2017年12月17日日曜日

17- 黒田日銀が、密かに緩和縮小に移行

 日銀が密かに異次元緩和を止め「緩和縮小」の方向に転じたということです。
 果てしなく膨張を続けている宇宙とは異なり、通貨の拡大発行や国債の日銀買い取りを永久に続けられるはずがないことは子供でも分かる道理です。
 日銀(国)がいつそれを止めるのかは、投資家に限らず、日本の将来を憂いる人たちの最大の関心事でした。
 したがって密かに方針を転じることなどとても出来ません。現実に今年転じたことは既にバレバレの状態です。
「縮小の度合」が進むほどその負の影響は拡大し、いずれ破局を迎えるといわれています。
 異次元緩和を始めた以上、政府にその対策がないことは許されません。
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市場が囁く 黒田日銀「ステルス・テーパリング」の姑息
 日刊ゲンダイ 2017年12月16日
 ステルス・テーパリング――。一般には耳慣れない言葉が、金融関係者の間で話題になっている。
 ステルスは「密かに」「隠密」といった意味。テーパリングは「緩和縮小」を指す。
「日銀の黒田東彦総裁は表立って量的緩和の縮小を口にはしていないが、実際にやっていることは緩和縮小だということです」(市場関係者)

 日銀は金融緩和の一環として、年間80兆円の国債を買い入れる方針にある。だが、11月末時点で年間60兆円にペースダウンしているのだ。
「日銀によるステルス・テーパリングは、いまや公然の秘密でしょう。黒田総裁は、例えば水を飲み過ぎて走れなくなる前に、飲む量を減らしたいと考えているのだと思います」(第一生命経済研究所首席エコノミストの熊野英生氏)

 14日、米FRBは半年ぶりの利上げを決め、来年は年3回のペースで引き上げるとした。欧州中央銀行(ECB)も来年1月から債券の買い取り規模を減額する。米欧がそろって“出口戦略”を打ち出すなか、日銀だけが緩和継続だ。
「それでも黒田総裁は緩和縮小を口にできません。日米欧の全てが出口に向かうと、投資資金などの供給元がなくなり、株や債券は暴落します。とはいえ、金融緩和の一環であるマイナス金利はメガバンクをはじめとする銀行の経営を直撃しています。姑息な手段だと言われようが、密かに緩和縮小するしかないのです」(株式アナリストの黒岩泰氏)

 一方、こんな声もある。
「今こそ、金融政策を正常に戻すチャンスです。米国が利上げするのだから、日本が追随しても金利差は広がりません。円高に向かいにくいということです。このまま量的緩和を継続すると、海外勢から、黒田総裁は円安を維持するために“為替操作”を続けていると非難される危険性があります。ためらうことなく緩和縮小するべきです」(IMSアセットマネジメント代表の清水秀和氏)

 黒田総裁は来年4月に任期満了となる。再任が有力視されているが、“隠密緩和縮小”の行方次第で再登板は危うくなる。