2022年2月4日金曜日

ワクチンでは収束しないオミクロン株 分科会を開かない岸田首相

 2日の衆院予算委で立民の長妻昭議員によって、岸田首相が昨年の11月16日を最後に、コロナの分科会を一度も開いていないことが明らかにされました。専門家は「早く開いてほしい」と訴えていたのにもかかわらず、オミクロン株の対策などの本格的な議論は一切行われていないということです。分科会の尾身会長と首相の折り合いの悪さを指摘する声もあるようですが、それが理由とはまさに「絶句モノ」です。
 もしも岸田氏が第5波のときのように、いずれ波が引くように収まると考えているのだとしたらトンデモナイ間違いです。ワクチンのブースター接種で収まるという考えもそうです。
 ワクチン接種の最先端国であるイスラエルは1月から既に第4回の接種をスタートさせていますが、それにもかかわらず1月末以降感染爆発を起こしていることを岸田氏はどう認識しているのでしょうか。
 そもそも仮にブースター接種に賭けているのであれば、何故ワクチンの手配が遅れているのでしょうか。感染者の治療薬が出回りつつある中で、その手当も大いに遅れています。いずれにしてもオミクロン株を甘く見るべきではありません。
 日刊ゲンダイの記事、イスラエルの感染爆発に関する記事、コロナ特効薬「モルヌピラビル」に関する記事、以上3つの記事を紹介します。
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「コロナ分科会」昨年11月以降“開催ゼロ”の仰天!岸田首相は尾身会長をうざがっている
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 衝撃の事実、である。専門家らが政府の新型コロナ対策を議論する「新型コロナウイルス感染症対策分科会」が、昨年11月16日(第11回)を最後に一度も開かれていないというのだ。
 同分科会は、法律にのっとったコロナ対策唯一の会議で、「新型インフルエンザ等対策特措法」の付則として昨年4月1日付で設置された。同じ分科会でも、「基本的対処方針分科会」は今年に入って4回開催されているが、いずれも「まん延防止等重点措置」の適用や追加適用に合わせて開かれたもので、具体的なコロナ対策についての議論は“セレモニー”の付け足し程度しか行われていない。

■オミクロン株対策 本格議論はナントこれから
 つまり、年明け以降に感染者が激増した、オミクロン株の特性に合わせた対策変更などの本格的な議論は、公式には一切行われていないということだ。専門家は「早く開いてほしい」と訴えていたのに、岸田首相は“聞く耳”を持たなかったのである。
 この事実は、2日の衆院予算委員会での長妻昭議員(立憲民主党)の質問で取り上げられ、岸田首相は「分科会(基本的対処方針の方)は開かれている。対策を変えていないわけではない」と言い訳に終始だった。しかし、山際大志郎コロナ担当相は事実を認めざるを得ず、「専門家と相談しながら、速やかに開く方向」「オミクロン株対策が中心になるので、何を論点にして、何を変えるのか、整理しなければならない。そうお待たせしないで必ず開く」と答弁せざるを得なかった。

尾身会長との折り合いの悪さ
 なぜ分科会は開かれなかったのか。官邸や厚労省などの内情を知る関係者はこう話す。
「菅前首相以上に岸田首相は分科会の存在を煙たく思っているようです。オミクロン株については、重症化しにくいとされてきたので、大騒ぎする必要はない、このまま自然にピークアウトするのを待てばいい、と岸田首相は考えている。分科会を開いて専門家にうるさく言われるのが嫌なのですよ」
 分科会の尾身会長との折り合いの悪さを指摘する声もある。
「だから、岸田・尾身両氏揃っての記者会見が一度も開かれていない」(自民党関係者)
 2日はとうとう新規感染者が9万人を超えた。オミクロン株の感染爆発真っただ中なのに、これからオミクロン株の特性に合わせた対策を検討するなんて、あまりに遅すぎる。そんなに尾身会長が嫌なら、他に代えるなどしてでも科学的な知見を得て、スピード対応すべきだろう。ウスノロ岸田首相じゃ、やっぱりヤバイ。


終わりは来ない:イスラエルの1日の新たなコロナ死者数がパンデミック開始以来最大を記録    https://earthreview.net/israeli-death-chain/ 
                          地球の記録 2022年2月3日
世界で最も迅速にブースターショットを展開し、世界で初めて「4回目のコロナワクチン接種」の実施に踏み切ったイスラエルについては、その感染状況や重症化数の動向をわりと日々見てきました。
イスラエルは、ワクチンあるいはブースター接種の「効果」を示す指標となる国だからです。
最近では、イスラエルは、ついに人口あたりの感染数で「世界ナンバー1」となったことを以下の記事で取りあげています。
イスラエルの人口あたりの感染数が「世界一」に。あまりの急増にイスラエル保健省のシステムがクラッシュし、感染数カウントを停止 投稿日:2022年1月25日

そして、イスラエルは今になり、再び新たな記録を打ち立てています。
「 1日の新たな死者数が過去最大」となったのでした。
以下は、2月1日までのイスラエルのコロナ死者数の推移グラフ です。過去約 2年の全期間です。
   (グラフ省略 参照 ⇒ ourworldindata.org 

イスラエルでは、現在、第5波というようなことになっていますが、ちょうど1年ほど前の第3波に記録された 1日 101人の死者数を超えた、1日 121人の死者が、2月1日に記録されました。
デルタ株の流行期から現在までの新たな死者数の推移を見ますと、オミクロン株では、デルタを大幅に更新してきており、死亡事例の増加のスピードもデルタ株よりはるかに高いことがわかります。

