植草一秀氏が、民進党が正体不明の「あいまい政党=鵺(ぬえ)」である所以に関する興味深い記事を出しました。
民進党の前身は、旧同盟を支持母体とする民社党であるが、同党は日本において左派勢力が拡大し日本の政治路線変更の危険が高まるなかで、それを阻止するためにCIAが創設した政党であり、また現在の民進党の支持母体である連合は、旧総評と旧同盟が合体してできた組織であるが、これも二つの正反する勢力が同居する状態で、主導権を握っているのは、電力、電機、自動車、鉄鋼(、それにゼンセン)などの「御用組合」で、旧同盟が主導権を握ってるとしています。
政党の根幹は言うまでもなく基本政策・方針なので、民進党のように戦争法・憲法・原発・消費税などの基本政策において真逆の二つの勢力を保持しながら、主権者国民に支持を呼び掛けるのはあまりにも不誠実であるとして、いま一番必要なことは、民進党の分離・分割を完遂することであり、同時にその裏側にある、連合を分離・分割することであるとしています。
そして戦争法制・憲法改定、原発、消費税に反対する主権者国民の層は厚いので、この路線を明確に示す政治勢力(連合体)が出現すれば、次の選挙で政権を獲得する可能性は極めて高いと判断されるとしています。
同時にその危険性を絶えず正確に察知して、反政府勢力の結集、大同団結を妨害、阻止してきた本尊がCIAであるとして、この基本構造を理解することが大事で、その観点に立てば民進党がなぜ「あいまい状況」を続けてきたのかがはっきりと分かると述べました。
植草一秀氏は最後のところで、2009年に樹立された鳩山由紀夫政権が党内の政権破壊活動によって倒された経緯に触れています。
鳩山民主党政権は小沢-鳩山ラインの功績で実現しましたが、早々に倒されて菅政権、野田政権に移行して変質し、国民の評価は地に落ちました。
植草氏は鳩山政権を倒した当時の民主党の中心メンバー:渡部恒三、藤井裕久、仙谷由人、菅直人、野田佳彦、岡田克也、前原誠司、安住淳、枝野幸男、玄葉光一郎を悪徳10人衆と呼び、政権交代の選挙時に主権者に明示した政権公約を彼らが一方的に破棄し、民主党転落を招いた元凶であるとして、いまも許していません。
背景が良く分かっているだけに、あの顛末は無念であり許せないのでしょう。
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民進党は政党交付金も正当に分離分割せよ
植草一秀の「知られざる真実」 2017年12月23日
(阿修羅 市村 悦延 12.23 より転載)
民進党から立憲民主党への移籍者が急増している。当然のことである。
民進党の大塚耕平代表が12月17日、三重県津市の講演で、「『あいつと一緒になるのがイヤだ』とか、また衆院の中で議論が行われているんです。もう勘弁してほしい。」と述べたと伝えられているが、問題の本質をまったく理解していない。
私は民進党の分離・分割を提唱し続けてきた。その理由は、民進党内に基本政策が真逆の勢力が同居しているからである。
そもそも政党とは、基本政策を共有する者の集まりである。国会で多数議席を確保し、政権を樹立する。そして、その基本政策を実現する。そのための存在だ。背後にあるのは国民主権だ。主権者国民に選択権がある。
主権者国民の意思を現実政治に反映するために政党が存在する。政党は基本政策方針を明示して、この方針に賛同する主権者国民の支持を得る。政党の根幹は基本政策方針なのである。
私たちの目の前には、国民の未来を左右する重大な問題が横たわっている。
憲法・戦争、原発、消費税の問題はまず重要だろう。さらに、TPPや基地の問題がある。
民進党内に、これらの基本テーマに対する正反する二つの政治勢力が同居しているのだ。戦争法制賛成・原発推進・消費税増税推進の勢力と戦争法制反対・原発廃止・消費税増税中止の勢力が同居している。
これは、主権者国民に対する冒涜である。基本政策において真逆の二つの勢力を保持しながら、主権者国民に支持を呼び掛けるのは、あまりにも不誠実である。
この事実が9月に実施された民進党代表選で明らかになった。
私は、この時点で民進党を円満に分離・分割することが二人の代表選候補者の責任ある行動だと訴えた。しかし、この時点では二人の立候補者は動かなかった。
