自民党は13日、憲法改正原案起草委員会の初会合を開きました。そこで衛藤征士郎・党憲法改正推進本部長(兼起草委員長)は「菅首相から『挙党態勢で精力的に取り組んでほしい』と言われた」として、週2回のペースで会合を開き、9条への自衛隊明記を含む4項目の党改憲案に限定して検討し、「年末までに原案を取りまとめたい」と述べたということです。
安倍内閣が大々的に改憲に取り組んだものの暗礁に乗り上げたという生々しい経緯を、衛藤氏は一体どのように受け止めているのでしょうか。
ある党幹部は「衛藤氏を選んだのは間違いだ」と語り、そもそも衛藤氏に指示したという首相の改憲意欲には懐疑的な見方も多いということです。
山口公明党代表は同日の記者会見で「一足飛びに合意形成できる状況は整っていない」と指摘し、立憲民主党の福山幹事長も会見で「決して乱暴に憲法審を運営しないよう強く求めたい」とけん制しました。
当然のことですが衛藤氏の暴走には各方面からブレーキが掛かっています。
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自民、改憲原案の起草着手 衛藤氏「独走」に周囲困惑
時事通信 2020年10月14日
自民党は13日、憲法改正原案起草委員会の初会合を開いた。起草委員長を兼ねる衛藤征士郎党憲法改正推進本部長は、年内に改憲原案を策定する考えを改めて表明。ただ、性急に議論を進めれば野党側が態度を一層硬化させかねず、衛藤氏の「独走」に周囲は困惑している。
「菅義偉総裁(首相)から『挙党態勢で精力的に取り組んでほしい』と言われている。年末までに取りまとめたい」。衛藤氏は起草委の冒頭、こう宣言。原案がまとまれば「党総務会で了承いただいた上で衆院憲法審査会に上程される」と説明した。
改憲本部の下に設置された起草委は森英介元法相ら5人がメンバーで、衛藤氏以外は衆参憲法審の会長、筆頭幹事経験者。この日は週2回のペースで会合を開き、9条への自衛隊明記を含む4項目の党改憲案に限定して検討することを確認した。
改憲は安倍晋三前首相が強い意欲を示したが、長期政権下でも、衆参共に憲法審を満足に開催できなかった。衆院副議長当時の2012年、一院制に関する改憲原案の国会提出を主導した衛藤氏としては、原案策定で世論を喚起し、こう着状態を打開する狙いとみられる。
ただ、憲法審の現場からは「起草委なんて迷惑だ」との声が上がる。安倍氏が改憲に言及するたびに立憲民主党など野党が反発したことから、与野党協調を重視してきた経緯があるためだ。
閣僚経験者は「総務会の決定より憲法審での与野党論議が先だ」との認識を示し、党幹部は「衛藤氏を選んだのは間違いだ」と語った。そもそも衛藤氏に指示したという首相の改憲意欲には懐疑的な見方も多い。
公明党は、安倍政権から一貫して慎重な姿勢を維持する。山口那津男代表は13日の記者会見で「一足飛びに合意形成できる状況は整っていない」と指摘。立憲民主党の福山哲郎幹事長も会見で「決して乱暴に憲法審を運営しないよう強く求めたい」とけん制した。