 デルタ株とオミクロン株の死者数の推移の比較グラフ 
   (グラフ省略  参照 ⇒ ourworldindata.org )

日本では、「オミクロン株は重症率、致死率が低い」というように言われていますが、イスラエルでも同様の報道が見られます。
以下は、イスラエル国内の報道です。
Omicron subvariant more transmissible, but may not cause worse illness - expert 

オミクロン株はより感染しやすいが、重症化を引き起こさないかもしれないと専門家たちは述べる
「致死率」などの観点からはそうなのかもしれないですが、しかし、イスラエルでも、あるいは欧米のいくつかの国でも、「死者数そのものはすでにデルタ株を大きく超えている」という現実があります。
病気というのは「感染率と致死率を総合的に考えるべき」ものであり、重症率、致死率が低いとしても、感染力がそれを上回るパワーを持っていれば、結果として「多数が亡くなる」
ということが、イスラエル、あるは現在の多くのヨーロッパの国のデータからわかります。おそらく今後の日本や韓国もある程度はそれに倣うと思われます。
(参考記事)  オミクロンが軽い病気? 欧州各国のデルタを超える死亡数、そしてすでに出現しているオミクロンの新変異種による「永遠の再感染のループ」が導くもの
 In Deep 2022年1月22日

致死率が 10分の1の病気でも、感染率が 20倍なら、結果的に、死に至る事例は 2倍となるというようなことです。

イスラエルの死者数の増加と「ワクチン接種の歴史」を、改めて見てみますと、以下のようになっていました。印が、ワクチン接種開始の時期です。

















これを見ますと、接種あるいはブースター接種が開始されるたびに、死者数が増加していることがわかります。
イスラエルの感染拡大のほうは、そのピークに達したとみられ、感染数は今後、短期間の間、減少していくと見られますが、オミクロンに見られる「死亡の遅延」が出てくるとした場合、死者数の増加はまだしばらく続くと思います。

昨年 11月に最初にオミクロンが検出された国のひとつである南アフリカでは、1月には感染数は大きく減少しましたが、いまだに「緩慢な死亡事例の増加」が続いていることがデータでわかります。
どうもオミクロンは、時間の経過と共にじわじわと死亡事例が増える場合もあるのかもしれませんが、イスラエルでも同じようなことになった場合、今後も死者数はゆっくりと増え続けていく可能性があります。
そして、その後、すぐに次の再感染の嵐がやってくると見られます。ブースターを進めている国に終わりはないのです。


コロナ特効薬「モルヌピラビル」入手困難のナゼ…専門家も呆れる厚労省の“不手際”ぶり
                        日刊ゲンダイ 2022年2月2日
 すぐに使えるはずのコロナ特効薬「モルヌピラビル(商品名ラゲブリオ)」が使えず医療現場に不満と動揺が広がっている。
 米メルクが開発し大手製薬会社MSD(本社・東京)が、昨年末に新型コロナウイルス感染症の治療薬として国から特例承認を受け製造販売している初の飲み薬だ。
 本来ならとっくに一般流通し、重症患者の減少に寄与しているはずなのだが、実は厚生労働省が設けた流通の縛りで、医療機関も製剤薬局も入荷困難な状態が続いているのである。
 現状、安定供給が難しいため一般流通は行わず、厚労省が所有し配分するとし、①薬剤の配分を受ける医療機関、製剤薬局は、都道府県と厚労省が薬剤の供給を委託したMSDの登録センターへの登録の義務②本剤は薬局が責任を持って患者宅に届ける③薬の発注は1回につき3人分まで──とする通達を医療機関、薬局に出しているのだ。

異常な薬局への条件
 事前に都道府県に登録しリストに掲載されていることが薬剤発注の必須条件になっているのだが、薬局への条件は異常だ。わだ内科クリニック(東京・練馬区)の和田眞紀夫院長が疑問を投げかける。
「薬局の登録は夜間、休日、時間外、緊急時の対応が可能とする要件を満たすことを条件にしています。つまり24時間対応できなければ登録申請はできないということです。診療所内で薬剤を管理する院内処方の施設や24時間対応している大手調剤グループは登録できても、院外処方しているほとんどの調剤薬局では登録申請できない状態です。そのため多くの診療所がラゲブリオの処方ができずにいるんです」
 さらにこう続ける。
「24時間対応の条件でも薬局に負担なのに、薬剤は責任を持って直接患者の元に届けるとされています。これでは感染者が急増したら医療従事者だけではなく、薬剤師も含め医療システムは破綻します」

現実離れした発注“縛り”
 これだけではない。薬の発注は1回につき3人分までとする現実離れした縛りは、1日に患者が5~6人来たら処方箋は回らなくなる。しかも、発注は必要な患者が発生してから行うと指示され、さらに本剤が届くまで発注から2日程度かかるため、当日の患者に薬を出すことは不可能といえる。
 ラゲブリオの処方は、18歳以上で重症化リスクの高い軽症・中等症の患者が対象で、入院や死亡リスクを30%下げる効果が確認されている。医療ガバナンス研究所の上昌広理事長が厚労省の指導に呆れてこういう。
ラゲブリオはものすごい特効薬で世界中で確保の動きが加速しています。それにしても一般流通する薬を発注するのに二重の登録をさせるとか、薬局に配達させるとか、本来まったく必要のないことです。厚労省が薬剤の確保に遅れ、少ない契約しかできなかったことの責任追及を逃れるための縛りです」
 ワクチン供給で世界から後れを取った日本、今回の治療薬でも不手際が繰り返されている。

