間もなく仕事納めを迎える27日、生活保護の引下げをリードした厚労省社会・援護局保護課に、生活保護の支給を受けている当事者と弁護士たちが生活保護削減の撤回を求める要求書を手渡ししました。
厚生省の原案は引下げありきのもので、「本来は生活保護対象者であるべき人たちを過半数も含む」第1・10分位層の平均収入レベルよりも、生活保護費の支給額が上回っているからというデタラメなものでした。
生活保護費を支給されている人たちは
「これまで節約をし続けて、これから生活費のどこを削ったらいいのか?」、「白米に醤油をかけて食べる」、「入浴回数が月1回になってしまっている」、「真冬に灯油が買えず風邪をひき肺炎になった」・・・
と語っています。
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生活保護引き下げ「入浴は月1回」「灯油買えず肺炎に」
厚労省「曲解です」
田中龍作ジャーナル 2017年12月27日
生活保護のうち食費や光熱費に充てられる生活扶助費が、来年4月から最大で5%引き下げられる。2015年の最大10%削減につづく引き下げである。
「もう生きてゆけない」。当事者と法律家たちがきょう、厚労省を訪れ、削減の撤回を求める要求書を手渡した。
森川清弁護士は厚労省社会・援護局保護課の新垣真理課長補佐に対して「厚労省の生活保護基準引き下げに驚いている。撤回して下さい。当事者の実情を見て検討して下さい」と厳しい口調で要望した。厚労省は実態調査をせず、当事者の声も聞かなかったことへの憤りだ。
森川弁護士は大学卒業後、葛飾区の社会福祉事務所に10年あまり勤めた経験を持つ。貧困の現場を知り尽くしている弁護士だ。知り合って10年になるが、こんなに怒った表情は見たことがない。
厚労省の新垣課長補佐は「真摯に受け止めます。引き続き適正な水準とするよう検討してまいります」と官僚答弁でかわした。
生活保護当事者は「これまで節約をし続けて、これから生活費のどこを削ったらいいのか?」と怯え悩む。
「白米に醤油をかけて食べる」「入浴回数が月1回になってしまっている」「真冬に灯油が買えず(風邪をひき)肺炎になった」・・・
弁護士やケースワーカーが26日に行った電話相談に寄せられた悲痛な叫びだ。全国から273件もの相談があった。
生活扶助費の引き下げは受給者だけの問題ではない。38以上もの社会制度と連動するからだ。「最低賃金」「住民税の非課税」「医療費」「就学支援」などだ。
生活扶助費の支給額が削減されれば「最低賃金」の基準は下がり、「住民税の非課税」基準なども下がる。低所得者の生活は苦しくなるのだ。
こうして低所得者の生活水準が下がれば、生活扶助費はまたまた切り下げられる→生活扶助費が切り下げられれば、低所得者の生活水準は下がる・・・負の連鎖が始まるのである。
厚労省の引き下げ基準たるや、数字ありきのインチキだ。低所得者のなかでも生活保護申請に行き水際で追い返された世帯などを対象としているのである。生活保護受給者よりも所得が少なくなるカラクリがあるのだ。
今回はこれまでの生活保護基準引き下げと、恐ろしさのスケールが違う。厚労省は国民が「健康で文化的な最低限度の生活」ができるよう保障するのが役目であるはずだ。
森川弁護士が「大きな見直しですね?」と問うたところ、新垣課長補佐は「曲解です」と言い放った。
2018年は「1億総貧困化・元年」となるのだろうか。
〜終わり~