しんぶん赤旗が、菅首相が日本学術会議の会員候補6人の任命を拒否したことに関する3つの記事を載せました。
共産党の志位和夫委員長は記者会見で、菅首相が、学術会議が推薦した6人の会員候補の任命を拒否した問題は「法律違反のオンパレードだ」と指摘し、今回の介入は、研究者のコミュニティーの自主性・自律性に対する乱暴な介入・侵害であり、「憲法23条の学問の自由に反することは明らかだ」と強調しました。政府が同会議を「行政改革」の対象だとし、同会議の在り方を見直すプロジェクトチームを立ち上げたことについても、「卑劣な論のすり替え、どう喝であり、絶対に許すわけにいかない」と批判しました。
日本学術会議会員の任命拒否問題で、政府は「学術会議の推薦のとおりに任命すべき義務があるとまでは言えない」との文書を18年11月に作成しましたが、当時の学術会議の会長ら幹部には文書の存在を知らされていなかったことが分かりました。
15日の野党の合同ヒアリングに出席した学術会議の大西隆・元会長は、自民党の甘利明税調会長がメールマガジンで、中国による外国人財の誘致計画「千人計画」に日本学術会議が「積極的に協力している」と記載していたことについて、「悪質なデマ」と批判しました。また20年度予算の要求額について、「会員、連携会員の会議出席の謝金として日当が約2万円で計上されているものの、限られた予算のなかで実際には謝金の辞退をしてもらわざるをえない事態が続いている」と述べました。
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日本学術会議 任命拒否 「法律違反のオンパレード」 志位委員長が会見
しんぶん赤旗 2020年10月16日
日本共産党の志位和夫委員長は15日、国会内で記者会見し、菅義偉首相が日本学術会議が推薦した6人の会員候補の任命を拒否した問題について「法律違反のオンパレードだ」と指摘し、「日本の民主主義が問われる大問題であり、国会で徹底的に追及していく」と語りました。
志位氏は、今回の任命拒否が「幾重にも日本学術会議法に違反する」として次の4点を指摘しました。(1)従来の政府答弁を覆し、同会議が推薦した候補の一部を首相が拒否したこと (2)「優れた研究又は業績」が同会議法の唯一の推薦基準になっているのに、「総合的・俯瞰(ふかん)的な立場」という別の基準を持ち込んで任命拒否の理由にしたこと (3)任命は「推薦に基づいて」行わなければならないのに、首相が推薦名簿を「見ていない」と述べていること (4)杉田和博官房副長官が6人の除外に関わり、学術会議の選考・推薦権、首相の任命権を侵害したこと。
志位氏は、今回の介入は、個人の研究者の自由な研究を阻害するとともに、学術会議という研究者のコミュニティーの自主性・自律性に対する乱暴な介入・侵害であり、「憲法23条の学問の自由に反することは明らかだ」と強調しました。
そのうえで、「6人の任命拒否の理由と経過を国民に説明し、違憲・違法な任命拒否を撤回し、6人を直ちに任命することを強く求める」と述べました。
志位氏はまた、政府が同会議は「行政改革」の対象だとしていること、自民党が同会議の在り方を見直すプロジェクトチームを立ち上げたことについて「卑劣な論のすり替え、どう喝であり、絶対に許すわけにいかない」と批判。「学術会議の実態をデマや不当な印象操作でゆがめ、会議を自分たちの御用機関にしてしまおうというたくらみは許されない」と語りました。
“推薦従う義務ない”政府文書 学術会議前会長ら知らず
しんぶん赤旗 2020年10月16日
日本学術会議会員の任命拒否問題で、首相が会議の推薦通りに会員を任命する義務はないとする政府文書について、当時の会長ら幹部が文書の存在を知らされていなかったことが、複数の関係者の話で分かりました。
問題の文書は2018年11月13日付で、「内閣府日本学術会議事務局」名で作成されています。野党合同ヒアリングで野党側の求めに応じて6日に公開されました。
この文書は首相に「推薦のとおりに任命すべき義務があるとまでは言えない」と記述。内閣府は、当時この文書を内閣法制局に見せ了承をもらったと説明しています。法制局は今年9月2日にも内閣府から問い合わせがきたため、文書を踏まえて「(了承に)変更はない」と回答したといいます。
関係者によると、当時の山極寿一会長は在任中、政府から文書を含めこうした解釈を伝えられたことは、一切ありませんでした。
日本学術会議法は同会議の「推薦に基づいて、内閣総理大臣が任命する」(第7条)と定めています。従来、政府はこの任命について「政府が行うのは形式的任命にすぎません」(1983年5月12日、参院文教委員会、中曽根康弘首相)と答弁。同会議から推薦された候補は拒否しないという法令解釈が定着していました。
同会議事務局が18年に作成したとする文書は従来の答弁を事実上、覆しています。
取材に応じた当時の幹部は「今回、公表されるまで文書を知らず、報道で見て驚いた。当時もしこの文書が会員の間に出ていたら、かなりの問題になっていたと思う。学術会議の会員からすると、あの文書は正式の会議で公認されておらず、共有もされていないので何ら拘束力がない。政府があれを根拠に首相は任命拒否できるというのは全く筋違いだ」と批判します。
同会議事務局は文書を当時の会長らに見せたのかという本紙の質問に、「確認中」と答えています。(岡素晴、丹田智之、安川崇)
「悪質なデマ流された」 学術会議元会長、甘利氏批判 野党合同ヒアリング
しんぶん赤旗 2020年10月16日
日本学術会議の任命拒否問題に関する野党の合同ヒアリングが15日、国会内で開かれ、同会議の大西隆元会長が出席しました。自民党などから日本学術会議にデマや誹謗(ひぼう)中傷を含む悪質な論点そらしの攻撃が加えられていることについて議論が行われました。
大西氏は、自民党の甘利明税調会長がメールマガジンで中国による外国人財の誘致計画「千人計画」に日本学術会議が「積極的に協力している」と記載していたことについて、「全くかかわりがない。悪質なデマが流されている」と批判しました。甘利氏は、事実誤認との指摘を受け、メールマガジンを修正していますが、謝罪も訂正もしていないことから、合同ヒアリングでは「完璧な名誉毀損(きそん)だ」との批判もあがりました。
日本学術会議の予算についても質問が出され、大西氏は2020年度要求額について説明。10億円余りの予算のうち、会員、連携会員の会議出席の謝金として日当が約2万円で、それぞれ7190万円、1億320万円が計上されていることを明らかにし、「限られた予算のなかで、活動を止めないようにするため、謝金の辞退をしてもらわざるをえないという苦い経験が続いた」と述べました。
さらに、自民党がプロジェクトチームをつくって同会議のあり方を検討していることについて、大西氏は「任命拒否問題は、現行の制度の中で行われたもの。将来、学術会議がどうあるべきかという議論は別だ」と指摘しました。