2017年12月25日月曜日

25- 安倍政権のせいで正義も道理も消えた絶望の国

 年の瀬を迎え日刊ゲンダイが、このところの安倍政権の暴政を概観する記事を載せました。同紙は、アベ政治には「正義の概念」が存在しないとして、正義のない政治が当り前になり正義が消えてしまったと述べています
 正義の無い政治は、弱者には冷たく最強国のアメリカにはひたすら迎合します。

 日本の子供の相対的貧困率(=世帯の相対的貧困率)はOECD加盟国の中でもトップクラスなのに、その現実には目を背けて、生活保護世帯をバッシングする風潮を蔓延させました。
 今回も不正な手法を用いて生活保護基準を最大5%も引き下げる一方で、役に立たない「陸上型イージス」には現時点で2000億円を投じています(完成する5年先にはどこまで上がるかは不明)。

 森友・加計学園問題では、その後も新たな音声データが明らかにされ、首相の意向を「忖度」した役人による背任行為(土地価格8億円超のごまかし)が明白となりました。
 この問題で国民の80%が首相の説明に「納得できない」としていても、安倍氏はどこ吹く風で全く動じないというのも、正義とは無縁の存在であってみれば当然のことです。
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酷い年の瀬 安倍政権のせいで正義も道理も消えた絶望の国
なぜ、こんな横暴が許されるのか
日刊ゲンダイ 2017 年 12 月 21 日
 今年も残すところあと10日。慌ただしい日々の中で報じられるニュースは、どれも通常だったら国会が大紛糾するような大事な話ばかりだ。ところが、スルッと簡単に通ってしまう。安倍政権の横暴がどんどん加速していると感じざるを得ない。

 22日、閣議決定される来年度予算案。安倍首相は「いい予算ができた」と胸を張っているというが、冗談も休み休み言って欲しい。国民不在のトンデモ予算としか言いようがない。
 5兆1900億円に膨らんだ防衛費は6年連続で過去最大を更新。中でも疑問だらけなのが、「防衛計画の大綱」に載っていない地上型イージス2基の導入を慌てて決定したことだ。今年度補正で28億円と来年度は7億3000万円の関連予算を計上しているが、本体は1基1000億円超の巨額兵器である。11月段階で当初見積もり800億円だったのが1カ月で1000億円にハネ上がった。全ては“武器商人”トランプ米国の言い値だから、最終的にこの額で済むはずがない
 導入について政府は「北朝鮮の弾道ミサイル能力の劇的な進展」を理由にする。しかし、運用開始は5年後の上、「数十発のミサイルを一度に撃ち込まれれば、全て撃ち落とすのは不可能に近い」「高軌道で発射され、高速で落下するミサイルには対応し切れない」「電波障害で人体に影響」など使いモノにならない可能性が早くも囁かれている。

 予算案が決まる直前になって追加で長距離巡航ミサイルの導入が決定したのも異例だ。「敵基地反撃能力を保有すべく検討」という今年3月の自民党提言に沿ったものだが、憲法9条に基づく「専守防衛」との整合性に疑義が出ているのに、政府は突っ走っている。フザケているのは、地上イージスも巡航ミサイルも、国会での議論がほとんど行われず、国民への説明がないことである。
「北朝鮮のミサイルの脅威を煽って、なし崩しで導入が決まっています。『北朝鮮』というだけで政府も国民もみな思考停止に陥ってしまっている。そもそも日本は以前から北のミサイルの射程内に入っている。ICBMへの対応に慌てている米国と違って、日本が今、急に焦る必要はないでしょう」(聖学院大教授・石川裕一郎氏=憲法・フランス法)

上から目線の傲慢内閣に染まった河野外相
 その一方で、生活保護は大幅カットである。食費などの生活費に充てる「生活扶助」が国費で160億円削減される。当初、厚労省は一気に減らすつもりだったが、反発を避けるため3年間で段階的に減らすことにした。しかし、それでも都市部の一部世帯では最大5%もの減額となる。

 一時の“生活保護バッシング”に乗っかって、保護費引き下げを公約にしていたのが自民党だ。「減らすのは当たり前」という感覚が根っこにあるのだろう。だが、一般の低所得世帯とのバランスで生活保護を引き下げるということは、裏を返せば、それだけ低所得世帯の収入が下がり、貧困が拡大しているということだ。政府がやるべきは、低所得世帯の収入を増やして生活保護の基準も上げ、国民生活を豊かにすることなのに、アベコベなのである。

