2020年10月15日木曜日

15- 大学教授や宗教者が学術会議人事介入に抗議する声明

 ⽇本学術会議会員候補者6名が政府により任命を拒否されたことに対し、「安全保障関連法に反対する学者の会」14日、抗議声明を出しました。
 また宗派を超えた宗教者が13日、国会内で記者会見し、「『学問の自由』の侵害を許すことがまた『信教の自由』の侵害にも及ぶ」として、菅義偉首相に対し任命拒否の過ちを認め、謝罪し、即時撤回することを求める共同声明を発表しました。声明には73人の宗教者が賛同しています
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日本学術会議めぐり大学教授らが声明 “6人速やかに任命を”
                     NHK NEWS WEB 2020年10月14日

日本学術会議の会員の任命をめぐり、任命されなかった6人全員が呼びかけ人や賛同者になっている「安全保障関連法に反対する学者の会」は14日、「明らかな違法行為で、思想表現の自由の抑圧につながりかねない」などとして任命しなかった経過や理由を明らかにするとともに、6人を任命するよう求める声明を発表しました。

声明は「安全保障関連法に反対する学者の会」の呼びかけ人のうち、大学教授ら8人が記者会見で発表しました。
この会は、任命されなかった6人全員が呼びかけ人、または賛同者になっています。
声明では、日本学術会議法は、戦前、戦中の国家による学問や思想の統制に対する反省に立ち、政府からの独立性をうたい、総理大臣の会員の任命権を制約しているとしています。
そのうえで「学術会議が選考・推薦した者を首相が任命しないことは明らかな違法行為だ。学問の自由を侵害し、思想表現の自由の抑圧につながりかねない」として、任命しなかった経過や理由を明らかにするとともに、6人を速やかに任命するよう求めています。

また、14日は会の呼びかけ人の1人で、ノーベル物理学賞の受賞者の益川敏英さんが「こんな乱暴なことをしたということは、歴史上長く糾弾されるだろう。戦争の反省の上に作られた日本学術会議に汚点を残すものだ」というコメントを寄せました。
歴史社会学者で、慶應義塾大学の小熊英二教授は記者会見で「たとえ選挙で選ばれた権力者であっても、ルールにのっとり、法に定められた手順を踏まなければならない。また、任命を拒否した理由を明らかにしないのは不透明な差別の温床になる懸念もある」と話しました。
また、哲学者で神戸女学院大学の内田樹名誉教授は「アカデミーに政権が関与するのは、学術的な発信力を損なう問題の大きい行為で、長期的には日本全体の国益を損なう」と述べました。
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 菅義偉首相が日本学術会議会員への被推薦者6名の任命を見送ったことは、日本学術会議の独立性と学問の自由を侵害する許しがたい行為です。私たちは学問の自由と学者の良識を尊重し擁護する者として強く抗議し、日本学術会議の「要望書」に示された①6名が任命見送りになった経過と理由を十分に明らかにすること、および②上記6名の任命見送りを撤回して速やかに任命することを求めます。

 「日本学術会議法」は第3条に「独立して」と政府からの独立性をうたい、第7条で会員は日本学術会議の「推薦に基づいて」と内閣総理大臣の任命権を制約しています。この独立性と任命権の制約は、戦前戦中の国家による学問思想統制に対する反省に立った条文です。さらに同法第17条では、会員は「優れた研究又は業績がある科学者」から選考されることが明示されています。そうした法規定に基づいて日本学術会議が選考・推薦した者を首相が任命しないことは、明らかな違法行為です。このような行為は、ひいては研究者の学問の自由を侵害し、思想表現の自由の抑圧につながりかねません。学問的な研究と業績の評価によるアカデミーの会員の選考に政治が介入することはどの国においてもあってはならず、学問に対する冒涜行為と言わざるをえません。

 私たち「安全保障関連法に反対する学者の会」は、民主主義と立憲主義を破壊する今回の菅首相の違法行為に強く抗議し、その経緯の十分な説明と、上記2項目の速やかな実施を求めます。

                              2020年10月14日

       安全保障関連法に反対する学者の会・呼びかけ人(肩書等省略)

青井 未帆

小熊 英二

高橋 哲哉

間宮 陽介

浅倉むつ子

戒能 通厚

高山佳奈子

三島 憲一

淡路 剛久

加藤  節

千葉  眞

水島 朝穂

池内  了

金子  勝

中塚  明

水野 和夫

石田 英敬

川本 隆史

永田 和宏

宮本 憲一

市野川容孝

君島 東彦

中野 晃一

宮本 久雄

伊藤  誠

久保  亨

西崎 文子

山口 二郎

上田 誠也

栗原  彬

西谷  修

山室 信一

上野 健爾

小林  節

野田 正彰

横湯 園子

上野千鶴子

小森 陽一

浜  矩子

吉田  裕

鵜飼  哲

齊藤 純一

樋口 陽一

鷲谷いづみ

内田  樹

酒井 啓子

広田 照幸

渡辺  治 

内海 愛子

佐藤  学

廣渡 清吾

和田 春樹

大沢 真理

島薗  進

堀尾 輝久

 

岡野 八代

杉田  敦

益川 敏英

 

 

学術会議問題「学問の自由ゆさぶる」 宗教者73氏が抗議声明
                       しんぶん赤旗 2020年10月14日
 宗派を超えた宗教者が13日、国会内で記者会見し、日本学術会議会員の任命拒否に抗議し、即時撤回を求める共同声明を発表しました。声明は「『学問の自由』の侵害を許すことがまた『信教の自由』の侵害にも及ぶ」として、菅義偉首相に対し任命拒否の過ちを認め、謝罪し、即時撤回することを求めています。
 記者会見には日蓮宗教師の小野文珖さん、日本キリスト教協議会総幹事の金性済(キム・ソンジェ)さん、ベリス・メルセス宣教修道女会の弘田しずえさん、浄土真宗本願寺派法善寺前住職の山崎龍明さん、真言宗豊山派泉福寺住職の岡田隆法さん、日蓮宗僧侶・弁護士の山口紀洋さんが出席しました。
 金総幹事は「学問の自由が大きくゆさぶられているとき、宗教者も知識人も一般社会もこれを容認してしまえば、大きな専制的な力に逆らわないという忖度(そんたく)、批判精神を失う空気が社会や宗教界にまん延してしまう」とのべました。
 参加者は「透明性と説明責任が果たされていない」(弘田さん)、「いまの政治家が専門家の専門性を重視しないところに危機がある」(山崎さん)、「この流れを断ち切るには政権交代しかない」(小野さん)などと発言しました。
 声明には、日本宗教者平和協議会代表理事の荒川庸生さん、聖護院門跡門主の宮城泰年さん、日本カトリック正義と平和協議会会長の勝谷太治さんなど73人の宗教者が賛同しています