2024年7月1日月曜日

不公平メディア知事選報道の狙い/バイデン執務能力不安の拡大(植草一秀氏)

 植草一秀氏が掲題の記事を出しました。
 都知事選の情勢は、小池氏が先行し蓮舫氏がそれを追い 間を空けて石丸氏が追っていて、小池氏支持と蓮舫・石丸支持合計が拮抗しています。「小池3選計画」を達成するためには石丸票を伸ばす必要があるので、読売と産経グループを中心にメディアは石丸氏を過剰に報道して実質支援しているということです。

 極めて明快な論理で納得がいきます。
 かつて「維新」が国政に登場した際には、メディアはあたかも革新の救世主であるかのように大々的に持ち上げたことで反自民票が「維新」に流れ、そのあおりを食って既成の野党は伸長を阻止されました。では「維新」が革新だったのかといえばそんなことはなく、実は「自民」よりも右のゴリゴリの新自由主義政党だったのでした。
 因みに大阪の維新政権が、どれほど大阪万博が金食い虫で不人気であっても絶対に止めようとしないのは、万博を利用してカジノ施設に必要となる道路、交通機関などインフラを「国費で整備させる」ためだということは、いまではTVのコメンテータも口にしているところです。

 断っておきますが石丸氏と「維新」を同列に扱うつもりは毛頭ありませんし、植草氏も全くそのようなことは述べていません。
 SNSの動画で拝見する石丸氏は常に正論を吐く 優秀な人物と認識しています。

 併せて植草氏のブログ「バイデン執務能力不安の拡大」を紹介します。
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不公平メディア知事選報道の狙い
                植草一秀の「知られざる真実」 2024年6月30日
都知事選はラストサンデーを迎えた。
各種情勢調査は小池氏先行、蓮舫氏が追い、間を空けて石丸氏が追うというもの。
「小池3選アジェンダ(⇒計画)」が想定通りに機能している。
石丸氏を過剰報道で実質支援している中心が読売と産経グループ。目的は蓮舫票を石丸氏に移転させること。
情勢調査では小池氏支持と蓮舫・石丸支持合計が拮抗する。
石丸氏を浮上させなければ小池・蓮舫が大接戦という構図だった。
石丸氏に対する過剰報道には背景がある。

そもそも、選挙期間中の選挙運動について、地上波放送は候補者の映像を放映しないのが通例ではなかったか。
地上波報道で特定候補の動画映像を放映することは選挙の公平性、メディアの中立性を損ねる。
通常は選挙期間中の報道においては、候補者画像、音声を放映しないはずだと思われる。
ところが、今回、地上波は小池、蓮舫、石丸、田母神の各候補の映像を流す。
目的は石丸候補をクローズアップさせることと思われる。
石丸氏を取り上げるなら安野たかひろ氏も同列に取り上げるべきである。
政策主張の斬新さでは安野氏の主張に明らかに分がある。
情勢調査などを利用して徐々に田母神氏の放映時間を短縮し、小池、蓮舫、石丸の3名をクローズアップする

しかし、そもそも今回都知事選には56名が立候補している。
選挙戦において56名を差別して取り上げることは選挙の公平性、中立性に反する。
公職選挙法違反でつばさの党幹部3名が身柄を拘束され続けていることも不当な政治活動への介入と言わざるを得ない。
小池氏3選の重大な障害になる可能性が高いからつばさの党が強制排除されたものと言える。

この国の政治でいま最重大の問題は何か。
むろん、政治とカネの腐敗を排除すべきことは当然。東京都民が政治とカネ腐敗問題に審判を下すことも都知事選の大きなテーマだ。
しかし、「都政の問題ではない」との声だけが拡張されて、「政治とカネ腐敗」が人為的に脇に追いやられている。
これも「小池3選アジェンダ」の一環である。
「政治とカネ腐敗」は政治論議以前の問題であるとして、最重大な問題は日本の諸制度運営がグローバル巨大資本によって仕切られていること。
米国を支配する巨大資本が日本の諸制度改変を強行している。これが実は最重大の問題である。
一次産業と食の安全、公共インフラ収奪、軍事大国化、国民統制・ワクチン強要などの重大問題が広がる。。

種子法廃止、種苗法改定で国民の生存に欠かせない食料がグローバル巨大資本に完全支配される状況が一気に強まっている。
グローバル巨大資本の強要で日本の食の安全が完全に破壊されつつある。
水道などの公共インフラがグローバル巨大資本の利益拡大のために簒奪されている。
マイナンバーカード強制などにより国家による国民完全監視システムが構築される一方、政府の情報開示が特定秘密保護などの名目で封殺されている。
新型インフルエンザ等対策政府行動計画、地方自治法改定、IHR改定などが強行され、さらにパンデミック条約制定も推進されている。

新型コロナワクチン接種に連動して日本の死亡数が激増している。
人類史上最大最悪のワクチン薬害が広がっている疑いが濃厚である。
これらの問題を明示して東京都知事選に立候補したのが内海さとる氏。
立憲民主党議員が蓮舫氏に対してワクチン薬害問題を取り上げるように進言したが蓮舫氏は取り入れなかった。
22年参院選で参政党が議席を確保した最大の背景はワクチン問題を取り上げたことが背景と言える。ワクチンに対する強い警戒感を有する主権者が多数存在する。
この層の票を誰が獲得するのかも都知事選の大きな焦点の一つである。
今後の日本政治のあり方を考える上で、東京都知事選は極めて重要な論点を数多く提示することになると考えられる。。

