2014年5月29日木曜日

国民安保法制懇が発足 +

 28日、憲法解釈変更による行使容認に批判的な内閣法制局長官経験者や憲法学者らが、安保法制を考える懇談会発足させました。
 
 改憲派の憲法学者、小林節・慶応大名誉教授は安倍首相実際に武力行使するかは高度な政治的決断で決めるとの発言に「法的規制がないに等しい。『おれに任せろ』ということか」と批判しました。
 
 内閣法制局長官の大森政輔氏は「安保法制懇」の報告書について、「結論ありきで、牽強付会。理由づけも実にひどい」と酷評しました。
 
 同じく元長官阪田雅裕氏は、「集団的自衛権を巡り全メンバーが一致しているわけではないが、『行使するには憲法改正を経て国民に覚悟を求めなければならない、という点で全員が一致した」と、設立経緯を説明しました。
 
 元外交官の孫崎享氏は、「米軍の傭兵のような状態になる」とし、15の具体例について、「他の対応で可能なものばかり。あえて集団的自衛権の検討を急ぐ緊急性がない」と一蹴しました。
 
 国連職員伊勢崎賢治・東京外国語大教授は、「PKO現場の緊急課題は避難民を殺害や暴行からどう守るか。『日本人を守るため』という議論自体が不謹慎だ」と不快感をあらわにし「低い武装度で、火力に頼らないことによって果たせる役割もある」と力説しました。
 
 +NHKニュースを追加
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集団的自衛権:批判派の憲法学者ら「安保法制懇談会」発足
毎日新聞 2014年05月28日
 集団的自衛権を巡る国会集中審議が始まった28日、憲法解釈変更による行使容認に批判的な内閣法制局長官経験者や憲法学者らが、安保法制を考える懇談会を発足させた。行使容認に前のめりの安倍晋三首相に対し、メンバーで改憲派の憲法学者、小林節・慶応大名誉教授は「憲法をハイジャックするもの」、孫崎享・元外務省国際情報局長は「米軍の傭兵(ようへい)のような状態になる」と批判した。【野島康祐、本多健】
 
 メンバーは両氏のほか、内閣法制局長官を務めた阪田雅裕、大森政輔両氏、第1次安倍政権で官房副長官補を務めた柳沢協二氏ら12人で、一部が参院議員会館で記者会見した。安倍首相の私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)に対抗し、会を「国民安保法制懇」と命名。今年夏にも報告書をまとめる。
 
 安倍首相は午前中の集中審議で、戦争に巻き込まれるとの懸念に対し「実際に武力行使するかは高度な政治的決断だ」と釈明した。この発言に対し、小林氏は「法的規制がないに等しい。『おれに任せろ』ということか」と批判した。元長官の大森氏は「首相の判断の誤りを防ぐ人たちが内閣に集まっているとは思えない」と突き放し、首相の諮問機関「安保法制懇」の報告書について、「結論ありきで、まさに牽強(けんきょう)付会。理由づけも実にひどい」と酷評した。
 
 元長官で大森氏の後輩の阪田氏は、「集団的自衛権を巡り、全員の意見が一致しているわけではない。だが、日本のかたちを変える大きな問題であり、行使するには十分な国民的議論が必要で、憲法改正を経て国民に覚悟を求めなければならない、という点で全員が一致した」と、設立経緯を説明した。
 
 会には、緊迫した海外の安全保障の現場で実務経験を積んだ専門家も参加している。
 
 過去にイラク大使館に勤務した孫崎氏は、政府が集団的自衛権の行使容認や法整備が必要とする15の具体例について、「他の対応で可能なものばかり。自分の経験から見ても、あえて集団的自衛権の検討を急ぐ緊急性がない」と一蹴した。
 15の具体例には、国連平和維持活動(PKO)に参加する民間人や他国の兵士を自衛隊が武器で救援する「駆け付け警護」も含まれている。これについて、国連職員として紛争地で武装解除の経験を持つ伊勢崎賢治・東京外国語大教授は、「PKO現場の緊急課題は避難民を殺害や暴行からどう守るか。そんな時代に、『日本人を守るため』という議論自体が不謹慎だ」と不快感をあらわにした。
 その上で、アフガニスタンやイラクとの戦争に苦しんだ米国が、力による制圧から、テロリストが紛れ込む現地の人心掌握を重視した対テロ戦略に切り替えていることを紹介。「低い武装度で、火力に頼らないことによって果たせる役割もある」と力説した。
 

憲法解釈の変更反対 憲法学者らが懇談会
NHK NEWS WEB 2014年5月28日
憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使容認に反対する立場の憲法学者らが新たな懇談会を設立し、政府が先に集団的自衛権などを巡る与党協議で示した15の具体的事例について検証するなどして、ことし夏ごろをめどに意見を取りまとめることにしています。
 
「国民安保法制懇」と名付けられたこの懇談会は、元内閣法制局長官の阪田雅裕氏や、憲法学が専門で慶応大学名誉教授の小林節氏など、憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使容認に反対する立場の有識者12人が設立し、メンバーが28日、国会内で記者会見しました。
この中で阪田氏は「集団的自衛権の行使容認は日本の国の在り方を大きく変えるものだ。国民の間に定着していた憲法解釈を一政権が軽々に変更するのを許すことは、立憲主義の否定であり、懇談会の議論を通じて『国民の良識はこういうところにある』と示したい」と述べました。
「国民安保法制懇」は今後、定期的に会合を開き、政府が先に集団的自衛権などを巡る与党協議で示した15の具体的事例について問題点を検証するなどして、ことし夏ごろをめどに懇談会としての意見を取りまとめことにしています。