かつてのいわゆる議員年金は、1961年当時、自民党、日本社会党、民主社会党の議員立法「国会議員互助年金法」に基づいて給付されましたが、議員在職10年で最低年間412万円が通常の公的年金に加算されるという、あまりにも特権的なものであったために、世論の批判を受けて2006年に廃止されました。
ところがそれから10年が経ったので もうほとぼりが冷めたと見たのでしょうか、今年に入ってから自民党議員の間でそれを復活させようとする動きが起き始めました。
それも姑息なことに、まずは地方議員の問題にすり替えてそこを突破口にしようとしています。
曰く「議員年金がないと地方議員の老後は生活保護だから」という具合です。
国民の殆どは老後は年金生活に入ります。議員にそれが出来ないという理屈はありません。
「年金では生活ができない」ということであれば、先ず年金の額をあげるようにするべきで、特権的な議員年金を復活させることでそこから逃れようすることは許されません。
かつては、政治にすべての私財を投じ、結局 自宅には井戸と塀しか残らなかったという「井戸塀政治家」という言葉がありました。それに学べというのはさすがに酷ですが、少なくともそうした気概に想いを致すべきでしょう。
「日々雑感」氏が厳しく批判しています。
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自民竹下議員の「議員年金がなければ若い国会議員は辞めれば生活保護を受けなければならなくなる」とは何事か
日々雑感 2017年12月16日
またぞろ国会議員の議員年金を復活させようと自民党で議論されている。かつて国会議員は10年勤続すれば最低年間410万円の年金が受給できていた。ちなみに地方議員は3期以上勤続で平均額でいえば都道府県議員は194万円、市会議員で103万円、町村議会議員で68万円の議員年金を支給されていた。
ただし、議員年金は公的年金とは別途支給される。竹下氏は地方議員のなり手がないのは議員の老後保障がないとの論拠を言い立てているが、地方議員も国民年金には加入しているわけだから「議員年金のない議員の老後は生活保護」という理屈はおかしい。それならすべての国民年金加入者は生活保護受給者になる、といっているのと同じだ。
国会議員の年金は復活すれば10年勤続で、その後は勤続年数1年につき8万円加算される。しかし最低年金410万円とはあまりに高額だ。むしろ加入して25年間満額掛け金を支払っても年額78万円しかもらえない国民年金のあり方を問題にすべきではないか。
国民年金受給者が生活保持対象になると自民党の竹下氏が見解を示したわけだから、国民加入者は年金受給年齢に達したら生活保護を申請すべきだろう。全国の国民年金受給者は生活保護以下の年金氏は受け取っていないのだ。
自民党の国会議員は議員年金の復活を目論むよりも、年金の一元化をはかるべきだ。公務員が加入する共済年金は掛け金の二倍を国や地方自治体が税金から補助して、平均年金受給額月額30万円を手している。サラリーマンなどの混成年金加入者は掛け金と同額を企業が負担して、平均年金受給月額20万円を手にしている。それに引き換え、国民年金は個人負担金月額1万6千円を支払い、それのみを年金原資として満額ですら月額6万5千円を受給する。
この目に余る格差と不公平に国民年金受給者の一揆が起きないのが不思議だ。日本国民は大人しいというが、大人しいのではなく完全に牙を抜かれた腑抜け国民に成り下がったのではないか。社会保障の大原則は「負担は応能で、支給は一律」だ。その大原則を忘れた社会保障制度は既得権の塊だと批判すべきだ。