その後、代表に就任した前原誠司氏は希望への合流を提唱した。民進党全体で希望の党に合流することを表明しながら、裏側で、意見の異なる者を排除することに同意していた。そして、希望の党への合流を強行した際に、排除された人々が集団で離党する事態を招いた。
このことについて、前原氏は「想定内」と述べた。前原氏の行動は政治家以前の人間としての信頼の問題である。立場を利用して同志に対して背信行為を示して何の疑問も感じない。そのような人物であることが明らかになった。前原氏の政治生命は完全に終わったと言ってよいだろう。
しかし、この軽挙妄動により民進党が結果として分離・分割の第一歩を記したことの意味は極めて大きい。旧民主党、現民進党内に二つの政党が同居し、民進党が正体不明の「あいまい政党=鵺(ぬえ)」であることが、主権者国民の政治選択を妨害してきた。安倍政治に賛同する者がいても当然だ。
しかし、それが当然であることは、逆に安倍政治に賛同しない者がいても当然であることを意味する。安倍政治が示す基本政策方針に賛同する者がいる一方で、安倍政治の基本政策方針に反対する者がいる。大事なことは、主権者国民の前に、明確な選択肢を提示することなのだ。
民進党が上記の主要政策課題に対する基本方針の相違により分離・分割しつつあることは望ましいことであるし、同時に当然のことである。遅ればせながら、ようやく事態は正常化する方向に動き始めた。
戦争法制賛成・憲法改定賛成、原発推進、消費税増税推進の勢力と戦争法制反対・憲法改定阻止、原発廃止、消費税増税中止の勢力が同居していることがおかしかった。
前者の勢力は自公との差異がない。だから、積極的な存在理由がない。そのことが、現在の政党支持率に表れている。民進党も希望の党も支持率は1%程度しかないのだ。
民進党の分離・分割が実現していないのは参院である。参院は2019年夏に通常選挙を迎える。自公補完勢力の民進党、希望の党は次の参院選でほとんど当選者を出すことができないだろう。したがって、多くの者が民進党から立憲民主党に移籍することになる。このことは明白だ。
問題は、その際に、民進党に残存する政党交付金残高を適正に分割することだ。このお金の拠出者は主権者国民である。国民が政治活動資金を提供している。民進党が分離・分割されるべきことは上記の理由から当然のことである。その場合、政党交付金残高は議員数で按分して分離・分割するべきなのだ。
現在の民進党執行部は自公補完勢力が務めている。彼らは、反自公勢力のメンバーが自発的に民進党を離れることによって政党交付金をすべてかすめ取ることを目指しているのだと思われる。このお金をかすめ取って、自公補完勢力の新党の活動費に充てることを目論んでいる。
おそらく、希望と民進党、さらに無所属議員が合流して新党を作るだろう。あわよくば、野党第一党の地位を狙うのだと思われる。極めて狡猾なやり口である。
しかし、主権者はこの勢力に力を与えてはならない。主権者は安倍政治路線と反安倍政治路線の二つの選択肢から選択すればよいのだ。だから、安倍自公補完勢力をまったく必要としていない。主権者国民が拠出する政党交付金を不当に強奪しようとする勢力が力を持ってよいはずがない。この勢力は消えゆく存在であると言ってよいだろう。
民進党から立憲民主党に移籍した江崎孝参院議員は自治労の組織内議員である。この江崎氏が民進党を離党して立憲民主党に移籍した意味は極めて大きい。なぜなら、「鵺の民進党問題」の裏側にあるのが「鵺の連合問題」であるからだ。連合そのものが矛盾の存在なのである。
連合は旧総評と旧同盟が合体して創設された組織である。政権交代自体が目的であった局面では連合の存在意義が大きかったと言える。まずは政権交代の実現というのが、日本政治刷新運動の第一歩であったからだ。しかし、現在は違う。現在の最重要の政治課題は、戦争・憲法、原発、消費税になっている。
この政治課題について、「鵺の民進党」と同様に、連合においても二つの正反する勢力が同居する状態になっている。戦争法制容認・憲法改定容認、原発推進、消費税増税容認の勢力と戦争法制廃止・憲法改定反対、原発阻止、消費税増税阻止の勢力が同居している。
現在の連合で主導権を握っているのは、電力、電機、自動車、鉄鋼の労働組合とゼンセンである。これらのすべてが、基本的に「御用組合」なのだ。労働者の代表ではなく、経営の意向を労働者に押し付けるための組織なのである。旧同盟が主導権を握っていると言ってよい。
