菅首相が日本学術会議の会員候補を任命拒否した問題で、推薦名簿から除外された6氏が23日、外国特派員協会でそろって意見を表明しました。
宇野重規・東京大教授(政治思想史)、加藤陽子・東京大教授(日本近代史)はメッセージを寄せました。
6氏は任命拒否の違憲性・違法性を告発し、任命拒否の撤回と国会での追及を訴えました。
それぞれ学者らしい説得力のあるものでした。
その中で松宮孝明・立命館大大学院教授は、憲法15条1項(国民の公務員の選定・罷免権)が任命拒否の根拠とされていることについて、「菅首相はどのような公務員であっても自ら選定・罷免することができると宣言した。ナチスのヒトラーでさえ、全権掌握のために特別法を必要とした。首相は現行憲法を読み替え、独裁者になろうという恐ろしい話だ」と告発しました。
ヒトラーが政権の座についたときにはナチス党は比較第一党で二番目が共産党でした。1か月後に国会議事堂放火事件が起きると、ヒトラーは共産党の仕業であるとして、「国家緊急権」を使って、共産党議員・党員・支持者・文化人・自由主義者たち数千人を逮捕拘束しました。そしてその強権を背景にして、議員の2/3以上の出席で2/3以上の賛成を要するという条件をデッチアゲて「全権委任法」を成立させたのでした。決して許されることではありませんが、一応彼なりに合法化を目指したのでした。
菅氏の場合はそれも行わずに、現行憲法を読み替えることで独裁者になろうとしているという指摘です。
会見の全容は下記の動画で見ることが出来ます。
会見動画(1時間7分)https://youtu.be/2GOeW408Eg4
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任命拒否6氏 そろって告発 特派員協会で会見 「学術会議の独立破壊」
違憲・違法 撤回訴え
しんぶん赤旗 2020年10月24日
菅義偉首相が日本学術会議の会員候補を任命拒否した問題で、推薦名簿から除外された6氏が23日、都内の外国特派員協会でそろって会見を行い(うち2氏はメッセージ)、任命拒否の違憲性・違法性を告発し、撤回と国会での追及を訴えました。6氏がそろって見解を表明するのは初めて。
小沢隆一・東京慈恵会医科大教授(憲法)は、学問の自由が保障されず、科学が戦争に動員された戦前の教訓を踏まえて憲法23条に「学問の自由」が明記されたと指摘。学術会議は憲法に基づき、権力から独立して提言を行うことを職務としており、「任命拒否は学術会議の任務と職務を妨げる」と撤回を訴えました。
岡田正則・早稲田大大学院教授(行政法)は、「違憲・違法だ。会員の適否を政治が決めれば学術会議の独立性は破壊される。学問の自由の制度的枠組みの破壊であり、憲法23条違反だ」と批判しました。
松宮孝明・立命館大大学院教授(刑法)は、憲法15条1項(国民の公務員の選定・罷免権)が任命拒否の根拠とされていることについて、「菅首相はどのような公務員であっても自ら選定・罷免することができると宣言した。ナチスのヒトラーでさえ、全権掌握のために特別法を必要とした。首相は現行憲法を読み替え、独裁者になろうという恐ろしい話だ」と告発しました。
芦名定道・京都大大学院教授(キリスト教学)は、任命拒否の背景に、軍事研究をめぐる問題があると指摘。「日本の科学技術を政府がコントロールしようとしているなかで、いまの問題が起こっている」と述べました。
宇野重規(政治思想史)、加藤陽子(日本近代史)・東京大教授はメッセージを寄せました。
「自分の問題」 海外メディア
海外メディアからは、菅首相は就任後、直ちに学術会議介入のような強権を発動したとして「今後、どのように権力を行使するのか」といった質問も。松宮氏は「菅政権は、好き勝手に公務員を任命・罷免できるところまで突き進む危険がある。しかし、15条1項で公務員の地位を委ねられているのは国民だ。国会や国内外のメディアが世界中にこの問題を発信することで、世論がどう評価するのかが左右する」と訴えました。
「ラジオ・フランス」などの特派員を務めるカリン西村さんは、「こんなことがフランスで起こったら、大規模なデモが起きるでしょう。それは、同じことが明日、自分の身に起きるかもしれないと考えるから。日本人はもっと声をあげてほしい」と語りました。