舩井メールクラブの動画で都知事選をめぐる日本政治状況について解説し、さらに掘り下げた分析を本編で提示する予定。
無料動画が公開されているので、ぜひご高覧賜りたい。
以下は「舩井メールクラブ」からの告知。
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★経営指導の神様と言われた故・舩井幸雄さんがつくった、創業21年目の会社(株)本物研究所社長の佐野浩一さんと対談しました。
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7/7東京都知事選、政治・経済の超プロ 植草一秀さんは、こう見る!】
対談動画は7月2日(火)までの限定視聴(無料)です。
都知事選の有権者もそうでない方もぜひ期間内にご視聴ください。
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『沈む日本 4つの大罪』(ビジネス社) https://x.gd/3proI





副題は、「経済、政治、外交、メディアの大嘘にダマされるな!」
政治、経済、外交、メディアの4つのテーマについて白井氏と縦横無尽に対談をさせていただいたので、ぜひご高覧賜りたい。

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バイデン執務能力不安の拡大
              植草一秀の「知られざる真実」 2024年6月28日
米国大統領選の第1回テレビ討論が実施された。トランプ対バイデン。
4年前のテレビ討論は言葉の乱闘となり対話が成立しなかった。
この反省を踏まえて、今回はルールが細かく定められ、一方の発言中に他方が言葉をかぶせる混乱が回避された。
1回の発言時間が厳格に定められ、時間が経過すると自動的にマイクの音声が切られる措置が取られた。
NHKの日曜討論では政府・与党の発言だけが優遇されて公平な運営がなされていない。
NHKも米国大統領選に倣い、時間を厳格に定めて、時間経過で音声をオフにする対応を取るべきだ。

公正な競争は公正なルールによって確立される。
今回のテレビ討論はトランプの圧勝だった。討論会を仕切ったのはCNN。
反トランプの傾向が顕著なメディア。司会者の質問が反トランプを濃厚に漂わせていたが、進行はルールに基づいて行われた。
CNNの委託を受けた調査会社SSRSは討論会を視聴した登録済み有権者による世論調査結果を速報した。
結果は、トランプ前大統領のパフォーマンスがより優れていたと回答した者が全体の67%、バイデン大統領のパフォーマンスがより優れていたとした者が33%だった。

トランプとバイデンの支持率は拮抗しており、支持する候補者を高く評価する傾向があることを踏まえると、世論調査結果は衝撃的と言える。
私も討論会を視聴したがトランプ優位は明白だった。ポイントは三つある。
第一は体力・知力。
バイデンの劣化は隠しようがない。せき込み、言葉に詰まる場面まであった。茫然自失の表情が長期間提示された。
これに対してトランプの体力、知力は壮年層にまったく引けを取らない。認知能力検査を受けた際、医師の名を間違えたことが取り沙汰されたが、人名を間違えることは青年でも若年でも壮年でも日常茶飯事だ。現在のトランプは大統領職に十分に耐えられる体力と知力を備えていると言える。
第二は言葉の切れ味。
トランプ大統領の活舌は極めて優れている。表現力も豊かで発言が頭脳の明晰さを鮮明に示している。
これに対してバイデンの言葉は声がかすれ、抑揚もなく、極めて冗長で、人の心にまったく響かない。
第三は発言の内容。
両者ともに相手に対する批判と罵倒を繰り返したが、説明力はトランプがはるかに上回った。

司会者はトランプに対して選挙結果を受け入れるかと何度も尋ねたが、トランプは「選挙が公正に行われる限り結果を受け入れる」と繰り返した。この発言は正当なものだ。
現下の状況下でバイデンが勝利することを想定できない。この状況下で、もしバイデンが勝利するなら、トランプでなくても不正選挙を疑わざるを得ない
前回選挙でも不正選挙の指摘があったが真相は不明。
発覚しない巧妙な方法で不正が行われる可能性を完全には排除し切れない。

話は変わるが、日本を代表する気鋭の政治学者・思想家の白井聡氏との共著がビジネス社から出版される。7月1日にアマゾンにて先行販売開始。
タイトルは『沈む日本 4つの大罪』  https://x.gd/3proI  
 (表紙画像は省略)

副題は、「経済、政治、外交、メディアの大嘘にダマされるな!」
政治、経済、外交、メディアの4つのテーマについて白井氏と縦横無尽に対談をさせていただいた。以下はアマゾンの紹介文

捏造と欺瞞、狡猾と策略で、夢も希望も失った日本人に告ぐ!奴隷国家に堕した日本の国難に打ち勝つ再生への処方箋
経済学の論客と気鋭の政治思想家が日本のタブーに斬り込む!
◆Round 1 経済を読む!ジリ貧、ドロ沼、
制御不能!迷走ニッポン丸の針路を導く
◆Round 2 政治を診る!さらば自民!
なるか政権交代! 政界動脈硬化、その処方箋
◆Round 3 外交を解く! ウクライナ、ガザ、そして、台湾。
ニッポンの立つべき位置や如何に?
◆Round 4 メディアを斬る! ジャニーズ、松本人志問題から、
LGBTQ、コロナワクチンまで