在日ビルマ市民労組がシンポ 圧政に負けず市民は何度でも立ち上がると

 ミャンマーで国軍がクーデターを起こし、アウンサンスーチー氏率いる国民民主連盟から政権を奪って2月1日で1年なります。軍事政権は、クーデターに抵抗する民主派勢力と市民への激しい弾圧を継続していますが、「国民統一政府」などの民主派勢力は、政治運動や市民不服従運動・ストライキを続け、各地で「国民防衛隊」による武装抵抗を強めています。1日付のしんぶん赤旗が報じました( ⇒ ミャンマー クーデター1年 )。
 ミャンマー1年前を含めてこれまで3によるクーデターを経験しています
 1度目は1962年、2度目は1988年、民主化を求める学生、市民による大規模なデモ、ゼネストを国軍が鎮圧し、このときにアウンサンスー・チー氏は自宅軟禁となりました。
 3度目から1年が経過する中で、国軍の弾圧による犠牲者は増えるばかりで、死者は1507人、クーデター後に不当に逮捕・拘束された人は11902人、84人が死刑を宣告されました(2月1日時点)。国内難民は約40万人で、周辺のインド、タイへの避難民は約3万2000人です。
 21日、在日ビルマ市民労働組合シンポジウム「ビルマ民主化のゆくえ」きました。「レイバーネット日本」に松本浩美氏の報告が載りましたので紹介します。
 そこには、3度目のクーデターでは、平和的にデモをやっている市民を軍が殺害するなど過去2回のクーデターより残酷な行為が行われていること、抗議行動で中心となっているのは若い世代で、女性が多く参加し、少数民族の人たちとも連帯していること、デモのやり方は色々と工夫されていて学生、市民、労働組合など広範な層が参加していることが報告されました。
 何よりも、ミャンマーの人たちお互い励ましあいできることを探しながら闘っているのは、ピンチのとき立ち上がるのが人としての義務、という考えが社会に根付いているからだとされているのは、日本社会を覆っている無力感と対照的です。
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在日ビルマ市民労働組合がシンポジウム開催
ミャンマー国軍クーデターから1年〜「圧政に負けず、市民は何度でも立ち上がる」
                       レイバーネット日本  2022-02-02
報告=松本浩美
 ミャンマー国軍のクーデターから1年が経過した。国軍の弾圧による犠牲者は増えるばかりだ。死者は1507人、クーデター後に不当に逮捕・拘束された人は11902人、そのうち84人が死刑を宣告(2月1日現在。ミャンマー政治犯支援協会)。そして、国内避難民は約40万人。周辺のインド、タイへの避難民は約3万2000人と推定されている。ビルマの人口およそ半数の約2500万人が貧困ラインより下にいる。
 2月1日、シンポジウムを開催した在日ビルマ市民労働組合(以下FWUBC)主催で、シンポジウム「ビルマ民主化のゆくえ」が開催された(@連合会館)。FWUBCは2002年、軍の迫害から逃れて来日した難民申請者、非正規滞在者によって結成。以来、ミャンマー人コミュニティの中心として、労働問題に取り組んできた。
 シンポジウム開会前、ミャンマーの民主化を支援する超党派の議員連盟から石橋通広議員(立憲民主党)によるメッセージ動画が流された。
クーデターは長年の民主化の努力を水泡に帰す、絶対に許すことができない。私たちも働きかけてきたが、残念ながら日本政府は目に見える結果を出していない。1日も早く国軍の武力を止めること。アウンサンスー・チー氏はじめ多くの市民の無条件の解放、NUG(国民統一政府)に政権を返還することを求めていく。ミャンマーの人たちのともに民主体制をつくっていくために、私たちもがんばる」

●これまでより残酷な行為が行われている

 ⇒ 動画(ティンウィン報告 43分)

 トップバッターのパネラー、ティンウィンさんはマンダレーで生まれ、ビルマでは少数派のムスリムだ。1989年軍政の迫害から逃れるため来日。1999年難民認定された。FWUBCの初代代表を務めた。2015年帰国したが、昨年(2021年)6月再び日本へ逃れてきた。
 ミャンマーは3度軍のクーデターを経験している。1度目は1962年、国軍のネウィンが起こしたもので、これにより軍事政権が成立。2度目は1988年、民主化を求める学生、市民による「8888」と呼ばれる大規模なデモ、ゼネストを国軍が鎮圧。このクーデターにより、運動のリーダー、アウンサンスー・チー氏は自宅軟禁となった。
 ティンウィンさんは「8888」に参加した経験を持つ。奇しくも3度目のクーデターを経験することになった。
「今回は、民主化に向かう途中でのクーデター。平和的にデモをやっている市民を軍が殺害する状況は、これまでなかった。2回のクーデターより残酷な行為が行われている。私は市民が軍に連行される様子を見てきた。軍は家に押し寄せて逮捕していく。小さな子どもが親に駆け寄ったところを兵士が発砲、子どもが亡くなった事件もあった」
抗議行動で中心となっているのは若いZ世代。女性が多く参加し、少数民族の人たちとも連帯しているところは私たちの頃と違う。もう一つ大きいのはSNSの存在。私たちは、仲間を集めるときビラを刷るしかなかった。しかし、今はSNSで情報を瞬時に送ることができる。軍は情報を隠しても市民は何が起こっているか発信できる。圧政に負けず、これからも市民は立ち上がる」

