共産党の田村智子政策委員長は16日に記者会見し、日本学術会議会員候補の任命拒否にかかわって、首相が同会議の推薦通りに任命すべき義務はないとした18年の文書の存在を当時の山極寿一・学術会議会長ら幹部が知らされていなかった問題は「大変重大であり、徹底究明を求めていく」と表明しました。
18年の文書は、1983年に行われた日本学術会議法改定の際の国会審議で、中曽根首相が「政府が行うのは形式的任命にすぎません」と答弁した条文解釈をくつがえすものです。
83年の審議は「首相の恣意で会員の任命を行うことはない」ことを確認したもので、30年以上遵守されてきたものです。それを一内閣が作成した、しかも作成経過が不明な一片の文書によって180度異なる解釈を可能にすることなどはあり得ない話です。
これは「法治国家」の理念をないがしろにするもので、安倍政権が行った集団的自衛権の行使や黒川氏任期延長問題などと共通するものです。
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学術会議18年文書問題 重大、徹底究明求める 田村政策委員長が会見
しんぶん赤旗 2020年10月17日
日本共産党の田村智子政策委員長は16日、国会内で記者会見し、日本学術会議会員候補の任命拒否にかかわって、首相が同会議の推薦通りに任命すべき義務はないとした文書の存在を当時の山極寿一会長ら幹部が知らされていなかった問題(16日付本紙報道)で、「大変重大であり、徹底究明を求めていく」と表明しました。
この文書は、2018年11月13日付で「内閣府日本学術会議事務局」が作成したとされ、首相には「推薦のとおりに任命すべき義務があるとまでは言えない」と明記しています。
田村氏は、文書について、1983年に行われた日本学術会議法改定のさいの国会審議で、中曽根康弘首相(当時)が「政府が行うのは形式的任命にすぎません」と答弁した条文解釈をくつがえすものだと指摘。そのような検討を日本学術会議の事務局が行うこと自体、大変不自然だとして、「なぜこのような文書がつくられたのか、疑問だ」と語りました。
その上で、「学術会議会長をはじめ幹部のなかでも議論のないままに、会員任命に関する考え方の百八十度の転換が条文解釈として進められたのではないか。だれが、何を意図して行ったものか、野党が一緒になって徹底究明をしていきたい」と述べました。