興味深いテーマについて意義深い対談をさせていただいた。
ぜひご高覧賜りたく思う。

告知が多くなり恐縮だが、以下は「舩井メールクラブ」からの告知。
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★経営指導の神様と言われた故・舩井幸雄さんがつくった、創業21年目の会社(株)本物研究所社長の佐野浩一さんと対談しました。
対談テーマは
7/7東京都知事選、政治・経済の超プロ 植草一秀さんは、こう見る!】
対談動画は7月2日(火)までの限定視聴(無料)です。
都知事選の有権者もそうでない方もぜひ期間内にご視聴ください。
https://payment.51dc.jp/p/r/r3HJffjk 
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続きは本日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」3824号
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ウグライナ・ガザ、日本:の軍拡・・・ 週2回街頭で戦争反対 三重・鈴鹿

 三重県鈴鹿市在住の4人(69~84歳)は2022年4月から毎週月曜日と木曜日の2回、車通りの多い交差点で夕方1時間 スタンディングを行っています。こんな頻度で粘り強く続けているのは驚くべきことです。
 同年2月に始まったウクライナ侵攻が切っ掛けで、友人関係にある4人で話し合って4月から「ウクライナに平和を」、「プーチンさん正気に戻って」などのプラカードを掲げてスタンディングを始めました。23年10月にガザ侵攻が始まると「ガザに平和を」などのプラカードを追加しました。
 毎週2回立ち続けている西田達弘さん(84)は、先の戦争で軍隊に行ぅて戦地で病気になり、戦後すぐに亡くなったことから平和への愛着や武器を持つことへの怖さが身に沁み「軍備で平和を保てないことも訴えていきたい」と話します。
 毎週1回参加している同市の松下多喜子さん(69)と田中美千代さん(79)は、それぞれ「戦争をしている人、寒い思いをしている人のことを考えると、必ず行こうと思います」、「スタンディングをしても変わらないと批判する人もいますが、自分がやりたいと思って立っている」と話します。
 しんぶん赤旗が報じました。
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ウグライナ・ガザ、日:の軍拡・・・ 週2回街頭で戦争反対 三重・鈴鹿
                        しんぶん赤旗 2024年6月29日
 ロシアによるウクライナ侵攻やイスラエルによるパレスチナ自治区ガザヘの侵攻など、戦争に心を痛め、平和を求めるさまざまな取り組みが各地で取り組まれています。三重県鈴鹿市では、ウクライナ侵攻2022年2月)が始まった後の同年4月から毎週2回、市民有志によるスタンディングが続いています。 (松島圭祐)

有志でスタンディング
「ウクライナ侵攻ニュースを見て、今時代にこんなことが起きるのかと驚いた。和が崩れてしまうのはないかと怖かった」と語るのは、鈴鹿市に住む瓜生えみ子さ69)です。一人の民として平和の問題はじめさまざまな市運動に携わってきまた。

父は早く死去
 平和への意思表示できる機会があれば参加しようと考えていしたが、周りにはそしたがあまりありませんでした。「それならば、自分たちでできる範囲でやろう」と、近所に住む友人4人で話し、スタンディングに取り組むことを決めました。
 スタンディングは毎週月曜日と木曜日の2回、車通りの多い交差点で夕方ごろに1時間行います。1人の参加であっても、毎週2回を続けているといいます。当初は「ウクライナに平和を」「プーチンさん正気戻って」などのプラカーを掲げていましたが、23年10月に始まったガザ侵攻を受けて「ガザに平和を」のプラカードも掲げています。
 毎週2回立ち続けている市の西田達弘さん(84)は「人の命以上に大事なことはありません」と強調します。西田さんの平和への思いの原点にあるのが、先の戦争です。「父親は軍隊に行ぅて戦地で病気になり、戦後すぐ、私が小学3年生のときに死んでいます。このことが平和への愛着や武器を持つことへの怖さの根底にあります。軍備で平和を保てないことも訴えていきたい」と話しました。

時代をつなぐ
「2年以上、毎週街頭に立ち続けることは大変ではないでしょうか?」。と言う記者の責問に対し、参加者はみな「苦ではない」と平然とします。
 毎週回参加している市の松下多喜子さん(69)ラカードを掲げて肩が痛いと思うことはあるけど、戦争をしている人、寒い思いをしている人のことを考えると、必ず行こうと思います。スタンディングをしていて『そんなことをしても変わらない』と批判する人もいますが、自分がやりたいと思って立っている」と話しました。
 同じく週1回参加している市の田中美千代さん(79)も「今、自分たちが変えていかないといないと思うから、自分のために立っています。戦争が終わるまで立ちたいし、田首相にもアメリカの傘の下で軍事費を伸ばしたらいかんと言いたい」と話しました。
 瓜生さんは、スタンディングを続ける思いをこう話します。

「両親が戦争を経験し、私は戦後に生まれました。平和を当然のこととして過ごしてきましたが、今は不断の努力なしには維持できないものだと考えています。時代をつなぐリレーランナーとして、平和のバトンを次の世代に渡したい 

日本はウクライナと同様に破滅へ向かうのか ・ (櫻井ジャーナル)

