2014年5月24日土曜日

竹富町問題は町単独で選定へ/道徳教科書で文科相が異例の通知

 沖縄県竹富町が八重山地区で採用した保守色の強い育鵬社版の中学公民教科書を採択せずに、独自に東京書籍版の教科書を採用している問題は、今年度から町単独で教科書を選定できるようになって、竹富町の希望通りの形で決着しました。
 竹富町教育委が主張を貫き、沖縄県教育委がそれを支持したことが実りました。
 
 下村文科相は県教委が竹富町教委を単独採択地区に設定したことについて「法の趣旨を十分踏まえたものとは言いがたく遺憾だ」と強調しましたが、竹富町に対する違法確認訴訟提起しないことを明らかにしました
 
 ところで下村氏は日本会議国会議員懇談会の幹事を務めていて安倍首相に優るとも劣らない右翼思想の持ち主ですが、フェイスブックで文科省作成の小中学生向けの教材『私たちの道徳』を「子どもが家に持ち帰っているか調べて」などとに呼びかけたうえ、その結果に基いて各教育委員会に子供達に持ち帰らせて保護者に見てもらうよう通知を出したことが分かりました
 
 この通知は「指導助言」の域を越えた「不当な支配」にあたるとされます。
 また大臣によるフェイスブックでの呼びかけ、市民を動員した学校教育監視体制づくり「不当な支配」に該当すると言われます。
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竹富町への違法確認訴訟提起せず 教科書問題で下村文科相
琉球新報 2014年5月23日  
 【東京】下村博文文科相は23日午前の閣議後会見で、八重山教科書問題をめぐり、竹富町に対する違法確認訴訟を提起しないことを明らかにした。
 竹富町教育委員会による単独採択により来年度から違法性が解消されることから、下村氏は「訴訟に一定の期間が掛かる。違法性が確認されても、途中段階で教科書を変えられるか、時期の問題もあるので、あえてしない」と述べ、子どもたちや学校現場への影響を考慮するなど総合的に判断したとした。
 県教育委員会が竹富町教委を共同採択地区から分離し、単独採択地区に設定したことについては「法の趣旨を十分踏まえたものとは言いがたく遺憾だ」と強調した。しかし、同時に「法律上の権限を有する県教委の判断で、今回は違法性はない。文科省として受け止めざるを得ない」と述べた。
 
 
“道徳教材調査”の下村文科相 異例の再通知
   フェイスブックで 「学校に置くな、持ち帰れ」
しんぶん赤旗 2014年5月23日
 下村博文文科相がインターネット上の交流サイトのフェイスブック(FB)で、文科省作成の小中学生向けの教材『私たちの道徳』を「子どもが家に持ち帰っているか調べて」などと12日に呼びかけた問題で、22日までに、文科省が新たに通知を出していたことが日本共産党の田村智子参院議員の調べでわかりました。
 
 通知は15日付。「本教材を、学校に備え置くのではなく、児童生徒が家庭に持ち帰って家庭や地域等でも活用できるよう、対象児童生徒一人一人に確実に配布して」などと求めています。
 下村文科相は18日、FBに「調査のご協力ありがとうございました」と投稿し、「各教育委員会に子供達に持ち帰らせて保護者に見てもらうようお願いの通知を発出しました。・・・・これもFBの皆さんのお陰です」とつづっています。
 
「不当な支配」に
 名古屋大学の中嶋哲彦教授(教育行政学)の話 国には特定の教材や教科書を学校に使えという権限はありません。今回の通知は、使い方まで指定しており、「指導助言」の域を越えた「不当な支配」にあたります。さらに、大臣によるFBでの呼びかけは、市民を動員した学校教育監視体制づくりにほかなりません。この行為自体、「不当な支配」に該当しますが、市民による「不当な支配」を奨励しかねません。許されるものではありません。