2017年12月11日月曜日

日本の武器輸出考える 東京新聞・望月記者が講演

 菅官房長官の記者会見で的確で痛烈な質問を繰り返して一躍名を馳せた東京新聞の望月衣塑子記者が、9日、神戸市日本の防衛産業について考える講演会「2017平和のつどい」で講演しました。
 演題は「今なら止められる武器輸出 戦争ビジネスに舵を切らせるな」で、「女性会議ひょうご」が主催し、250人が参加しまし
 望月記者は日本の武器輸出問題に詳しく、昨年「武器輸出と日本企業」を出版しています。(「武器輸出と日本企業」「副題)前のめりな防衛省、とまどう企業…「新三原則」後の知られざる現状 2016年7月10日 角川新書

 神戸新聞の記事を紹介します。
 併せて参考までに著書「武器輸出と日本企業」の目次を紹介します。文中の「/」マークは改行を意味します。紙面を節約するために改行を省略しました。
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日本の武器輸出考える 東京新聞・望月記者が講演
神戸新聞 2017年12月10日
 日本の防衛産業について考える講演会「2017平和のつどい」が9日、神戸市中央区橘通3、あすてっぷKOBEであった。女性会議ひょうごの主催。武器輸出の問題点を追及してきた東京新聞の望月衣塑子記者を講師に招き、約250人が参加した。

 演題は「今なら止められる武器輸出 戦争ビジネスに舵を切らせるな」。望月記者は昨年、東京であった国際航空宇宙展に触れ「さながら世界の武器見本市の様相だった」と指摘した。欧米の軍事企業が積極的に出展し、日本も武器輸出を条件付きで認める一方、日本の防衛産業に連なる下請け企業には、武器輸出への懸念や慎重な声があることを紹介。「軍事で稼ぐ企業の論理が最優先され、欧米の武器生産の工程に、日本のあらゆる企業が飲み込まれていくのではという危機感が募った」と述べた。

 武器輸出を巡り、政府関係者や企業、研究者への取材を続けてきた望月さん。輸出戦略チームを設けた企業もあるという。「武器輸出解禁から3年で、中古の武器販売、海外での武器の共同開発の動きに拍車がかかっている。慎重だった企業にも、戦争ビジネスマインドが形成されつつあると感じる」と批判した。(段 貴則)


著書:「武器輸出と日本企業 目次の紹介

武器輸出と日本企業  前のめりな防衛省、とまどう企業 …「新三原則」後の知られざる現状」(著者 望月衣塑子 2016710 角川新書 ¥864) 

      森達也氏(映画監督・作家・明治大学特任教授)推薦
「読み終えて言葉を失う。人類はなぜ戦争を止められないのか。その大きな理由の一つがここにある。そしてこの理由は、今の日本がどの方向に進もうと知るかを明確に示している。勇気ある一冊だ。」

はじめに 

第1章 悲願の解禁
晴れやかなお披露目さっそく動き始める防衛装備庁220社30万部品が集結した「平成のゼロ戦」「心神」初飛行が成功フランスの武器見本市に日本の企業が初参加解禁前から動いていた富士通買収された「日系企業」は制約を受けない

第2章 さまよう企業人たち
防衛産業は「儲かる」のか企業人たちの迷い三菱重工が下請け750社に課す厳しい独自規格進まない武器のファミリー化海外が熱視線を注ぐ日本の電子技術「そもそもどういう国になりたいのですか?」防衛省が検討する手厚い支援策

第3章 潜水艦受注脱落の衝撃
機密の塊を外国へ世界で急増する潜水艦の輸出必死さを見せる三菱重工オーストラリアと中国の急接近止まない不安の声武器輸出反対ネットワーク設立4・26ショック不安は解消していない

第4章 武器輸出三原則をめぐる攻防
朝鮮戦争でいきなりの例外規定糸川英夫氏のロケット輸出、そして三原則成立へ「堀田ハガネ」事件と見直し論最後の晩餐、そして大再編へ民主党政権での大幅な見直し新三原則が内包する危険性高い日本の武器世界をめぐる武器日本が目指すアメリカ式の軍産複合体アメリカで起こった国防研究者への弾劾運動

第5章 「最高学府」の苦悩
東京大学の大転換、軍事研究を容認アメリカ軍からの資金援助グーグルが買収した東大元研究員のベンチャー日の当たらなかったロボット研究東大チームもロボコン決勝へアメリカ国防総省からの熱視線東大サークル、アメリカ海軍がスポンサーの大会に参加「戦争をするなら勝つために」東大へ軍事関係者が視察

第6章 デュアルユースの罠
研究代表は日本国籍―防衛省の新たな資金制度マッハ5の極超音速エンジン技術海洋研究開発機構も応募応募大学で広がる波紋反旗をひるがえした大学も防衛装備庁の本音戦時下の科学者の責任国立アカデミーの宣言突然の私見披露全国で集まった9000人の反対署名防波堤は科学者個人の倫理観のみ

第7章 進む無人機の開発
一人のパキスタン人少女との出会い3D仕事」と高齢化対策に無人機日本で初の「ドローン」国際展示会アメリカ企業の日本への売り込みが加速ホテルニューオータニで無人機のシンポジウム使用はまだ先……防衛省の無人機防衛官僚のイスラエル企業への接近まきこまれる民間人「ゾンビモード」で任務をこなす日本はどこに向かっていくのか

あとがき