●闘うミャンマーの人から教えられること
 次に登壇したのは、2014年にミャンマーに移住し、昨年軍によって拘束され、5月に開放されたフリージャーナリストの北角裕樹さん。7年滞在した理由を「いい時代だったから。『これから国はよくなっていく』という雰囲気にあふれていた」と振り返った。
「民政移管で輸入解禁、規制緩和が行われたことで、市民が車や携帯電話が買えるようになった。親世代ができなかったことが、子ども世代だと簡単にできるようになった。お金を稼ぎたい、起業したい、留学したいという若者も出てきた。また、検閲がなくなってから、今までなかったメディアがたくさん生まれ、ジャーナリストを目指す人が出てきた」
「クーデターの兆候はあった。1月の記者会見で軍はクーデターの可能性をはっきりと否定しなかったうえ、装甲車が街中を通っていた。しかし、まさか軍がぶち壊すことはないだろうと思っていた」クーデター直後、市民の間から「このまま軍に支配されてしまうのではないか」などと悲観的な声が聞こえたが、早い段階で医療従事者や公務員を中心にゼネストが起こり、学生がデモを行った。「街に出よう」という空気が一気に広がっていったという。
デモのやり方も興味深かった。参加者が自発的に規制線を張って、通行の妨げにならないようにする。また、水やアイスクリームを配ったり、終わった後のごみ拾いもする。役割分担を決めてやっていた。学生、市民、労働組合を含めて、広範な層が参加していた
 一方、日本人コミュニティでは、「デモに行きたい」という日本人に対してバッシングする空気が流れていたという。「危ないことをするな」「捕まったら迷惑がかかるからやめろ」「外国人はミャンマーの政治に口を出さないほうがいい」など、「お前には何もできない」という説得の仕方だったという。
ミャンマーの人たちはお互い励ましあい、できることを探しながら闘っている。みんな人助けが大好き。子どもの頃から助けられた経験があるし、ピンチのとき立ち上がるのが人としての義務、という考えが社会に根付いている。闘うミャンマーの人たちから教えられることはたくさんある。日本社会を覆っている無力感を覆したい」

●日本でデモに行こうとすると「賃金カットするぞ」
 ラストのパネラーはFWUBCの副会長を務めるポーンラインさん。FWUBCでは、クーデター直後から抗議行動を開始、渋谷・国連大学前でのデモでは約3000人が集まった。デモや集会を組織する傍ら、日本政府への陳情、NUGへの支援など、活動を続けている。
 活動の主体となるのは若いミャンマー人であり、働きながら、デモや集会に参加している。「クーデター発生後、デモに行こうとすると雇用主や監理団体から『賃金カットするぞ』と止められるケースが多発している。労働者の多くは技能実習生で、賃金未払いだけでなく、雇用主や上司などによる暴力、ハラスメントなどの被害も深刻だ」
 昨年FWUBCに寄せられた労働相談件数は330件であった。今年に入ってからも、すでに42件に達している。通常20~30件であり、急増していることがわかる。自殺も3件起こっている。2020年8月長崎県で、今年に入ってから1月に奈良県で、そして本日(2/1)山形県から報告があったという。

●日本政府はどちらの味方か?
 最後に日本政府、社会に望むこととして次のように訴えた。
日本政府は国軍と特別なパイプがあり、説得に向けて努力しているというが、何も進展していない。国軍との関係を変えるべき。また、ミャンマーでは国軍がビジネスを行っており、ODAは国軍への利益となる。継続中のODAも中止すべき。日本企業が国軍と組んで儲けるような仕組みをやめるべき」(ティンウィンさん)。

日本ミャンマー協会という団体があり、そこの代表は国軍と深いつながりがあると聞いている。また、同会は日本の政治家に対する影響力も大きいと言われている。日本政府はいったいどちらの味方なのか? 市民と国軍、二股かけているのではないか? 日本の会社や労働組合は、ミャンマー国軍と付き合いを断つように、プレッシャーをかけてほしい」(ポーンラインさん)。 

04- 今、ウクライナの大統領を交代させたがっているのはアメリカ政府(櫻井ジャーナル)

 2014年2月に米国が起こしたウクライナでのクーデター後、新体制の大統領に親米派のペトロ・ポロシェンコが就きました(同年6月)。しかしウクライナではクーデター実行部隊のネオ・ナチが跋扈していたため結局、破綻国家になりました。そうした状況への不満から2019年5月、ウクライナの国民はボロディミル・ゼレンスキーを大統領に選びました。ゼレンスキーも米国の権力には従っていましたが今年1月28日、「侵略が差し迫っているという間違った警告はウクライナの経済を危険な状態にすると発言し、パニックを作り出そうとしないよう西側の記者に求めました。その2日前ロシア、ウクライナ、フランス、ドイツの代表がパリでウクライナ情勢について討議、事態を平和的に解決することで合意していました。ゼレンスキー大統領の発言は、いわば米国専制からの離脱宣言でした。

