2014年5月12日月曜日

世界一 日本の高学費

 日本の国立・公立・私立大学の授業料は、アメリカの州立大学をはるかに抜いてダントツの世界一です。仏や独など欧州の公立大学は殆どが学費「ゼロ」または「殆どゼロ」です。欧州にできることが何故日本では出来ないのでしょうか。
 
 学費ローンはいまや金融業のドル箱なので簡単に借りられますが、その分、卒業時点では600万円などの銀行利子付の負債を背負って社会に旅立つことになります。
 幸いにして安定企業に正規雇用されれば別ですが、もしもそれに失敗すれば以後高額な返済金の捻出に塗炭の苦しみを味わうことになります。返済が不能になれば、親元に強烈な代理返済の要求が突きつけられます。
 
 しんぶん赤旗が、高校と大学に通えば修学費用最低でも1千万円を超える、世界一高い日本の学費を取り上げました。
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日本の高学費 世界一 国に届け! 値下げ求める声
高校・大学修学費1000万円超
しんぶん赤旗 2014年5月11日
 「高校時代、大学の学費を稼ぐため、授業を抜けて働いた」「学費を賄うためにアルバイトして、勉強との両立に苦しむ友人がいる」。世界一高い日本の学費。学生の実態と願いは―。(土田千恵)
 
 「小学校の先生になりたいんです。高校時代学費を稼ぐのはつらかったけど、大学をあきらめて、40年間ほかの仕事をやるなんて考えられなかった」。今年、西日本の大学に入学した女子学生は語ります。
 
■自力で稼ぎ
 高校時代、両親が失業し、「進学をあきらめてほしい」といわれました。しかし、自力で学費を稼いで、入学。「高校でためたお金は、初年度納付金でほぼ使い切りました。これからもバイトで大変だと思うし、不安です」
 
 日本は、経済協力開発機構(OECD)加盟34カ国の中で唯一、学費無償も給付制奨学金もなく、世界一学費が高い国といわれています。高校と大学に通えば、修学費用は最低でも1千万円超。今年も首都圏の私大では、数万円の学費値上げが実施されました。
 東京私大教連の調査では、私立大学入学時の経済負担を、「重い」と回答した家庭は9割を超えます。仕送り額から家賃を引いた、学生の1日の生活費は、937円と過去最低となりました。ピークだった1990年の2460円の4割以下です。
 
■学業の妨げ
 アルバイトをする学生は8割にのぼり、このうちアルバイトが「学業の妨げになった」と答える学生は半数以上です。生活費のために働く学生は31・7%に達します。(東京大学「学生生活実態調査」2012年)
 高学費に追い打ちをかけるように貧困が拡大しています。低賃金の非正規雇用労働者は、雇用者の4割近くに迫ります。生協労連のパート労働黒書では「年収が230万円以下だったため、銀行での融資を受けられず、本人が大学進学を希望しながら、家庭の事情で就職を選ばせました」との悲痛な声が寄せられています。
 
 日本政府は2012年9月、高校・大学までの段階的な学費無償化を定めた国際人権A規約13条2項b・cの批准留保を撤回しました。学生や保護者らの運動で実現した画期的な成果です。
 しかし、政府は今年度予算でも学費値下げをしていません。日本共産党の宮本岳志衆院議員は2月の予算委員会で、国際人権規約を守り、学費値下げと、給付制奨学金などを実施するよう求めました。
 学生からは学費値下げを求める声と運動が広がり始めています。
 西日本の大学に通う男子学生は「親に気兼ねしながら大学に通っている。気負いなく勉強したいし、友達にも学費で大学在学を悩んでいる人がいるので、ほかの国と同じように無償にしたい」と話します。
 
 先の女子学生は語ります。「高校の友達も、学費が高すぎることを話してみると、みんな『ダメだね』『こまる』などと言います。署名運動をして、一人でも多くの人にこの問題をわかってもらって、政府に届けたい」
 
グラフ:大学初年度納付金の比較