旧同盟を支持母体に創設された政党が民社党である。民社党は日本における社会主義運動が拡大するなかで、左派勢力が拡大し、日本の政治路線変更の危険が高まるなかで、これを阻止するためにCIAが創設した政党である。もともと、左側の防波堤、偽装勢力なのである。
与党の方針に対して反対する主権者が存在する。その反対勢力が政策路線を明確にして正反する政策路線を明示する。ここに主権者の支持が集まると政治路線が正反する勢力が政権を樹立する可能性が高まる。米国・官僚・大資本が支配する政治体制そのものが根底から破壊される危険が現実のものになる。
この危機意識から、反権力の勢力が結集することを阻止するために、「鵺」の存在を人為的に創設した。これが「民社党」であり、その民社党の支持母体が同盟だった。
民進党を「鵺」の存在として残留させ、反権力の勢力が結集、大同団結しないように仕組んできた主体はCIAなのである。民進党が鵺の存在であること、自公補完勢力の第三極政党が次から次に創設されて、これらの影響で選挙の際に反自公の票が割れて自公が多数議席を確保している背景にあるのは、CIAの対日政治工作なのである。
この点に気付けば、日本政治を刷新するために何をすればよいのかが分かる。すべて、その逆をやればよいのだ。いま一番必要なことは、民進党の分離・分割を完遂すること。これと同時に、その裏側にある、連合を分離・分割することである。
連合内で与党補完勢力の電力・電機・自動車・鉄鋼・ゼンセンに対して、旧総評系組合として距離を置いているのが、自治労、日教組、JR総連などの組合である。この二つの勢力が決別して、連合の分離・分割を実現すること。これが極めて重要である。
10月22日の衆院総選挙では、自治労や日教組が立憲民主党候補の支援に回った。
民進党を分離・分割して、同時に連合も分離・分割する。これが日本政治を分かりやすくして、主権者国民の政治への関心を高める最良の道である。この流れを強く警戒しているのがCIAであり、日本支配勢力の米国・官僚・大資本である。
反自公勢力が結集すると、次の選挙で政権交代が実現するだろう。そして、日本の基本政策方針を大転換することになるだろう。これは実現しそうにない希望を述べているものではない。十分に実現可能な青写真である。
主権者国民の広範な支持を集めるには、政策路線が純化されることが必要不可欠だ。
自公と変わらぬ政策路線を提示する勢力が集まって第二自公勢力を構築しても主権者の支持は得られない。主権者国民の半数が求めているのは、政治路線の刷新なのだ。
もちろん、いまの政治路線継続が望ましいと考える主権者もいるだろう。それはそれで当然だ。大事なことは、主権者国民の前に明確な選択肢が提示されることなのだ。戦争・原発・消費税について、これに賛成する選択肢と、これに反対する選択肢が主権者国民の前に明確に提示される。その選択肢のなかから選ぶのは主権者国民だ。
戦争法制・憲法改定、原発、消費税に反対する主権者国民の層は厚い。この路線を明確に示す政治勢力が出現すれば、次の選挙で政権を獲得する可能性は極めて高いと判断される。
このような二項対立図式、明確な選択肢が提示されることを誰が恐れているのか。誰が恐れてきたのか。これを考える必要がある。
既述したように、この危険を正確に察知して、反対勢力の結集、大同団結を妨害、阻止してきた本尊はCIAなのである。
日本を支配する米国。正確に言えば、米国を支配する巨大資本が日本を支配してきた。そして、その巨大資本の対日工作を請け負ってきたのがCIAなのである。
このことを理解すると、民進党がなぜ「あいまい状況」を続けてきたのかがはっきりと分かる。
2009年に樹立された鳩山由紀夫政権は、米国が支配する勢力ではない勢力が実権を握った政権だった。だからこそ、すべての力を動員して、この政権を破壊する活動が展開された。そして、その破壊活動の中心を担った悪徳10人衆のメンバーが現在の「鵺の民進党」の中核に居座っているのだ。
政党交付金残高は日本政治刷新を実現するための貴重な資金源になるが、彼らは1円も渡さないとの構えを示している。万が一、この国民資金が彼らに強奪されても、日本政治刷新は必ず実現しなければならない。こちらの勢力が拡大すれば、やがて政党交付金も増加する。それまでの辛抱とも言える。
民進党と連合の完全分離・分割を実現して、日本政治の本当の刷新を主権者国民の力によって成し遂げようではないか。