 櫻井ジャーナルに掲題の記事が載りました。
 タイトルの〝日本がウクライナと同様に破滅に向かう″という構文では、「米国に追随していては」という「条件の文節」が省略されています。
 本文でもそうした記述は皆無で、「日本」という言葉が出てくるのは「南シナ海レーン」に関する部分と「サハリン1・2」に関する部分の2カ所だけです。
 要するに「ウクライナと同様に」から「類推すべし」ということなのでしょう。

 ところでウクライナの復興には、2月段階の世界銀行の試算で4860億ドル・日本円にして72兆円余りを要するとのことです(復興には10年を要する)。ゼレンスキーはその費用は世界が負うべきであるとしておりそれに対する反対意見は出ていません。

 ウクライナ戦争は一貫して米国によって仕組まれました。
 2004年ウクライナ大統領選でビクトル・ヤヌコビッチが当選しました。しかし同氏は米国に従順ではなかったため、04年11月から05年1月にかけて「オレンジ革命」を仕掛け、米国に従順なビクトル・ユシチェンコ大統領に就任させました。
 ところが彼が推進した新自由主義政策は貧富の差を拡大させるのもので、国民の怒りを買ったため10の大統領選挙でヤヌコビッチが復帰しました。するとオバマ政権はナチズムを信奉するグループを使っ14年にクーデター起こしました
 ヤヌコビッチの支持基盤で住民がロシア語を話す東部や南部ではクーデター政権(キエフ政権)を拒否、南部のクリミアはロシアの保護下に入り、東部のドンバス(ドネツクやルガンスク)の人びとは軍事抵抗を始めたため内戦になりました。
 キエフ軍からは国軍や治安機関メンバーの約7割が離脱し、その一部反クーデター軍に合流したため内戦はドンバス側が優勢に推移しました。
 そこで米国などの指導の下 キエフ政権は偽りの「ミンスク合意Ⅱ)(ドンバス地方の自立権を認める他)を結び停戦しました。同政権は合意を守らず逆に8年を掛けて軍備を増強し、ネオ・ナチを中心とする親衛隊を組織、傭兵を集めるなどした後に、22年1月末にドバス地方を征討すべく境界線まで軍隊を進めました。

 その後ロシア軍が2月24日にウクライナに侵攻するという経過を辿るわけですが、22年が明ける前後からバイデンが盛んにプーチンを扇動したことを含めて、ウクライナ戦争の元凶は米国であり、直接的にはバイデンでした。
 要するに米国は国際法に違反して、ウクライナの主権を冒し内部干渉をしました。そしてウクライナが米国に従順になれば今度は対ロシア戦略の駒として使ったのであって、全ては自国の利益のために行ったのでした。
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
日本はウクライナと同様に破滅へ向かうのか、主権を取り戻して存続できるのか  
                         櫻井ジャーナル 2024.06.30
 ロシアの天然ガス会社、ガスプロムのアレクセイ・ミレルCEOは6月28日、サハリン島沖の天然ガスを極東ルートを利用して2027年から中国へ供給しはじめる予定だと述べた。同社が2022年2月に調印した極東ルートに関する契約によると、25年間にわたり、少なくとも年間100億立方メートル(10bcm)の天然ガスを中国へ供給することを想定している。
 すでにロシアは「シベリアの力」パイプライン2019年12月に完成させ、天然ガスの供給を始めた。このパイプラインは来年にフル稼働する予定で、そうなると年間38bcmに達する。ロシアと中国は「シベリアの力2」と知られているパイプラインの建設でも話し合いが進められていて、合意が近いとされている。
 シベリアの力2はロシア北部のヤマル地方からモンゴルを経由して中国へ年間最大50bcmの天然ガスを輸送する。こうしたパイプラインが全て完全に稼働すれば、ロシアから中国へのガス供給量は年間100bcm近くに達する可能性がある

 中国は天然ガスや石油を中東から運ぶ場合、軍事的な緊張が高い中東を出港してからアラビア海、アメリカ軍が支配するインド洋を経由して難所のマラッカ海峡を通過、アメリカや日本が締め付けを厳しくしている南シナ海へ入らなければならない。ロシアから運ぶ場合輸送距離が短いだけでなく、危険性が低い
 中東やアメリカで生産されるエネルギー資源のコストが高いことは日本に対しても言える。そこでサハリンにLNG(液化天然ガス)や石油を生産するプラントの「サハリン1」と「サハリン2」を建設した。ソ連が消滅、アメリカに従属していたボリス・エリツィン大統領の時代に西側は何も心配する必要がなかった。ウラジミル・プーチン政権がそうした状況を変えたのである。
 エリツィン時代、ロシアには西側資本の手先になっていた複数のオリガルヒが存在していた。例えばミハイル・ホドルコフスキー、アレックス・コナニヒン、ロマン・アブラモビッチ、ボリス・ベレゾフスキーたちである。ソ連が消滅した1991年当時、ベレゾフスキーは45歳だが、その他は25歳から28歳と若い。彼らの背後に黒幕が存在していることは明白だった。
 そのひとり、ホドルコフスキーはソ連時代の1989年、リチャード・ヒューズなる人物と「ロシア人モデル」をニューヨークへ送るビジネスを始めた。この年にホドルコフスキーはメナテプ銀行を設立するためのライセンスを取得するが、違法送金やマネーロンダリングが目的だった可能性が高い。このビジネスをソ連当局も怪しみ、モデルに対する出国ビザを出し渋るのだが、ホドルコフスキーはKGB人脈を持っていた。そのコネクションに助けられてビザを入手できたという。
 ソ連が1991年12月に消滅し、ボリス・エリツィンが西側支配層の代理人としてロシアを支配するようになると、ホドルコフスキーはエリツィン政権を支える顧問のひとりに就任。彼は1995年にユーコスなる石油会社を買収、中小の石油会社を呑み込み、その一方でモスクワ・タイムズやサンクトペテルブルグ・タイムズを出している会社の大株主になっている。
 ホドルコフスキーはユーコスの発行済み株式のうち25から40%をアメリカの巨大石油会社、エクソン・モービルとシェブロンへ売り渡そうとしたが、プーチンに阻止された。プーチンの動きが遅れれば、ロシアは米英支配層の植民地になっていたことだろう。(Natylie Baldwin & Kermit Heartsong, “Ukraine,“ Next Revelation Press, 2015)
 プーチンが実権を握った後、少なからぬオリガルヒはロシアからロンドンやイスラエルへ逃亡するが、ホドルコフスキーはロシアに残った。そして2003年10月、彼はノボシビルスクの空港で横領と税金詐欺の容疑で逮捕されている。ホドルコフスキーのユーコス株の支配権は先に結ばれた「取り引き」によってジェイコブ・ロスチャイルドへ渡ったとサンデー・タイムズ紙は報じていた。

