2017年12月6日水曜日

戦争前夜の米韓軍事演習に沈黙するメディア

 今行われている米韓軍の合同空軍演習を批判する二つのブログを紹介します。

 一つは天木直人氏のもので、この空前の規模の演習は北朝鮮を挑発するもので、日本も日本海で合同演習をするなど北朝鮮と戦争をしようとしているのは、憲法9条を完全に否定するものであるのに、メディアは勿論野党までがそれを容認しているのはおかしいとして、戦後72年目の護憲運動の変容を嘆いています。

 もう一つは「日々雑感」氏のもので、日本の(政府と)メディアは北朝鮮の脅威を「これでもか」と宣伝しているが、もしも北朝鮮の脅威があるとすれば、それは1998年に北朝鮮のノドンが日本列島を飛び越えた時から何も変わっていないのであり、北朝鮮は「先制攻撃」を行ったが最期、国を殲滅させられることを知っているから、先制攻撃をすることはあり得ないとしています。
 それなのに「北朝鮮の脅威」が増大しているかのように報道するのは、米国迎合の報道機関に成り下がっているからで、日本国内の米軍基地から攻撃機が飛び立って米韓軍事合同作戦に参加している事態を重大事だと考えないメディアは、既に常軌を逸しているとしています。
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戦争前夜の軍事演習に沈黙するこの国の政治の無力さ
天木直人のブログ 2017年12月5日
 きょうの各紙は米韓合同軍事演習を一斉に報道している。
 その内容を見ると、これは実戦さながらの、世界でも例を見ない大規模かつ攻撃的な演習であることがわかる。
 よくもこのような演習を、北朝鮮危機の最中に行えるものだ。
 これは北朝鮮に戦争を起こせと仕掛けているようなものだ。
 ところが、それを批判する記事はどこにも見当たらない。
 それどころか、日本まで 米軍と合同演習をしている
 米軍と一緒になって北朝鮮と戦争している韓国は自業自得だ。
 しかし、関係のない日本までもが北朝鮮と戦争をしようとしている
 どう考えてもおかしい。憲法9条の完全な否定だ。

 それにもかかわらず、それを批判する記事はどこにも見当たらない
 護憲であるはずの朝日も毎日も東京も、一言も止めろと書かない。
 メディアが書かないのは、しょせんメディアはその程度だと割り切ればまだ我慢できる。
 しかし、打倒安倍政権を掲げる野党までも、安倍政権と一緒になって全会一致で北朝鮮批判決議を採択している。
 北朝鮮批判だけならまだ理解できる
 しかし、米軍との合同軍事演習までも、安倍首相と一緒になって容認しているごとくだ。
 このままでは、米国が北朝鮮を攻撃しても、悪いのは北朝鮮だから仕方がないと追認する事になるだろう

 この政治の無気力さにはつくづく虚脱感をおぼえざるを得ない。
 どうやら、戦後72年経って、日本の護憲政治は完全に終わってしまったようだ。
 日本は、もはや唯一の被爆国を名乗る資格も、平和憲法を世界に誇れる資格も、みずから放棄してしまったようだ。
 この深刻さは、いくら強調しても強調しすぎる事はない(了)


これ以上米国の踏み石に日本が利用されるのは御免だ。
日々雑感 2017/12/05
 米韓両軍が4日に開始した合同空中訓練「ビジラント・エース」は、約230機の航空
機を投入した「史上最大規模」(韓国軍)であるだけでなく、24時間の作戦継続や精密攻撃が盛り込まれている。かつてない実戦さながらの訓練は北朝鮮に一層の圧力をかけている。
 訓練に動員されるのは、最新鋭ステルス戦闘機F22、F35A、F35B、F15C、F16のほか、電子戦機EA18G、戦略爆撃機B1など。米軍のF22が6機同時に韓国に展開するのは初めてで、ステルス機だけで24機が参加する。
 「見えない戦闘機」であるF22は北朝鮮の防空網を突破し、狙った重要施設のピンポイント攻撃が可能だ。かつてF22が朝鮮半島に展開した際、金正恩朝鮮労働党委員長の動静が伏せられるなど警戒を強めた。