 政府が圧力をかける中、フランスドイツ(それにイタリアなど)は事態の平和的な解決を模索しています。これは2014年の2月のクーデター前夜と同じ状況ですが、勿論米国には最早クーデターを起こす力はないし、そんな状況でもありません。
 米国のNATO内での力関係もその頃とは変わりつつあるし、米国とロシア・中国との力関係も明確に変わりました。
 櫻井ジャーナルが「今、ウクライナの大統領を交代させたがっているのはアメリカ政府」とする記事を出しました。2014年のクーデター以降の米国を巡る状況が述べられています。
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今、ウクライナの大統領を交代させたがっているのはアメリカ政府
                         櫻井ジャーナル 2022.02.02
 ウクライナ内務省のデニス・モノステルスキー大臣と警察を統括しているイゴール・クリメンコは1月31日、社会の不安定化を狙って抗議活動を計画していた人物を逮捕したと発表した。5000名以上が平和的なデモに紛れ込み、暴力行為に出ようとしていたされている。
 このシナリオは2013年11月から14年2月にかけてバラク・オバマ政権がネオ・ナチを使って実行したクーデターを思い出させる。その時はまずキエフのユーロマイダン(ユーロ広場、元の独立広場)で「カーニバル」的な集会を開くところから始まった。
 その抗議活動を話し合いで解決しようとしたEUに怒ったのがアメリカのビクトリア・ヌランド国務次官補。ジェオフリー・パイアット米国大使とヌランドが電話で「次期政権」の閣僚人事について話している音声が2014年2月上旬にインターネットへアップロードされたのだが、その中でヌランドは「EUなんかくそくらえ」と口にしたのだ。彼女は暴力的にビクトル・ヤヌコビッチ政権を転覆させるつもりだった。話し合いではヤヌコビッチの影響力が残ってしまう。政権が続く可能性も小さくない。
 2月18日頃になるとネオ・ナチの集団は棍棒、ナイフ、チェーンなどを手にしながら石や火炎瓶を投げ、ピストルやライフルで銃撃を始め、広場では無差別の狙撃があった。狙撃を指揮していたのは西側が支援していたグループの幹部でネオ・ナチのアンドレイ・パルビーだということは後に判明する。
 ヤヌコビッチが排除されて3日後の2月25日に現地入りしたエストニアのウルマス・パエト外相は現地を調査、狙撃したのはクーデター派だとEUのキャサリン・アシュトン外務安全保障政策上級代表(外交部門の責任者)へ電話で報告しているが、これはもみ消されそうになった。表面化したのは、その会話を何者かがインターネット上に流したからだ。その音声は本物だとパエトは語っている。
 その後、ウクライナはネオ・ナチが跋扈する破綻国家になる。そこをアメリカ/NATOは軍事的な支配地にしてロシアへ攻撃できる態勢を整えようとした。自分たちで訓練したネオ・ナチだけでなく、周辺国から兵士を入れ、アメリカの傭兵会社からも戦闘員を雇い入れている。
 ロシアにとってウクライナは侵略する価値のない国になったが、アメリカ/NATOの軍事的な拠点になることは認められない。1941年6月にドイツが「バルバロッサ作戦」を始めた時よりも状況は悪くなってしまうからだ。
 オバマ政権がネオ・ナチを使ったという事実を「親米派」は封印しておきたかっただろうが、ウクライナにもインターネットはあり、携帯電話で状況は世界に発信された。当初はBBCでさえ、クーデターの主体がネオ・ナチだということを報道していた

 オバマ政権で副大統領を務めた現大統領のジョー・バイデンは「脅せば屈する」という政策をロシアや中国に対しても使っている。ロシア政府がアメリカ/NATOの軍事的な支配地拡大はロシアの安全を脅かすと主張し、NATOをこれ以上東へ拡大させないこと、モスクワをターゲットにできる攻撃システムをロシアの隣国に配備しないこと、ロシアとの国境近くで軍事演習を行わないこと、NATOの艦船や航空機をロシアへ近づけないこと、定期的に軍同士の話し合いを実施すること、ヨーロッパへ中距離核ミサイルを配備しないことなどを保証する文書を作成するように求めた
 そうした求めをアメリカのアントニー・ブリンケン国務長官やNATOのイェンス・ストルテンベルグ事務局長は拒否、それから3日後の1月10日にアメリカのウェンディ・シャーマン国務副長官はロシアのセルゲイ・リャブコフ外務次官とジュネーブで会談したが、予想された通り進展はない。
 リャブコフ次官は交渉が袋小路に入り込んだと表現、双方の問題への取り組み方が違い、交渉を再開する理由が見つからないとも語ったという。ウラジミル・プーチン露大統領は「戦争を望まないが、戦争したいなら受けて立つ」という姿勢で、「戦争が不可避なら先手を打つ」と考えているとも言われている。核戦争で脅せばロシアは怖気付いくとバイデン政権は考えたのかもしれないが、そうした展開にはならなかった
 1月18日にドイツのアンナレーナ・ベアボック外相はモスクワでロシアのセルゲイ・ラブロフ外相会談、今後のことはアメリカ政府次第だと言われたという。21日にはドイツ海軍の海軍総監だったケイ-アヒム・シェーンバッハ中将がニューデリーのシンクタンクで、ロシア軍がウクライナへ軍事侵攻しようとしているとする話は「ナンセンス」であり、ウクライナがクリミアを取り戻すことな不可能だと語る。それが問題になり、中将は1月22日に辞任を申し出ている。
 1月21日にはアメリカのアントニー・ブリンケン国務長官とロシアのセルゲイ・ラブロフ外相がジュネーブで会談している。ロシアがなぜ会談に応じたのか訝る声も聞かれたが、ともかく会談は行われた。ラブロフ外相はルーマニアやブルガリアを含む国から外国の軍隊を引き上げさせることも求め、ブリンケン長官は次の週に回答するとした。その後、文書は渡されたものの、回答はしていない。
 1月26日にロシア、ウクライナ、フランス、ドイツの代表がパリでウクライナ情勢について討議、事態を平和的に解決することで合意。ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキーは西側の記者に対し、侵略が差し迫っているという間違った警告はウクライナの経済を危険な状態にすると発言、パニックを作り出そうとしないように求めた。ロシア軍の軍事侵攻が迫っているという話をウクライナの国防省は否定、ドミトロ・クレバ外相も軍事侵攻するために十分な兵力は集結していないと語っている​が、いずれもアメリカ政府のシナリオに反している
 それでもジョー・バイデン米大統領は1月27日、ロシア軍が来月にもウクライナへ軍事侵攻する可能性があると主張した。それをロシア政府は否定しているが、私的権力が支配する有力メディアを使い、アメリカ政府はプロパガンダを続けている
 そして今回の逮捕劇。実際にウクライナの内務大臣が言うようなことが行われていたなら、手口にしても、動機にしても、実行者はひとつの国に絞られる。勿論、ロシアではない。