 ホドルコフスキーが彼とジェイコブ・ロスチャイルドとの関係を語った映像が5月22日にインターネットで公開された。その中でモスクワに本社があるルクオイルの真のオーナーはジェイコブだったと明らかにしている。ロスチャイルドはロシアのあらゆる富を奪うつもりだったのだろうが、その中には穀物、鉱物資源、そして石油や天然ガスが含まれている。
 ロシアでは西側資本に盗まれた富を取り戻すように求める声もあるようだが、プーチンはそこまで踏み込んでいない。西側の支配層がソ連を憎んでいた理由はイデオロギーにあるとプーチンは信じていたからだと推測する人もいる。
 しかし、それでも西側による略奪を止めたプーチンをロスチャイルド金融資本は許せなかった。西側資本がソ連を憎んだ理由もクレムリンが西側による略奪を許さなかったからであり、ロスチャイルドが拠点にしているイギリス、フランス、そしてアメリカの支配システムがロシアに対して敵意をむき出しにしている理由はここにあると考えられている。

 プーチンは現在、中国と手を組み、金融資本による「一極支配」を終われせようとしている。その支配システムが19世紀に計画されたことは本ブログでも繰り返し書いてきた。

政権追い詰めた共産党の論戦 通常国会150日(5)(おわり)

 しんぶん赤旗の連載記事「政権追い詰めた共産党の論戦 通常国会150日」(5)を紹介します。このシリーズはこれで終了です。

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政権追い詰めた共産党の論戦 通常国会150日(5)
 能登半島地震の対応遅れ 生活再建求め全力論戦
                        しんぶん赤旗 2024年6月29日
 元日に最大震度7を観測した能登半島地震から7月1日で半年になります。日本共産党は発災後ただちに能登半島地震災害対策本部をたちあげました田村智子対策本部長(委員長)、小池晃本部長代理(書記局長)をはじめ党国会議員団は繰り返し現地に入り、避難所の改善や生活再建、漁業や輪島塗など地場・伝統産業、観光業などへの支援、医療・介護施設への支援などを繰り返し政府に要請。救援募金に取り組み、全額被災地に届けました。これまでの震災と比べても深刻な対応の遅れがあるもとで、被災者が復旧・復興に希望を持てるよう、政府に対策強化を求める論戦を行いました。

支援対象拡充を
 穀田恵二国対委員長は1月3日、被災地入りした井上哲士参院議員からの状況報告を受け、自民党の浜田靖一国対委員長に手だてを尽くすよう要請。通常国会開会日の1月26日の与野党国対委員長会談で「被災者生活再建支援法の拡充に力をあわせる必要がある」と訴えました。
 志位和夫議長と田村智子委員長は2月1、2両日にそれぞれ開かれた衆参の本会議での代表質問で、被災者生活再建支援金を600万円以上に引き上げ、「半壊」「一部損壊」まで対象を拡充するよう求めました
 広範囲に起きた地盤の液状化被害については、高橋千鶴子塩川鉄也両衆院議員と井上氏が予算委(2~3月)で被害認定の改善や復旧支援策の強化などを要請。政府は3月22日、自治体による液状化対策への補助率の引き上げや、住宅修復への費用補助など液状化被害支援策の強化を決定しました。
 紙智子議員は3月25日の参院予算委で、農業用水路が壊れて急務になっているパイプラインの仮設など田植えに間に合う整備を求め、坂本哲志農林水産相は「査定前着工制度を活用して早期復旧を図る」と応じました。
 田村貴昭議員は会期を通じ衆院災害対策特別委で、長期化する避難生活環境の改善や、住宅再建に向けた「地域福祉推進支援臨時特例交付金」の対象拡大などを要請。屋外の水道管が通水しても宅内の水道管破損による「宅地内断水」の問題では、宅内の蛇口から水が出るまで国が支援するよう求めました。
 参院災害対策特別委では仁比聡平議員が、災害関連死防止のための被災者の元の生活やつながり、コミュニティーを大切にした住宅の確保と、被災家屋の公費解体の加速化のための抜本的体制強化と予算確保を求めました。
 2月には、石川県羽咋(はくい)市に「能登半島地震被災者共同支援センター」(責任者・藤野保史前衆院議員)を設置。民主団体と協力・共同して運営し、被災者に支援物資を届け、要望を聞くなどの取り組みに引き続き全力を挙げています。

