博幹事長。両者の関係は蜜月と言われてきた。ところが実際は、双方の意思疎通がうまくいかなくなっているという。
「森山さんは、『国会議員の会食は4人まで』というルールを作ろうとして猛批判を浴びた。会食好きの二階さんに配慮したものでしたが、完全に『戦犯』扱いとなり、すこぶる機嫌が悪い。
一方で、下村(博文政調会長)さんが、『4月には政局になる』などと言い出し、『(下村が所属する)細田派が仕掛けてきた』と、派閥抗争の火種も生じている。
つまり、官邸、国対、党すべてが、いまやバラバラになって政府が空中分解しかけている。コロナ対策がうまくいくわけがないんです」(同)
菅が無力ぶりを露呈して苦悶する中、後見役を自任するはずの二階は、表面的には菅を擁護する立場を取っている。
「二階さんは1月7日、党本部に側近の林幹雄選対委員長代理らを集め、観光立国調査会を開き、『緊急事態宣言終了後の、速やかなGo Toキャンペーン再開』などを求めました。
政府へのかなりのプレッシャーになることは間違いありませんが、菅総理については、『支持率なんか気にすることはない。文句をつけようと思ったらいくらでもつけられるが、だったらお前がやってみろってんだ』などと言って庇っています」(二階派担当記者)
とはいえ、融通無碍で朝令暮改の二階のこと。こうした発言を真に受ける者はそう多くない。
「二階さんは、ポスト菅を見越して、自分の手駒探しを始めています。幹事長代行に据えた野田聖子に、『どんどん発信していい』とお墨付きを与えて露出させている。昨年末には密かに石破(茂元幹事長)とも会談し、手持ちのカードとして保持している」(二階派関係者)
菅がコロナ対策に失敗したのは、観光産業を重視する二階に対する度を越した配慮が原因と見られているが、だからと言って二階は、「菅と心中する」と考えるような男ではない。
重要なのは、「選挙に勝てる(人気の)総理総裁であること」。支持率が暴落した菅は、今後あっさり切り捨てられる可能性が高まっている。

もう解散もできない
政治アナリストの伊藤惇夫氏は、「菅政権は、かつての三木武夫政権に似ているような気がする」として、こう語る。
「'74年、田中角栄が金脈問題で辞任した後、当時の椎名悦三郎副総裁が、後継に三木さんを指名して三木政権ができました(椎名裁定)。ところが、三木さんがロッキード事件の真相究明に積極的に動き出すと、自民党内から猛反発を食らって、追い込まれたのです」
三木批判に回った者の中には、後継指名をした張本人の椎名も含まれていた。「なぜ?」と聞かれた椎名は、「(政権を)生んだのは私だが、育てると言った覚えはない」などと嘯いたとされる。
「三木さんは解散総選挙に打って出て局面を打開しようとしましたが、閣僚を含め周りが反対して任期満了まで選挙ができず、最後には惨敗して辞任しました。
三木さんと菅さんの共通点は、三木さんは弱小派閥で菅さんは派閥さえなく反主流派だったこと。そして、権力者の二階幹事長による『裁定』でできた政権という点です。
二階さんも、自分が作った政権だからといって、体を張って菅総理を守るかといえば、それは考えられない。三木おろしをやったのは当時の福田派と大平派ですが、今で言うと、細田派と麻生派になります」(伊藤氏)
菅の命運はこのまま尽きてしまうのか。自民党幹部の一人もこう語る。
ここまで不人気になっては、菅総理に解散をする力はなく、10月の任期満了まで待って選挙が行われる可能性が高い。
その直前、9月の自民党総裁選で国民人気の高い『選挙の顔』を選ぶことになるが、小泉進次郎などは経験不足だし、めぼしい候補がいない。顔になり得るのは河野太郎(行革相)くらいか」
国民にとって不幸なのは、いずれにしてもコロナ禍は当面、菅総理のもとで戦わざるを得ないということ。穴の開いた器で水を掬うような、虚しい努力になりはしないか……。(文中一部敬称略)
                『週刊現代』2021年1月23日号より