2022年2月3日木曜日

医療ひっ迫 検査拡充必須 共産・小池書記局長が主張

 共産党の小池晃書記局長は31日、BS-TBSの番組「報道1930」に出演し、オミクロン株の感染防止とワクチン接種について自民党の武見敬三参院議員らと議論しました。

 小池氏は、オミクロン株濃厚接触者の待機期間を7日間に短縮(28日)したことに関連して、7日間待機後の発症リスクが5%程度ということについて、「無視できない数字だ。潜伏期間が短いので短縮に合理性はあるが、その場合は検査も併せて行う必要がある」、「社会経済機能の維持と感染抑止を両立させる最大のツールは検査だ」と述べました。
 武見氏は、「検査によって社会を回すという体制をつくる発想が欠けていたことについて、「おっしゃる通り。市中感染が広がった場合、経済社会を動かす検査体制を日本はつくってこなかった」「いろいろな課題を残していることは事実」などと認めました
 政府は抗原検査キットの供給量を1日80万回分まで引き上げるとしていますが、小池氏は米国は10億回分の検査キットを無料配布し、PCR検査について、日本は1日当たり38万件の能力だが、韓国は75万件、英国は96万件、米国は800万件を実施しているて、日本が桁はずれに劣っていると指摘しました。
 また、「感染が下火になっていた昨年10月~12月にかけて検査体制・能力をつける一番いい時期だった。政府はこの3カ月間何をやってきたのか。検査し、感染者を保護するという感染症対策の基本がなっていない」と厳しく批判しました。
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医療ひっ迫 検査拡充必須 BS番組 小池書記局長が主張
「体制つくらなかった」自民認める
                       しんぶん赤旗 2022年2月2日
 日本共産党の小池晃書記局長は1月31日、BS―TBSの番組「報道1930」に出演し、新型コロナウイルスのオミクロン株の感染防止とワクチン接種について自民党の武見敬三参院議員(自民党新型コロナウイルス対策本部・本部長代理)らと議論しました。
 番組では同日の全国の重症者が783人にのぼり、1月初旬の100人から急拡大していることが紹介されました。小池氏は「深刻な数字だ。医療従事者が濃厚接触者となり、外来の診療が止まるなど第5波とは違う形で医療ひっ迫が起きている。新規感染者、病床使用率などの数字だけで判断せず、いろんな指標を総合的に見ていかないといけない」と述べました。
 厚生労働省は、これまでの変異株より待機期間が短くても発症のリスクが低いとの理由から、オミクロン株の濃厚接触者の待機期間について、1月14日から10日間へ、同28日から7日間へ短縮しました。国立感染症研究所は濃厚接触者の発症リスクが10日間では1%まで下がる一方、7日間では5%程度だとしています。
 小池氏は「7日間待機で5%程度の発症リスクがあるのは無視できない数字だ。潜伏期間が短いので短縮に合理性はあるが、その場合は検査も併せて行う必要がある。社会経済機能の維持と感染抑止を両立させる最大のツールは検査だ」と述べ、待機期間の短縮にはPCR検査の拡充が必須だと強調しました。

前倒しが後回し
 番組では、日本のワクチンの3回目追加接種が3・2%(約408万人)にとどまり、OECD(経済協力開発機構)加盟国で最下位であること、接種期間の変更によって全国の自治体が対応に追われている様子がVTRで紹介されました。
 武見氏が「国は供給の見通しがついてから変更の発表をしている。その流動性をきちんと理解している自治体はあっぱれだ」などと発言したのにたいし、小池氏は「政府が1月末までに接種目標とする1469万人にたいして現時点で408万人、3割もいっていない。前倒しどころか後回しだ」と指摘。
 その上で小池氏は、昨年末にワクチンの在庫を確保していたにもかかわらず、政府が科学的根拠のない「原則8カ月」方針を打ち出したために東京・世田谷区などでは接種時期が遅れたことを示し、「自治体の接種開始にストップをかけた責任は大きい。国の失敗を棚に上げて『あっぱれ』などという資格はない」と厳しく批判しました。
 松本哲哉国際医療福祉大学教授は「本当に国の判断がぶれた。自治体は右往左往しているような状況だ」と述べました。
 司会の松原耕二氏から「『検査によって社会を回す』という体制をつくる発想がこの国はあまりなかったのでは」と問われた武見氏は、「おっしゃる通り。市中感染が広がった場合、経済社会を動かす検査体制を日本はつくってこなかった」「いろいろな課題を残していることは事実」などと述べました。
 松本氏は「本当に準備をしてこなかったつけを払わされている。これが最後の波ではないと思い、次はくり返してほしくない」と批判しました。