“原発ゼロ”迫る
 今回の地震で、北陸電力志賀原発では変圧器が壊れて外部電源を一部失うなど深刻なトラブルが続出。東京電力柏崎刈羽原発でもトラブルが起きました。
 笠井亮議員は2月7日の衆院予算委で、地震による通行止めや道路の寸断により、地震・津波から避難するルートがなくなると指摘し、志賀原発の避難計画は「絵に描いた餅」「机上の空論」だと厳しく批判し、廃炉を求めました。
 笠井氏が原発の運転中に今回より強い地震が発生した場合、福島第1原発のような過酷事故になりえないかと追及すると、岸田文雄首相は「原子力規制委員会の新規制基準には、万が一過酷な事故が発生した場合への対応も含まれている」と言うだけ。笠井氏は「地震・津波国の日本での原発稼働は極めて危険だと現実が示した。原発ゼロこそ決断すべきだ」と迫りました。
 岩渕友議員は3月19日の参院予算委で、北陸電力の想定を超える範囲で地震が起きたと指摘。隆起や沈降が原発周辺で発生した場合の影響をただすと、山中伸介原子力規制委員長は「原子炉建屋などが設置された地盤の変形、排水ポンプの貯水性に影響が生じる可能性がある」と認めました。岩渕氏は「原発の安全性にとって極めて重大だ。想定外のことが起きれば対応は難しい」と指摘しました。
 さらに岩渕氏は、今回の地震では、屋内退避先となる放射線防護施設が損傷するなど、自然災害と原子力災害の複合災害に対応できない避難計画は破綻していると批判。原子力規制委の新規制基準は避難計画を審査対象にしておらず、「再稼働を認めるべきではない」と主張しました。
 原発ゼロの日本をつくるため、原発に固執する自民党政治を終わらせなければなりません。

 (おわり。この連載は、伊藤幸、中野侃、目黒健太、柳沢哲哉が担当しました

フランスの総選挙前夜:極右による権力掌握の危機に対抗する「新人民戦線」の希望

「レイバーネット日本」に在仏50年の飛幡祐規氏による掲題の記事が載りました。
 同氏は「2012年の社会党オランド政権(左翼を壊した)から12年、急スピードでフランスがここまで転落したことにめまいを覚える」と、マクロン大統領らによるこの間の政策によってフランスが如何にダメになったかということを述べ、同大統領が急遽国会を解散して6月30日と7月7日に総選挙が行われるなかで、急いで結成された「新人民戦線」が、国会解散からわずか1週間で差別的な極右の計画と闘うために「政策プログラム」を作り上げたことを評価しました。
 そしてマクロン派や主流の経済学者やメディアが、新人民連合の政策に批判を集中する一方で、若者たちが中心となって新人民戦線が呼びかけた6月15日には全国145か所で合計64万人の大規模なデモや23日(日)にはフェミニスト団体と市民団体の呼びかけによる反・極右デモが行われたということです。
 近々分かる選挙結果が注目されます。
    (註 1ユーロ=172.5円)
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フランスの総選挙前夜:極右による権力掌握の危機に対抗する「新人民戦線」の希望
                  飛幡祐規 レイバーネット日本 2024-06-28
                  (92回・2024年6月28日掲載
 フランスではマクロン大統領が欧州議会選挙での与党の敗北を受けて国会を解散し、来る6月30日と7月7日に総選挙が行われる。欧州議会選挙で国民連合RNが31,36%を得票して勢いづく極右勢力(より過激なゼムールの党も5%以上得票)による権力の掌握を阻まなくてはならないと、毎夜路上に繰り出した左派市民の要請に応えて、左派政党共闘の新人民戦線Nouveau Front Populaireが成立した。解散からわずか1週間で、差別的な極右の計画と闘うために、抜本的に社会的でエコロジカルなプログラムを掲げ、1回投票から一つの選挙区に一人の共闘候補を立てる選挙区のふりあてに合意したのである。

新人民戦線の政策プログラム
 選挙キャンペーン期間が2週間しかないという異常で困難な状況の中、新人民戦線は6月21日、政権を取ったら行う政策プログラムの内容を3段階に分けて発表し、その予算(支出)とどのようにその資金を賄うか(収入)の数字も提示した。第1段階は組閣から2024年末までの数ヶ月。まずマクロンの年金改革を廃止して合法退職年齢を以前の62歳に引き下げ、失業改革も廃止する。最低賃金を手取り1600ユーロ(約27,4万円)に引き上げ公務員給与のポイント10%アップ、生活必需品、電気・ガス価格の凍結、住宅手当10%アップ、高速道路や巨大貯水池計画の中止、9月新学年から学費(文房具と給食含む)の真の無償化。これらに250億ユーロ必要で、それを連帯富裕税の復活(150億ユーロ)と大企業の超利益への課税(150億ユーロ)でまかなう