 米空軍は今年、戦闘機を軍事境界線の南側ギリギリまで飛行させる訓練をした。今回も軍事境界線付近に集中配備されている北朝鮮の野砲やロケット砲の破壊、弾道ミサイルの移動式発射台の攻撃を想定した訓練を実施。北朝鮮特殊部隊の海上からの侵入を阻止する訓練も行われる。

 訓練は韓国とその上空で行われているが、米軍機の多くは日本やグアムから飛来する。F35Bなどは在日米軍基地から出動して韓国上空に迅速に展開後、そのまま基地に戻る。対北空軍力が韓国だけでなく、日米に控えていることを北朝鮮側に強く誇示する。
 北朝鮮は米韓の軍事演習や訓練が「侵攻作戦」に変わることを恐れており、「北がやれば即やり返す」という実戦想定の訓練は心理的な効果も期待される。

 一方、韓国軍は北朝鮮の金正恩氏ら首脳部の除去を任務とする1千人規模の「特殊任務旅団(斬首作戦部隊)」を1日に創設した。斬首部隊に関し北朝鮮は「極めて挑発的かつ侵略的なシナリオに沿う先制攻撃手段」(4日の労働新聞)と神経をとがらせている。

 米韓両軍は北朝鮮が核・ミサイルでの挑発を続ける限り、今後も訓練や演習の規模は縮小しない構えだ
(以上「産経新聞」より引用)

 かつての規模を超える米韓合同軍事演習が朝鮮半島や半島近海を舞台に繰り広げられている。当然、日本国内の米軍基地から戦闘機も参加して、実戦さながらの訓練をしているという。
 それに対して北朝鮮はいつものように不快感をあらわにして、報復をちらつかせている。つい先日の北朝鮮ICBM試射に対する米韓の報復だというが、一体いつまで餓鬼じみたチキンレースを続けるつもりなのだろうか。

 米軍は先月半ばから三隻もの空母を朝鮮半島近海に展開して、実戦配備の陣形を固めている。その中には日本の横須賀を母港とする米海軍第七艦隊の空母ドナルト・レーガンもいて、日本は否応なく「米国の戦争」に加担させられようとしている。
 そもそもドナルド・レーガンが横須賀を母港としている根拠は「日米安保条約」による。日米安保法に基づいて、米兵の給与以外の諸経費をすべて日本が負担する「思いやり予算」を長年実施してきた。

 しかし北朝鮮の核兵器開発やICBM開発は日本の防衛・安全保障とどんな関係があるのだろうか。日本のマスメディアは北朝鮮の脅威を「これでもか」と報道しているが、実際に北朝鮮が中距離ミサイルに核弾頭を装備して日本へ向けて発射したなら、防ぎようがあるのか否かが日本国民の最大の関心事のはずだ。
 もとより米国本土東海岸に到達するICBMが開発されようがどうであろうが、日本の安全保障には全く関係がない。日本にとって北朝鮮の脅威は1998年に北朝鮮のノドンが日本列島を飛び越えた時から何も変わっていない

 そうした簡明なことすら故意に混同して、日本のマスメディアは「日本に対する北朝鮮の脅威」が増大しているかのような日本国民世論を誘導する報道に徹している。これは不誠実というよりも、日本のマスメディアが米国のポチ報道機関に過ぎない、日本国民に対する重大な裏切りを犯していることに他ならない。
 北朝鮮は「先制攻撃」を行った途端に、金独裁体制が崩壊することを知っている。だから北朝鮮が先制攻撃することはあり得ない。むしろ警戒すべきは米国の「斬首作戦」だ。日韓の主権を無視して、米国が単独で作戦行動を起こすことは充分にありうる。ウサマ・ビン・ラディン氏を特殊部隊が「暗殺」したことが米国の戦争体質を如実に現している。

 日本国内の米軍基地から攻撃機が飛び立って米韓軍事合同作戦に参加している事態を重大事だと考えない日本のマスメディアは既に常軌を逸している。日本の横須賀から空母ドナルド・レーガンが朝鮮半島沖へ出向した時に、「その作戦行動は日米安保条約の範囲か」と日本政府は米国に確かめたのだろうか。
 これ以上米国の踏み石に日本が利用されるのは御免だ。