 結局、安倍政権というのは、一般庶民に、弱者に、冷たい政権なのだ。日本の子供の相対的貧困率はOECD加盟国の中でもトップクラスに高い。そうした現実に目を背けて、軍拡路線をひた走る。普天間基地近くの小学校に米軍ヘリコプターの窓が落ちた一件でも、早々に飛行再開を容認した。沖縄の子供たちの安全なんて、日米同盟の前にはちっぽけな問題だという意識なのだろう。

 それが内閣全体に蔓延しているから、河野外相が「専用機が欲しい」なんてふんぞり返るのだ。小型で中古といっても、専用機の購入に数十億円はかかるし、維持経費も莫大。批判を浴びると河野は「中国などに比べて外相の訪問国が少ない」「専用機があれば訪問国を増やせる」と強弁していた。
 友好国を増やす努力は否定しないが、先に自国民のために働いてからにしたらどうか。「危険と隣り合わせ」と常々言われてきた普天間基地の即時閉鎖すら米国に要求できない外相が、どうしてそんなデカい態度を取れるのか。

 政治評論家の森田実氏も呆れてこう言う。
「どうも河野外相も安倍・麻生の両人と同じように『上から目線』になってきました。どうかしていますよ。ただでさえ政権は、選挙に勝つとやりたい放題になるんです。福祉を減らし、増税して国民負担を重くさせる。みんな傲慢になって国民のための政治をやらなくなる。河野外相もその仲間入りをしてしまいました」
 その選挙でも、安倍は口先公約で幼児教育無償化をアピールし、終わってしまえば、詳しい制度設計は来夏に先送り。サラリーマン狙い撃ちの実質増税に、こじつけのような森林環境税と観光促進税の新設。やりたい放題があまりに過ぎやしないか。

不誠実極まりないトップが居座り続ける不幸
 国民生活そっちのけのペテン首相が威張り散らすデタラメ。この国の政治は本当におかしなことになってしまっている。

 忘れちゃならないのが、安倍はそんなエラソーにしていられる立場なのかということだ。森友・加計問題は最新の世論調査でも、首相の説明に「納得できない」が8割近い
 特に森友については、会計検査院が8億円の値引きについて「十分な根拠が確認できない」と報告し、財務省は森友側と具体的な金額をやりとりした音声データの存在も認めている。
 20日の東京新聞が、その音声データのさらなる詳細を報じていたが、地中のゴミについて「3メートルより下にあるか分からない」と主張する森友側の工事業者に対し、財務・国交の職員らが「9メートルまでの範囲で混在」としたらどうかと提案・説得するなど、“口裏合わせ”があったことは明々白々だ。

 国有財産が不当に値引きされ、国民に不利益を与えたという決定的な証拠があるのに、それでも知らぬ存ぜぬで封印し、やり過ごそうとしているのだから、安倍政権は許し難い。
 国会で説明しないという不誠実極まりない態度。そんな人物が一国のトップに居座り続ける不幸。しかし、「私は立法府の長」と言い放ったように、安倍は議院内閣制を逆手に取って、行政府と立法府の両方を押さえた気でいる。司法の独立も風前のともしび。もはや自他ともに認める独裁者だ。

「モリ・カケ問題は今年2月から国会で取り上げられ、安倍政権は説明責任を果たさないまま、野党の追及は10カ月以上になっています。しかし最近はテレビも、モリ・カケを扱わず大相撲問題ばかりになっていますし、政権がこのまま逃げ切る空気になってきました。つまり、説明しなくても、少しの間、我慢してやり過ごせば、なし崩しで逃げられる。政権はそう、味をしめているのだと思います」(石川裕一郎氏=前出)

 アベ政治に共通するのは、社会における固有の秩序である「正義」の概念が存在しないことだ。まさに無理が通れば道理が引っ込む。それが度重なるうちに、この国は正義の消えた世界が当たり前になってしまった
 安倍は来年、「働き方改革」の断行に意欲を示す。人を人とも思わない収奪政権が「残業時間の上限規制」や「残業代ゼロ法案」に切り込むのだ。この国はどんどんアベ様とお友達や経営者にとって都合のいい国に作り変えられていく。一般庶民には絶望しかない。このままで本当にいいのか。