 2段階2025年新年から年末までの期間で、現在のネオリベラル経済政策を豊かさの分配に180度転換させる。所得税の累進性を現在の5から14段階に増やして8%の富裕層への課税を引き上げるが、92%の人にとっては税金が減るor増えない(手取り4000ユーロ以下の人)。労働に課される税率を資本に課し(フラットタックス、大企業や富裕層の様々な減税の廃止など)、それを公共サービス(教育、病院、環境)につぎ込む。環境政策ではとりわけ節エネルギーのための断熱リフォームの大計画(雇用も増える)。若者の自立支援手当の支給など。それらの総額は1000億ユーロ。そして、第3段階ではエコロジカル転換を進める。輸送を鉄道に戻し、アグロエコロジーへの転換(農業における雇用増加)、農薬の禁止等々。これらすべてに合計1500億ユーロを投入する。

 このプログラムは支出があまりに多額で、現在既にGDPの5,5%の財政赤字(3兆ユーロ)を抱えるのに非現実的だと批判が集中した。しかし、記者会見に同席した3人の経済学者は次のように擁護した。ネオリベラルの緊縮政策は、経済を停滞化させて赤字を増やして失敗している。それに対し、低所得層の購買力を上げれば国内需要が増え、経済が活性化する(新ケインズ政策)。何より、低所得層への投資は、長年の生活水準の低下に苦しむ人々に未来と政治に対する信頼を取り戻す唯一の方法だと説明する。フランスの社会契約は第二次大戦後、人々の連帯(社会保障のシステム)と多様性(様々な出身の人々)に基づいていた。経済危機と気候変動による危機に面する今、マクロン政権下で亀裂が拡大したフランスがレジリエンス(困難をしなやかに乗り越え回復する力)を発揮するには、この信頼感の回復が必然だと説く。事実、フランスの最富裕層500人は10年前には10%の富を所有していたが、今ではなんと50%を持つほど富が集中した。これほど極端な不平等は社会を荒廃させる。そして、気候変動と環境・生態系破壊に徹底的・抜本的に対応しなければ、社会も地球も未来はないのだ。

国民連合のペテンと差別思想
 マクロン派(保守含む)、主流の経済学者やメディアは新人民連合の政策に批判を集中する一方、国民連合RNに対しては非常に甘く、政策内容(見積もりの数字などない)が例えば年金改革や電力・ガスの付加価値税(消費税)についてコロコロ変わっても、問題にしない。6月25日、RNのバルデラ、マクロン与党のアタル首相、新人民戦線のボンパール(服従しないフランスLFI)3人のテレビ討論会で、自分の政策も把握していないお粗末なバルデラは大きな間違いを口にしたが、ジャーナリストは指摘しない。また、RNは社会保障への分担金を削って給与の手取りを引き上げる政策を提案しているが、これは社会保険、失業保険、年金金庫などを赤字にして、民間保険を払えない低所得層は困ることになる。また、富裕層への課税や相続税の引き上げに反対なので、ある経済学者の計算では、RNの政策を施行すると10%の富裕層はさらに豊かになり、低所得層30%の暮らしは悪くなる。つまり、「購買力」をモットーに庶民や底辺の人たちの代弁者のふりをするのは、全くのペテンなのだ(国会でも最低賃金の引き上げや物価の凍結、富裕層・大企業への課税に反対した)。しかし多くのメディアは、RNが庶民の味方であるかように喧伝し、イメージアップに貢献した。
 父ルペンがナチスやヴィシー政権の協力者たちと創立した国民戦線FNは、娘のマリーヌ・ルペンが国民連合RNと名称を変えて以来、極右のイメージを拭おうと努めてきた。そして今や主要メディアはその「穏和化・平凡化」をすっかり受け入れた。ネオナチなど暴力的な極右グループとの関係、ナチスの敬礼をしたり差別発言をしたりするRNの議員の存在、ロシアのプーチンとRNとの友好関係やロシアの銀行からの融資といった事実を調査して公表するジャーナリストがいても、主要テレビ・ラジオではそれらがまったく無視され、問題にされなくなった。逆に、メランションなどLFIに対しては、メディアは「反ユダや主義」や「ハマス支持」などと事実無根の中傷をしつこく重ねてきた。大統領をはじめマクロン与党も、左派連合の新自民戦線新人民戦線(とりわけLFI)と極右の国民連合の双方は同じように極端(極右、極左)だから市民戦争が起きるなどと、無責任で危険な発言を続けている。
 RNの政策の根本は差別である。「国民優先」つまり白人至上主義で、移民、移民系フランス人(とりわけアラブ、黒人)、難民とイスラムが諸悪の根源だという差別思想だ。今や外国出身の父母・祖父母がいるフランス人の割合は30%にいたるほど、フランスは出身や文化が混じりあった(クレオール化した)多様な国なのに、RNは移民・難民には医療や社会援助を拒む政策や、二重国籍の人(330万人)に高級官僚などの職業を禁止する案などを唱える。そんな差別思想に賛同する人が増えたのには、24時間テレビなどをとおして四六時中移民・難民、イスラムの脅威を炊きつけたメディア(億万長者ボロレ所有のテレビ、ラジオ、紙媒体が最もひどいが、他の民間媒体と公共メディアも)の責任がある(前回のコラム参照)。RNに投票する人たちの多くが実際、彼らのまわりに外国人や難民はほとんどいないのに「テレビで見た、聞いた」と引用する。そして、「移民・難民への援助をやめて彼らを国外追放すれば、自分の暮らしはよくなる」と本気で言うのである。
 6月30日の第1回投票を前に、世論調査ではRNがずっと第1位で32%(ゼムールの党を足すと36%)にも至る。新人民戦線は28,5〜29%、マクロン与党は19,5〜20%だ。討論会やインタビューでバルデラのできがどれほど悪かろうが、RNの候補者たちがひどい差別発言をしても、新人民戦線の政策が優れていても、RNに入れる有権者には何の影響も及ぼさないようだ。彼らは論理や事実にもとづかずに、マクロンは大嫌いだ、暮らしが悪くなった、治安が悪い、政治家は右も左も何もいいことをしてくれなかった、悪いのは移民とイスラムだ、と確信してしまった人らしい。そこにあるのは政治不信、生活の不満、どこに向けていいかわからない怒りや憎しみ、恐怖など負の感情だろう。
 極右勢力は権力掌握の展望に活気づき、欧州議会選挙の結果が分かった6月9日には、パリでゲイが暴力行為を受ける事件があった。LFIの議員や活動家へのSNS上の攻撃は増幅された。公共放送などでも移民系のジャーナリスト(アラブ系、黒人)がひどいメッセージを多数受けとるようになった。6月19日の夜中には、アヴィニヨンのパン屋が放火され、焼け残った壁に「くろんぼ」「ホモ野郎」「失せろ!」などの落書きがあった。そのパン屋さんはコートジボワール出身の少年を見習いに雇っていた。
 こんな事態をもたらしたのはこれまでの政治だ。庶民を裏切って保守と同じネオリベラル政策を施行し、根強い差別や植民地主義に対する政策をとらなかったどころか、特権的な自分たちの世界に閉じこもった旧左翼政党。富裕層に尽くす一方弱者に鞭を打つ政策を進め、しかし美辞麗句と虚言を連発して言語、議論、民主主義を壊し、さらに極右の言説を取り込んで広め、共和国の理念も壊したマクロンと与党。そして、権力に媚びて劣化し、職業倫理を放棄した主要メディア。2012年の社会党オランド政権(左翼を壊した)から12年、急スピードでフランスがここまで転落したことにめまいを覚える。