各国にならって
 小池氏は、岸田首相は抗原検査キットの供給量を1日80万回分まで引き上げるとしているが、アメリカは10億回分の検査キットを無料配布し、PCR検査について、日本は1日当たり38万件の能力だが、韓国は75万件、イギリスは96万件、アメリカは約800万件を実施していると指摘しました。
 小池氏は「感染が下火になっていた昨年10月~12月にかけて検査体制・能力をつける一番いい時期だった。にもかかわらず、政府はこの3カ月間何をやってきたのか。検査し、感染者を保護するという感染症対策の基本がなっていない」と厳しく批判しました。「これを反省して、今からでも万全の検査体制をつくることに、総力を挙げなければいけない。それが命と暮らし、経済を両立させる道だ」と主張しました。

佐渡金山の世界遺産推薦 「歴史戦」は根本的な誤り/日本が支払わされる代償

 共産党の志位委員長は1日、記者会見し、政府が「佐渡島の金山」の世界文化遺産への推薦を決定したことへの受け止めを問われ、「世界遺産に推薦登録する以上は、戦時の朝鮮人労働者の強制労働の事実を認めるべきだ」と述べました。また、安倍晋三氏らが「歴史戦をたたかえ」などと叫んでいることに「根本的に間違った議論だ」と批判しました。

 実証主義の学問である「歴史」において「歴史戦」などという言葉はこれまでなく、それは「歴史」に新たな概念を持ち込みたい側(極右)が作った造語です。
 彼らが過去の歴史の内から都合の良い部分だけをピックアップしようとする動きに対して、小池氏は、「佐渡金山の文化遺産としての価値は、負の歴史も含めて、歴史全体の文脈の中で位置付けられるべきだ」と指摘しました。
 そして「戦時に佐渡金山で朝鮮人の強制労働が行われていたのは歴史的事実である」として、新潟県が編さんした『新潟県史』や旧相川町が編さんした『相川の歴史』という二つの公文書に強制労働の実態が克明に記されていることを挙げ、「強制動員、強制労働の事実は動かせない」と述べました。
 そしてNHKが「歴史戦チーム 政権の歴史認識に基づき 事実集めて検証進め 国際社会の理解得る目的」などと報じたことについて、「根本的に間違っている。『政権の歴史認識』が先にあり、それにあう事実だけを集めるということは、歴史の改ざん、偽造をしていくことになる」として、「公共放送のあり方として大きな問題がある」と指摘しました。  しんぶん赤旗が報じました。
 日刊ゲンダイも、政府世界文化遺産登録を目指し、「佐渡島の金山」の推薦書をユネスコに提出したことに関連して、日本には「先に解決すべき〝宿題” が残ったままである」と指摘し、15年に「明治日本の産業革命遺産」世界遺産に登録された際、そのひとつである「軍艦島」(長崎県)について、日本政府は朝鮮人強制労働を含む「犠牲者を記憶にとどめる措置をとる」と明言していたのですが、20年に、逆に「徴用工への差別について聞いたことがないとの証言を紹介」するなどしたため、昨年ユネスコの世界遺産委員会は徴用工に関する説明が不十分だとして、全会一致で「強い遺憾を示す」決議を突き付けたことを紹介しました。
 そして問題の本質は日本が国際社会との約束を履行できていないことだとして、佐渡金山の登録を巡っても軍艦島と同様の問題にぶつかり、日本は「国際社会の冷たい視線」を浴びるという代償を支払うことになると警告しました。
 二つの記事を紹介します。
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1月31日)佐渡金山の世界文化遺産申請 政府は戦時の朝鮮人強制労働の事実を認めるべき
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佐渡金山の世界遺産推薦を閣議決定 歴史の事実に向き合い誤り認めよ
志位委員長が会見
                        しんぶん赤旗 2022年2月2日
 日本共産党の志位和夫委員長は1日、国会内での記者会見で、政府が同日の閣議で「佐渡島(さど)の金山」(新潟県)の世界文化遺産への推薦を決定したことへの受け止めを問われ、「世界遺産に推薦登録する以上は、戦時の朝鮮人労働者の強制労働の事実を認めるべきだ」と述べました。また、この問題に関わって「歴史戦をたたかえ」などと叫ぶ動きがあるとして「根本的に間違った議論だ」と批判しました。
 志位氏は、国連教育科学文化機関(ユネスコ)や国際記念物遺跡会議(ICOMOS)の原則に照らして、「世界遺産の推薦登録にあたっては、過去の歴史の一部分だけでなく、負の歴史も含めて、歴史全体の文脈の中で位置付けられるべきだ」と指摘しました。
 「戦時に佐渡金山で朝鮮人の強制労働が行われていたのは歴史的事実であり、しっかり認めることが大事だ」と述べ、新潟県が編さんした『新潟県史』(1988年)や旧相川町が編さんした『相川の歴史』(95年)という二つの公文書に強制労働の実態が克明に記されていることを強調しました。
 『新潟県史』では「昭和十四(一九三九)年に始まった労務動員計画は、名称こそ『募集』『官斡旋(あっせん)』『徴用』と変化するものの、朝鮮人を強制的に連行した事実においては同質であった」と強制連行を認め、労働条件について「賃金は『内地人同様』とうたわれているが、両者を職種別に見るなら、その悪平等が判然とする」と明記されていると指摘。朝鮮人が「圧倒的に多数配属されていたのは、削岩と運搬部門であった」との記述を示し、「坑内労働という非常に危険で劣悪な条件下で働かせていたことが書かれている」と語りました。
 また、『相川の歴史』でも朝鮮人の作業職種が、削岩、支柱、運搬などの「主として坑内労働に多くみられる」「労働条件の劣る坑内の採掘はより多く朝鮮人が受け持っていた」と詳細に記述されていると指摘しました。
 志位氏は「この二つの公文書から、強制動員、強制労働の事実は動かせない」として、「この機会に歴史に正面から向き合い、誤りを認めていく必要がある」と述べました。

