3日、NHKテレビが、月刊誌「VERY」3月号が憲法に関する特集を掲載したことや「憲法カフェ」が評判を呼んでいることについて報じました。
これらは他のメディアが既に半月~2ヶ月前に報じたもので、ニュースとも言えないものですが、憲法記念日の話題ということで取り上げたものと思われます。
公共放送として今後もこうした動きについては、適宜取り上げて報じて欲しいものです。
また、憲法を守る集会と憲法改正を求める集会についても、共に取り上げて報じました。
(関係記事)
2014年3月7日「憲法身近に、学ぶ母 託児付き講座 ファッション誌も特集」
2014年4月16日「まずは『知憲』、出前講座の『憲法カフェ』」
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「もっと憲法知ろう」動き広がる
NHK NEWS WEB 2014年5月3日
憲法改正に関する議論が交わされるなか、市民の間で「もっと憲法を知ろう」という動きが広がっています。
子育て世代の女性にも
20代から40代の子育て中の女性に人気の月刊誌「VERY」は、3月号でファッション誌としては異例の憲法に関する特集を掲載しました。
読者層と同じ世代のタレントやモデル、研究者などによる座談会や漫画などを取り入れ、立憲主義や、憲法改正を巡って、現在どのような議論が交わされているのかなどを分かりやすく説明しています。
憲法は、子どもの未来に関わり、母親たちにとっても身近な問題だと考え企画したということで、編集部には、好意的な意見を中心に、多くの反響が寄せられているということです。
副編集長の原里奈さんは「知的でないと自分の子どもを守れないというのが今の母親たちのトレンドで、読者の潜在的なニーズに合ったのだと思う」と話しています。
また、レストランやカフェで食事やお茶を楽しみながら、憲法を語る「憲法カフェ」と呼ばれる取り組みも、これまで憲法になじみがなかった若い主婦たちの関心を集めています。
若手の弁護士たちが去年から始めたもので、先月、神奈川県内のイタリアンレストランで開かれた「憲法カフェ」には、予定を倍以上上回るおよそ50人の主婦たちが参加しました。
この日は、講師役の弁護士がクイズ形式で、憲法の基本的な考え方を説明したうえで、憲法改正や集団的自衛権などについて、賛成・反対双方の立場の意見を紹介しました。
会場の一角には託児コーナーも設けられ、子どもを遊ばせながら話に聞き入る人もいて、講演のあとは全員でランチを楽しみました。
参加した2歳の男の子の母親は、「憲法は難しいと思っていましたが、子どもの将来を守るためには知ることがとても大切だと感じました。子どもを遊ばせながら知識も得られてよかったです」と話していました。
「憲法カフェ」の取り組みを続けている太田啓子弁護士は「憲法を改正するかしないかという前に、まずは判断材料を提供したい。ご飯につられたという理由でもいいので、現役の子育て世代に気楽に参加してほしい」と話しています。
改憲、護憲双方の立場から聞く
改憲、護憲双方の立場の人から直接意見を聴き、憲法をより深く知ろうという催しも開かれています。
この催しを開いたのは、若手の企業経営者などで作る日本青年会議所のメンバーで、東京・小金井市の会場には2日夜、200人以上の市民が集まりました。
講師として招かれたのは、改憲の立場を取る国会議員と護憲の立場を取る弁護士の2人で、国会議員が「今の憲法には環境権やプライバシー権などの権利が明記されておらず、欠陥がある」と指摘する一方で、弁護士は「今の憲法を活かして『基本的人権』を定着させれば、よりよい社会が実現できる」と意見を述べました。
また、憲法の条文を「話しことば」に直し、絵本にして出版している童話作家の野村まり子さんが講演し、「憲法は祭り上げておくものではなく、私たちが使いこなすものです」などと指摘しました。
参加した20代の男性は「憲法は、学生時代、教科書で見たときから読みやすいとは思えず、とっつきにくいと感じていた。お酒の席でも憲法の話をすることは、まずないので、こうした場はありがたい」と話していました。
主催者の菅沼将晴さんは「そもそも私たち市民は憲法のことをどれだけ知っているか、語っているかを疑問に感じて企画しました。憲法は国民の思いを形にしていくものだと思うので、市民の間で議論を深めるきっかけになればと思います」と話していました。
憲法を守る立場の団体が集会
NHK NEWS WEB 2014年5月3日
憲法記念日の3日、憲法を守る立場の団体が東京の日比谷公会堂で集会を開き、およそ3700人が参加しました。
この中で、憲法学者で学習院大学大学院教授の青井未帆さんが「憲法を変えることは将来にわたって国の姿を変えることになるため、厳しい要件が課せられている。他国を攻撃し、若者が命を落とすような日本にしてしまう決定は、1内閣の解釈だけで責任が取れる問題ではない」と述べ、憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使容認を批判しました。
また、ジャーナリストの津田大介さんは「声高に反対するだけでなく、集団的自衛権を行使しなくても日本を守れることを淡々と指摘することが大切だ」と訴えました。
このあと参加者は、東京・銀座でデモ行進を行い、横断幕を掲げて「今の憲法を生かそう」などと訴えました。
集会に参加した30歳の女性は、「子や孫の世代にも戦争をしてほしくないので集団的自衛権が行使されないようにしてほしいです」と話していました。
憲法改正を求める集会
NHK NEWS WEB 2014年5月3日
憲法記念日の3日、憲法改正を求める立場の団体が都内で集会を開き、「憲法と現実の間に大きなずれが生じている」として、憲法を速やかに改正するよう訴えました。
憲法改正を求める立場の「新しい憲法をつくる国民会議」が東京・新宿区で開いた集会には、およそ400人が参加しました。
憲法学者で平成国際大学の高乗正臣副学長が集団的自衛権と憲法9条について講演し、「条文を変えずに解釈で集団的自衛権を容認しようとすることには無理がある。政府は9条の改正を正面から打ち出し、自衛隊を国防軍に位置づけることを国民に問うべきだ」と述べました。
集会では、このあと「時代は急速に変化していて、憲法と現実との間に大きなずれが生じている。解釈で補う方法は限界にきている」などとして、速やかな憲法改正を求める決議を採択しました。
参加した72歳の男性は、「憲法改正の機が熟してきたと思い、久しぶりに参加しました。国民の手で憲法を改正するべきだと思います」と話しました。