新人民戦線に結集する若いエネルギー
 しかし、前回のコラムで紹介したように、欧州議会選挙の結果発表直後から、とりわけ若い層が路上に繰り出して、極右にノンを叫んだ。2002年の大統領選挙で、初めてルペン(父)が決選投票に残った時に、大勢の若者たちが路上に繰り出したように。そして彼ら市民の圧力で、新人民戦線が短時間で成立した6月15日の大規模なデモ(全国145か所、主催者発表64万人)に続き、23日の日曜にはとりわけフェミニスト団体と市民団体の呼びかけによる反・極右デモが行われた。レイシズムにかぎらず、LGBT差別と女性差別も極右の特徴だ。EU内で極右が政権を取ったポーランド、ハンガリー、イタリアではまず、女性の人工妊娠中絶の権利が後退した。
 新人民戦線の政策プログラムにはトマ・ピケティをはじめ300人の経済学者が賛同の声明を出したが、極右に対抗すると同時に新人民戦線への攻撃を告発する声明が、科学者・研究者(気候学者や社会学者を含む)からも出された。RNは気候変動を否定し、再生可能エネルギーに反対(原発大推進)なのだ。また、彼らにとって文化とは干からびた伝統主義、文化遺産の保護だけだから、芸術・文化分野での創作の自由は著しく後退するだろう。公的援助もなくなるだろうから、多様な芸術とアーティストの存在は危うくなる。
 6月27日の夜、独立メディア、ATTACなど市民団体、環境団体、人権団体、労組、芸術・文化関係の人たちが呼びかけた「リベルテ(自由)!」という催しがレピュブリック広場で行われ、3万人が集まった。特に印象的だったのは、パリ郊外オルネー・スー・ボワで生まれた女性映画監督、アリス・ディオップが黒人女性作家と一緒に読んだテキストだ。彼女は6月9日以来、不安や怒りに苛まれ、「私たちは投票する」という団体を立ち上げた。より多くの人に投票に行ってもらうためだ。「RNに投票する人のレイシズムは一つの世界観を表しています。彼らは、自分が幻想として描く、ある種の過去のフランスに戻りたいと願っています。そこでは私は外国人で、敵なのです。」彼女は、すでに被差別の体験を持つ15歳の息子のことを心配する。「私たちにとってこの選挙の結果は、生死に関わる問題なのです」(「私のオルネー」というオルネー・スー・ボワのブログから引用)
 何が起きても闘い続けるしかない。けれども、同じ国の中に、同じ地球の中に、敵を見ずに、多様な豊かさが混じりあい、協力しあって、一緒に生きていける未来を築くために、新人民戦線に勝ってほしい。

 2024年6月28日(50年前のこの日に私は日本を出てこの国に来た) 飛幡祐規 

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