公明党の支持母体である創価学会は、16日、安倍首相がめざす憲法解釈変更による集団的自衛権の行使容認について、「本来の手続きは、一内閣の閣僚だけによる決定ではなく、憲法改正手続きを経るべきだ」として反対する見解を、朝日新聞等のメディアに示しました。
首相が行使容認に向け、自・公の与党協議を経て秋までに閣議決定で憲法解釈を変える意向であることについても、学会は「国民を交えた、慎重の上にも慎重を期した議論によって、歴史の評価に耐えうる賢明な結論を出されることを望む」と牽制しています。
これは平和と国際親善を目指す宗教団体として当然のことに思われますが、学会の姿勢が鮮明になったことで、20日から始まる自民、公明両党の協議が難航する可能性があります。是非、戦争国家に向かうことへの抑止力になって欲しいものです。
朝日新聞と時事通信(=見解書全文)の記事を紹介します。
+ 共同通信の記事を追加
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集団的自衛権行使「改憲経るべきだ」 創価学会が見解
朝日新聞 2014年5月17日
公明党の支持母体である創価学会は16日、安倍晋三首相がめざす憲法解釈変更による集団的自衛権の行使容認について「本来の手続きは、一内閣の閣僚だけによる決定ではなく、憲法改正手続きを経るべきだ」として反対する見解を示した。20日から自民、公明両党の協議が始まるが、学会の姿勢が鮮明になったことで難航する可能性がある。
学会は朝日新聞の取材に文書で回答した。回答では、集団的自衛権について「基本的な考え方は、『保持するが行使できない』という、これまで積み上げられてきた憲法第九条についての政府見解を支持する」と明言し、行使容認へ転換をめざす首相の姿勢を強く牽制(けんせい)した。
また、首相が与党協議を経て、秋に予定される臨時国会までに閣議決定で行使容認へ憲法解釈を変える意向を固めていることについても、学会は「国民を交えた、慎重の上にも慎重を期した議論によって、歴史の評価に耐えうる賢明な結論を出されることを望む」と強調した。
創価学会の広報室コメント全文=集団的自衛権
時事通信 2014年5月17日
創価学会広報室の集団的自衛権に関するコメント全文は次の通り。
私どもの集団的自衛権に関する基本的な考え方は、これまで積み上げられてきた憲法第9条についての政府見解を支持しております。
したがって、集団的自衛権を限定的にせよ行使するという場合には、本来、憲法改正手続きを経るべきであると思っております。
集団的自衛権の問題に関しては、今後の協議を見守っておりますが、国民を交えた、慎重の上にも慎重を期した議論によって、歴史の評価に耐えうる賢明な結論を出されることを望みます。
したがって、集団的自衛権を限定的にせよ行使するという場合には、本来、憲法改正手続きを経るべきであると思っております。
集団的自衛権の問題に関しては、今後の協議を見守っておりますが、国民を交えた、慎重の上にも慎重を期した議論によって、歴史の評価に耐えうる賢明な結論を出されることを望みます。
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石破氏「公明は主体性失うな」 創価学会の見解受け
共同通信 2014年5月18日
自民党の石破茂幹事長は18日、憲法解釈変更による集団的自衛権の行使容認問題で創価学会広報室が「本来、憲法改正手続きを経るべきだ」との見解を示したことを受け、公明党をけん制した。「公明党の判断に主体性がなくなり、支持母体の(創価学会の)言うままということもないだろう」と、都内で記者団に述べた。
同時に「個別的自衛権や警察権で対応できない部分があったとすれば、その時にどう考えるか。まだ議論は始まっていない」として、慎重姿勢を崩さない公明党の軟化を求めた。
石破氏が公明党と創価学会の関係の在り方に言及したことで、与党協議を控え公明党が反発を強める可能性もある。