2020年10月9日金曜日

18年の法解釈は立法権に対する侵害 志位委員長が批判

  2018年に内閣府が〈内閣総理大臣は、会員の任命権者として、日本学術会議に人事を通じて一定の監督権を行使することができる〉〈内閣総理大臣が適切にその任命権を行使するため、任命すべき会員の数を上回る候補者の推薦を求め、その中から任命するということも否定されない〉などという見解を密かにまとめ、それを内閣法制局が了承していたということについて、共産党の志位委員長は7日

「明らかな法解釈の変更であり、立法権に対する侵害だ」
1983年に日本学術会議法改定案が国会で審議された際に、首相や担当閣僚があくまで形式的』『任命を拒否することはないと答弁し、それが『立法府との関係で固まった解釈』。そうした法律を通しておきながら、行政府だけで勝手に法解釈を変えたら、およそ国会で審議する意味がなくなる」
厳しく批判しました。

 また共産党の塩川鉄也議員は7日の衆院内閣委員会で、内閣府1983年の同会議法改定の際の、政府の「任命は形式的なもの」などという一連の国会答弁は認識していることを確認しました。また内閣法制局も「推薦に基づき全員を任命する」とした文書の存在を認めました
 しんぶん赤旗の記事を紹介します。
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18年法解釈は立法権に対する侵害 学術会議人事介入 志位委員長が批判
                        しんぶん赤旗 2020年10月8日
 日本共産党の志位和夫委員長は7日、党本部での会見で、菅義偉首相による日本学術会議会員の任命拒否の問題をめぐり、同日の衆院内閣委員会で政府側が2018年の内閣府と内閣法制局の「推薦のとおりに任命すべき義務はない」との見解を主張したことに対し、明らかな法解釈の変更であり、立法権に対する侵害だ」と厳しく批判しました。
 志位氏は「法解釈を変更する権限は内閣にない」と強調。1983年に政府の日本学術会議法改定案が国会に提出され、国会の場で首相や担当閣僚が「あくまで形式的」「任命を拒否することはない」と答弁したと述べ、「立法府との関係で固まった解釈だ。そうした法律を通しておきながら、行政府だけで勝手に法解釈を変えたら、およそ国会で審議する意味がなくなる」と批判し、「立法権、三権分立が汚されたのだから、与野党超えて『許されない』と声を上げるべきだ」と述べました。
 また志位氏は、菅首相が「前例踏襲でいいのか」と述べたことに対し、「前例というのは法律などのルールではないが、慣習的に形成されてきたもののことだ。今回の問題は、日本学術会議法という法律に反する違法行為が問題になっている」と指摘。「違法行為、さらに違憲行為の問題を、前例の話でごまかすのは、大変卑劣な問題のすり替えだ」と批判しました。

「推薦に基づき全員任命」文書存在 学術会議人事介入 塩川議員追及で判明
衆院内閣委
                        しんぶん赤旗 2020年10月8日
 日本共産党の塩川鉄也議員は7日の衆院内閣委員会で、日本学術会議が新会員として推薦した6人の任命を菅義偉首相が拒否した問題について追及しました。この中で内閣府は1983年の同会議法改定の際の「任命は形式的なもの」などの一連の国会答弁は認識しているとし、内閣法制局も「推薦に基づき全員を任命する」とした文書の存在を明らかにしました。菅首相の任命拒否が、国会審議で確定した法の解釈をねじ曲げた違法な行為だと事実上認めた形です。
 塩川氏は、任命拒否は「日本の学術全体の問題であり、国民に対する挑戦だ」と批判しました。その上で、会員の公選制から推薦制に改めた83年の法改定の際、推薦と任命の関係が1年かけて徹底的に議論されていると指摘。「(推薦は)210名ぴったりを出していただく。それを形式的に任命行為を行う」(83年5月12日、総理大臣官房総務審議官)、「(推薦を)その通り内閣総理大臣が形式的な発令行為を行うというように条文を解釈している。内閣法制局における法律案の審査の時に十分詰めた」(同日、総理大臣官房参事官)などの答弁を示しました。
 これに対し、内閣法制局の木村陽一第一部長は「説明資料と思われる資料のなかに推薦人の推薦に基づいて全員を任命することになっているという記述がある」と答弁。塩川氏は「法案審議で十分詰めた結果全員任命することになっている。それを後付けで改めようとするのが今のやり方だ」と批判しました。
 塩川氏はまた、83年当時の「推薦をしていただいた者は拒否はしない」との政府答弁も示し、「総理大臣が形式的に任命するという法律のスキーム(制度)も変わっていない」と指摘。日本学術会議の福井仁史事務局長は「スキームは変わっていない」と認めました。
 一方で、内閣府の大塚幸寛官房長は、一連の国会答弁を認め「法解釈は変更していない」としながら、「憲法15条の公務員の選定罷免権が国民固有の権利であるという考え方からすれば、任命権者たる総理大臣が推薦の通り任命しなければならないというわけではない」などと強弁しました。