2017年12月14日木曜日

五輪休戦で具体化も 米朝対話再開 安倍政権は蚊帳の外

 先に北朝鮮がアメリカの要求に応じ、75日間、核実験とミサイル試射を中止して米国との非公式会談を期待しましたが、結果的に、トランプ大統領から北朝鮮が「テロ支援国家」に再指定されるという思いもかけない裏切りに遭い、アメリカには本当に会談に応じる気持ちがあるのかが疑われることになりました。
 しかし北朝鮮はそれにもめげずに、核・ミサイル開発に猛進する一方あらゆるチャンネルを通じて米国との対話再開を模索しているということです。
 国連のフェルトマン事務次長(政治局長)の訪朝受け入れもその一環で、「さまざまなレベルでの往来を通じた意思疎通」の定例化で合意しました。フェルトマン氏は米の国務省(日本の外務省)出身で、米国の意向もくんで動いているとみていいといわれています

 トランプ大統領の正体はなかなか掴めませんが、来年2月開催の平昌五輪へ北朝鮮選手を派遣し、五輪開催中は “休戦モード” に切り替えて、その間北朝鮮は核・ミサイル開発実験を休止し、米朝対話を再開するというのが、フェルトマン氏持ち込んだ提案とされています。
 是非その方向に進んでほしいものです。この際トランプ氏の外向きの発言にひたすら追随していて、今や好戦派の筆頭となっている安倍首相などが無視されるのは当然のことです。

 安倍首相には、北朝鮮が日本を射程に収めるミサイルを所持した状態で事態が終結するのは困るという言い分があるようですが、北朝鮮が数百基のノドンを所有してからもう20年も経つのに何ごともなく推移したというのが現状です。
 それをアメリカや国連の力で20年以上も前の状態に戻せという主張が、世界に認められると思っているとしたら普通の感覚ではありません。
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五輪休戦で具体化も 「米朝対話再開」安倍政権は蚊帳の外
 日刊ゲンダイ 2017年12月14日
 北朝鮮との対話再開を求める拉致被害者やその家族が相次いで鬼籍に入った。曽我ひとみさん(58)の夫のチャールズ・ジェンキンスさん(享年77)は致死性不整脈で逝去。増元るみ子さん(拉致当時24)の母親の信子さん(享年90)は、愛娘との再会を果たすことなく心不全でこの世を去った。

 安倍首相はつい最近も「全ての拉致被害者のご家族が肉親を抱きしめる日まで私の使命は終わりません」と言っていたが、口先だけなのは明々白々だ。軍事圧力を強めるトランプ米大統領のお先棒を担いで「100%支持する」と同調し、「国難」と煽り立てて北朝鮮を刺激している。
 北朝鮮籍とみられる木造船の漂流をめぐり、自民党は「核実験・ミサイル問題対策本部」と「拉致問題対策本部」の下に合同チームを新設。岸田政調会長が座長を務め、対応策を講じるというが、北朝鮮に拳を振り上げ続けて活路が見いだせるのか。米国はとうに対話再開に向けて動き出している。

■平昌五輪の“休戦モード”で具体化
 北朝鮮は核・ミサイル開発に猛進する一方、あらゆるチャンネルを通じて米国との対話再開を模索してきた。トランプ政権が発足した1月以降、政権に近い有識者と次々に接触。意見交換を打診し、ノルウェーやフィンランド、スイスなど欧州各地で非公式会合を重ねている。国連のフェルトマン事務次長(政治局長)の訪朝受け入れもその一環で、「さまざまなレベルでの往来を通じた意思疎通」の定例化で合意した

フェルトマン氏は米国務省出身で、米国の意向もくんで動いているとみていい。彼らが持ち込んだ提案は来年2月開催の平昌五輪へ北朝鮮選手を派遣し、五輪開催中は核・ミサイル開発実験を休止。“休戦モード”に切り替えて米朝対話を再開するというものです」(外交事情通)
 朝鮮労働党の金正恩委員長は恒例の「新年の辞」で、ICBM(大陸間弾道ミサイル)と核兵力の完成を誇示するとみられている。国内向けのセレモニーだ。
「米国の最大懸念は、東海岸を含む米本土を射程に収めるICBMの実戦配備です。これさえ阻止できれば、対話再開は可能だという段階までハードルを下げてきている。裏を返せば、日本などに向けられた中長距離ミサイルや核保有を容認する可能性があるということです」(軍事関係者)

 米国第一のトランプはビジネスマンであり、役者だ。来日中は安倍首相との蜜月演出に精を出していたが、日本を飛び立った途端、態度を一変させた。安倍首相のハシゴを外すくらいヘでもない。米国追従一辺倒で、北朝鮮の眼中にもない安倍首相はどうするつもりなのか。
北朝鮮の李外相らと会談するフェルトマン国連事務次長訪朝団(C)AP
北朝鮮の李外相らと会談するフェルトマン国連事務次長訪朝団(C)AP