歴史を“戦場”にしてはいけない
 その上で志位氏は、この問題にかかわって韓国側の主張などに対して「歴史戦をたたかえ」と叫ぶ動きがあると指摘。安倍晋三元首相がタブロイド紙のインタビューで、韓国政府が強制労働の被害などを主張していることに対して「いまこそ、新たな『歴史戦チーム』を立ち上げ、日本の名誉と誇りを守り抜いてほしい」と主張していることを、「これは根本的に間違った議論だ。歴史は戦争ではなく、事実が何より大切であり、事実に正面から向き合うことが必要だ。歴史を“戦場”にしてはいけない」と批判しました。
 さらに、世界遺産への登録のために、岸田文雄首相が官邸内に省庁横断型の作業部会を設置する動きが報じられていること、この動きを、NHKが「歴史戦チーム 政権の歴史認識に基づき 事実集めて検証進め 国際社会の理解得る目的」などと報じたことに言及。「『政権の歴史認識に基づき事実を集め』などということは、根本的に間違っている。『政権の歴史認識』が先にあり、それにあう事実だけを集めるということは、歴史の改ざん、偽造をしていくことになる。歴史の事実に向き合い、誤りを認めていくことが大事だ」と述べました。
 「こういうことを安倍元首相が号令をかけ、岸田政権が従うのは恥ずかしいことであり、NHKがこうやって報じることは、公共放送のあり方として大きな問題があると強い危惧を覚える」と表明しました。


安倍氏&高市氏に屈し「佐渡金山」世界遺産推薦 日本が払わされる“代償”を元外交官が危惧
                         日刊ゲンダイ 2022/02/02
 何が「冷静かつ丁寧な議論」だ。政府は1日、世界文化遺産登録を目指す「佐渡島の金山」(新潟県)の推薦書を国連教育科学文化機関(ユネスコ)に提出。反発を強める韓国を念頭に、新たに設置した省庁横断のタスクフォースを通じて国際的な理解を得るつもりだが、実は先に解決すべき“宿題”が残ったままである。
 佐渡金山を巡っては昨年12月、国の文化審議会が推薦候補に選定。当初は、外務省を中心に韓国の反発が強い中での申請に消極的だったが、自民党内の保守派が「論戦を避けるという形で登録を申請しないのは間違っている」(安倍元首相)、「日本国の名誉にかかわる問題」(高市政調会長)などと猛反発。申請に慎重だった岸田首相は方針を一転させた。
 政府・与党は「国際社会に対し、丁寧で説得力のある説明を行っていきたい」(茂木幹事長)と意気込んでいるが、まるでアテにならない。そもそも、国際社会との「約束」を守っていないからだ。

2015年軍艦島登録時の「約束」不履行
 2015年に「軍艦島」(長崎県)が「明治日本の産業革命遺産」のひとつとして世界遺産に登録された際、日本政府は朝鮮人強制労働を含む「犠牲者を記憶にとどめる措置をとる」と明言し、20年に産業遺産情報センターを設置。徴用工への差別について「聞いたことがない」との証言を紹介したため、昨年ユネスコの世界遺産委員会は徴用工に関する説明が不十分だとして、全会一致で「強い遺憾を示す」決議を突き付けた。
 ところが、政府は「誠実に履行している」と決議に反論。ずっと突っぱねているのだ。元外交官で平和外交研究所代表の美根慶樹氏がこう言う。
「佐渡金山が国際的な議論の俎上に載る上で、軍艦島の例は避けて通れません。『韓国が反対している』との報道が目に付きますが、問題の本質は日本が国際社会との約束を履行できていないことなのです。要するに、世界遺産委の期待にこたえられていない。従って、佐渡金山の登録を巡っても、軍艦島と同様の問題にぶつかるでしょう。国際社会の意思を無視し続ける姿勢は、日本の汚点になりかねません」
 世界遺産委による登録審査は来年夏ごろ。約束反故の一方で岸田政権は「冷静かつ丁寧な議論」を訴える。このチグハグ対応のせいで、国益どころか「国際社会の冷たい視線」という代償を支払うことになるんじゃないか。