NHKは、先月18日から3日間、全国の18歳以上の男女を対象に電話による世論調査(RDD)を行い、1600人から回答を得ました(回答率60%)。
集団的自衛権の行使については、「憲法を改正して、行使を認めるべきだ」が13%、「これまでの政府の憲法解釈を変えて、行使を認めるべきだ」が21%で合わせると「行使を認めるべきだ」が34%、それに対して「これまでの政府の憲法解釈と同じく、行使を認めるべきでない」は27%、「集団的自衛権自体を、認めるべきでない」は14%で合わせると「行使を認めるべきでない」は41%でした。
これを去年4月の調査と比べると、「憲法を改正して行使を認めるべきだ」は6ポイント減り、「これまでの政府の憲法解釈を変えて行使を認めるべきだ」も8ポイント減りました。
一方、「これまでの政府の憲法解釈と同じく行使を認めるべきでない」は10ポイント増え、「集団的自衛権自体を認めるべきでない」も5ポイント増えました。
行使容認の理由の内訳比は、「安全保障に関する国際的な活動に取り組む必要があるから」が38%、「日本の防衛のためになるから」が30%、「同盟国との関係を維持するために必要だから」が17%、「権利を持っているのに行使できないのはおかしいから」が12%などでした。
それに対して行使反対の理由の内訳比は、「行使できなくても、後方支援活動などで貢献できるから」が42%、「他国の戦争に巻き込まれるおそれがあるから」が34%、「周辺諸国に懸念を与えるおそれがあるから」が15%、「これまでの政府の憲法解釈と矛盾するから」が5%などでした。
なおNHKはこの調査結果に対するコメントを駒澤大学の西修名誉教授に求めていますが、このように強烈な集団的自衛権の行使賛成派を登場させることには大いに違和感があります。最近のNHKニュースは、理解し難いことがますます増えています。
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世論調査 集団的自衛権行使の賛否は
NHK NEWS WEB 2014年5月2日
世論調査 集団的自衛権行使の賛否は
NHKが行った世論調査で、政府が憲法解釈では認められないとしている集団的自衛権の行使を認めるべきだと思うか聞いたところ、「行使を認めるべきだ」という回答は34%に、「行使を認めるべきでない」という回答は41%となりました。
調査の概要
NHKは、先月18日から3日間、全国の18歳以上の男女を対象に、コンピューターで無作為に発生させた番号に電話をかけるRDDという方法で世論調査を行い、2667人のうち60%に当たる1600人から回答を得ました。
集団的自衛権行使容認の賛否
政府が憲法解釈では認められないとしている集団的自衛権の行使を認めるべきだと思うか聞いたところ、「憲法を改正して、行使を認めるべきだ」が13%、「これまでの政府の憲法解釈を変えて、行使を認めるべきだ」が21%、「これまでの政府の憲法解釈と同じく、行使を認めるべきでない」が27%、「集団的自衛権自体を、認めるべきでない」が14%でした。
この結果、2つを合わせた「行使を認めるべきだ」という回答は34%に、2つを合わせた「行使を認めるべきでない」という回答は41%となりました。
前回との比較
去年4月の調査と比べると、「憲法を改正して行使を認めるべきだ」は6ポイント減り、「これまでの政府の憲法解釈を変えて行使を認めるべきだ」も8ポイント減りました。
一方、「これまでの政府の憲法解釈と同じく行使を認めるべきでない」は10ポイント増え、「集団的自衛権自体を認めるべきでない」も5ポイント増えました。
行使容認の理由
憲法との関係で集団的自衛権の「行使を認めるべきだ」と答えた人に理由を聞いたところ、「安全保障に関する国際的な活動に取り組む必要があるから」が38%、「日本の防衛のためになるから」が30%、「同盟国との関係を維持するために必要だから」が17%、「権利を持っているのに行使できないのはおかしいから」が12%などでした。【行使反対の理由】一方、憲法との関係で集団的自衛権の「行使を認めるべきでない」と答えた人に理由を聞いたところ、「行使できなくても、後方支援活動などで貢献できるから」が42%、「他国の戦争に巻き込まれるおそれがあるから」が34%、「周辺諸国に懸念を与えるおそれがあるから」が15%、「これまでの政府の憲法解釈と矛盾するから」が5%などでした。
「抑止力になる」と説明を
憲法解釈を変更し集団的自衛権の行使を容認することに賛成している駒澤大学の西修名誉教授は「『集団的自衛権を認めると他国の戦争に巻き込まれるのではないか』という声が多いのは、まだ十分に国民の理解を得られていないからだと思う。実際は、集団的自衛権によって戦争ができる国にするのではなく抑止力となるのだということを説明し、国民の誤解を解く必要がある。そもそも憲法9条は自衛権を否定しておらず、国連憲章では集団的自衛権も各国が持つ固有の権利として位置づけられている。もともと認められている権利であるため、あえて憲法改正に踏み込む必要はないが、それが無制限にならないよう、どこまで限定して容認するかという議論に今後は集中すべきだ」と話しています。
「解釈変更はあまりに安易」
憲法解釈を変更し集団的自衛権の行使を容認することに反対している早稲田大学の長谷部恭男教授は「集団的自衛権を行使できるようにしたいのであれば、まずは国民的な議論をして、そのうえで憲法を改正するという手続きをきちんと踏むべきだ。国を守るというのは単に領土を守るとか、国民の生命や財産を守ることにとどまらず、現在の日本の政治体制や立憲主義を守り、自由で民主的な体制を守ることを意味している。それなのに立憲主義という日本の国の根幹となっている原理に反して憲法の解釈をそのときの政権の判断で変えてしまうことになると国を破壊することにもなりかねない。重要な課題で解釈によって憲法の意味を変えるというのはあまりに安易ではないか」と話しています。