2017年12月30日土曜日

無人米軍住宅にこれまで60億円 民有地借り上げ 日本が負担

 政府は、生活保護費を5年前に6・5%削減したのに引き続き、2018年度からは更に最大5%を削減することを決めました。すでに生活レベルが下限を超えているのに、デタラメの理由をでっち上げて更に引き下げるのは160億円を削減するためです。
 その一方で防衛省は、横浜市の米軍住宅に、2015年以降は無人になったにもかかわらず年間約20億円(2017年現在で合計約60億円)を負担していることが分かりました。
 地元関係者らからは、税金の無駄遣いだとして早期返還を求める声が上がっています。
 東京新聞がスクープしました。

 天木直人氏は。うした無駄遣いが行われているのは、米軍への施設提供義務を定めた日米地位協定運用の細目が、日米合同委員会という米国の占領時代にできた秘密会議で決められ、国民の目から隠されているからだと指摘し、これを解決するには日米安保体制を見直すしかないと述べています

追記)政府は、生活保護費を削減する一方で、防衛費の方は毎年増額に続く増額をしていて、2018年度の予算額は5兆2千億円に達しています。
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無人米軍住宅に年20億円 民有地借り上げ 日本負担
東京新聞 2017年12月29日
 二〇〇四年に日本側への返還が合意されながら手続きが進んでいない横浜市の在日米軍住宅施設を巡り、ほぼ無人となった一五年以降も、日本側が施設区域の民有地の借り上げ費用など年間約二十億円を負担し続けていることが、防衛省への取材で分かった。地元関係者らからは、税金の無駄遣いだとして早期返還を求める声が上がる。 (原昌志)

 施設は米軍人とその家族向けの「根岸住宅地区」で、横浜市の中、南、磯子の三区にまたがり、面積は東京ドーム九個分にあたる約四十三ヘクタール。周辺は閑静な住宅地で地元は長年、返還を求めてきた
 〇四年十月の日米合同委員会で、米軍施設「池子住宅地区」(横浜市金沢区、逗子市)に新たな住宅を建設するのと引き換えに、日本側への返還が決定。その後、建物の老朽化もあり一五年十二月には、居住していた米軍人らは施設外の民間住宅に移るなどして全世帯が退去。現在も警備要員らを除きほぼ無人となっている。

 ただ、移設先の池子地区の周辺住民は開発による緑地環境の悪化などを懸念し、建設に難色を示している。このため根岸地区の返還手続きは停滞している。防衛省は毎年、池子地区の新住宅建設の前提となる環境影響評価(アセスメント)費用を予算計上し、一八年度予算案にも一億三千四百万円を盛り込んだが、着手のめどは立っていない。

 日本政府はこの間、米軍への施設提供を日本側の義務とした日米安全保障条約と日米地位協定に基づき、根岸地区内の36%を占める民有地の借り上げ費や崖地保全費用を負担し続けてきた。
 周辺の地価などを参考に、一六年度実績で約二十一億円かかっており、米軍が退去した一五年度からの三年間では約六十億円を支出。今後も同程度の金額が必要となる見込みだ。池子地区への移設に今すぐ着手したとしても、完成までには最低二年以上を要するため、支出は百億円を超えることになる。

 根岸地区の地元自治体の関係者は「多額の費用がかかっており、無駄遣いだ。池子地区と切り離して先行返還を考えるべきではないか」と訴える。跡地利用を検討している横浜市基地対策課の担当者も「米軍施設は必要がなくなれば返還するのが原則。国は実態を踏まえ、米側と協議するなどしかるべき対応をとってほしい」と話す。
 防衛省地方調整課は「日米の政府間合意は重い。早期の池子地区の住宅完成を目指したい」としている。

 <米軍根岸住宅地区> 1947年に米軍が接収し、米海軍軍人ら約400世帯が入居していた。国有地が64%、民有地が36%。日米安全保障条約と日米地位協定に基づき、米軍への施設提供は日本側の義務とされ、返還は米側の合意が必要。


またひとつ在日米軍への血税が見つかった
天木直人のブログ 2017年12月29日
 きょう12月29日の東京新聞が一面トップで大スクープを報じた。
 またひとつ国民の血税が在日米軍に無駄遣いされていたことが明らかになったというのだ。
 すなわち、住まなくなって久しい無人の在日米軍住宅地の借り上げ費用として、毎年20億円もの予算を日本政府が負担していたというのだ。
 在日米軍の軍人とその家族向けのために、東京ドーム9個分に当たる「根岸住宅地区」というのがあるらしい。
 その住宅地区は、2004年10月の日米合同委員会で、おなじく横浜市にある「池子住宅地区」にあらたな住宅を日本政府が建設するのと引き換えに、日本側へ返還することが決定されていた。

 ところが池子地区周辺の住民の反対で建設が停滞し、その間に根岸住宅が老朽化したという理由で、米軍人らは2015年12月には全員が民間住宅に移って(その借り上げ費は当然ながら日本負担である)完全に無人化したという。
 それにもかかわらず日本政府は無人化した施設の借り上げ費として推計で60億円もの予算を使って来たというのだ。
 来年度の予算案でも1億3千4百万円を計上しているという。

 なぜこのような無駄遣いが行われるのか。
 それは米軍への施設提供は日本側の義務であるとした日米地位協定があるからだ。
 そして、その運用のあらゆる決定は日米合同委員会という米国の占領時代にできた秘密会議で行われ、国民の目から隠されてきたからだ。

 しかし、もはやこの東京新聞のスクープですべてが白日の下にさらされた。
 他の大手紙が後追い記事を書いて国民すべてに知らせなければいけない。
 与野党を含めた政治家は、このような国民の血税の無駄遣いを一刻も早く是正しなければいけない。
 これを根本解決するにはもちろん日米安保体制を見直すしかない。

 しかし、たとえ日米安保体制を最優先する安倍自公政権であっても、この血税の無駄遣いだけは直ちに改めなければいけない。
 それが出来ないようでは安倍自公政権は日本国民より米軍を優先する単なる対米隷従政権であるということだ。
 私はこの東京新聞の大スクープ記事に対して政治やメディアがどう動くか注目している(了)