2020年10月14日水曜日

14- ⽇本学術会議会員候補者6名任命拒否に対する声明

  ⽇本学術会議会員候補者6名が政府により任命を拒否されたことに対し、⽇本医学会連合日本自然保護協会日本野鳥の会世界自然保護基金ジャパン一橋大学長が声明を出しました。以下に紹介します。

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                              2020 年 10 ⽉ 6 ⽇
内閣総理⼤⾂ 菅 義偉 殿

      ⽇本学術会議の第 25 期新規会員任命について(声明)

⽇本医学会連合は、第 25 期⽇本学術会議会員候補者6名が、政府により任命を拒否されたことに対する⽇本学術会議の要望書を⽀持します。すみやかに要望にお応えいただくことを求めます。

⽇本学術会議の要望書: 
      http://www.scj.go.jp/ja/member/iinkai/kanji/pdf25/siryo301-youbou.pdf 
                (下 掲)
                            ⼀般社団法⼈⽇本医学会連合
                                  会⻑ ⾨⽥ 守⼈
                                  副会⻑ 岸 玲⼦
                                   (以下省略)

第25期新規会員任命に関する要望書
                               令和2年10月2日
内閣総理大臣 菅 義偉 殿
                           日本学術会議第181回総会
第25期新規会員任命に関して、次の2点を要望する。
1.2020年9月30日付で山極壽一前会長がお願いしたとおり、推薦した会員候補者が
任命されない理由を説明いただきたい。
2.2020年8月31日付で推薦した会員候補者のうち、任命されていない方について、
速やかに任命していただきたい。

                             2020 年 10 月 13 日
自然保護の観点から日本学術会議会員の任命拒否に抗議する声明
                          公益財団法人 日本自然保護協会
                                 理事長 亀山 章
                            公益財団法人 日本野鳥の会
                                理事長 遠藤 孝一
                      公益財団法人 世界自然保護基金ジャパン
                                会長 末吉 竹二郎
 私たち 3 団体は、生物多様性保全や気候変動などの分野で自然を守り、社会に貢献する目的で各分野の研究者の方々とも自由に議論を交わしながら活動してまいりました。今回の日本学術会議会員の任命拒否は、政権が学会及び研究者に圧力をかけていることにほかなりません。このことが自由な議論への圧力ともなり、不要な忖度や萎縮を引き起こし、政策の適切な実施を阻害するおそれがあります。私たち自然保護団体はそのようなことが起こらないことを願い、抗議声明を表明します。

 このたび、日本学術会議の会員改選において推薦された候補者のうち 6 名を、内閣総理大臣が任命拒否したことは、日本学術会議法にもとづく学術会議の独立性を損なうものであり、学問の自由を脅かす政治介入の重大な問題です。
 日本学術会議は、科学が文化国家の基礎であるという確信に立って、行政、産業及び国民生活に科学を反映浸透させることを目的として、政府から独立して職務を行う特別の機関として設立されています。これまでも数多くの勧告や提言などにより社会課題の解決策を示し、各種の政策にも反映させ、科学によって社会を支える支柱的存在を担ってきました。
 各種行政機関が主催する審議会や専門家会議とは異なり、真に独立した立場から提言等を行える機関であるという日本学術会議の独立性こそ重要です。
 私たちが活動する環境分野においても、気候変動、災害対策、感染症対策、環境教育、エネルギー、国土保全、野生動物管理、生物多様性保全などをテーマにした提言がなされ、科学的根拠をもとに活動する自然保護団体はじめ多くの人々に理論的な拠りどころを示してきました。

 このようなことから、政府が日本学術会議に政治介入したことは、日本の健全な自然保護
の推進の観点からも見過ごすことができません。学問の自由を保証し、任命を拒否した理由
を明らかにし、任命拒否を撤回することを求めます。
                                       以上

日本学術会議会員の任命について
                               2020年10月13日
日本学術会議の推薦に基づいて内閣総理大臣が任命することが法によって定められている日本学術会議会員について、推薦された第25期会員候補者105名のうち6名が任命されていません。日本学術会議は、第181回総会(2020年10月2日)において、内閣総理大臣に対して、推薦した会員候補者が任命されない理由の説明と、任命されていない会員候補者の速やかな任命を要望しています。

日本学術会議の組織は第1部(人文・社会科学)、第2部(生命科学)、第3部(理学・工学)から構成されています。現在、任命されていない6名はいずれも第1部の会員候補者です。「社会科学の総合大学」であることを大学憲章に掲げる一橋大学の学長として、私はこの事態をたいへんに憂慮しています。政府と日本学術会議には誠実な対話を望みます。

今回の問題をめぐる報道を通じて、日本学術会議の存在を初めて知った国民の皆さんも多いのではないでしょうか。日本学術会議の役割と、それが政府から独立して職務を行う特別の機関として法によって定められていることの積極的な意義について、国民に対して説明責任を果たすための一層の努力もまた必要とされていると私は感じています。

国立大学法人である一橋大学の学長として、私はこれからも社会からの信頼と負託に応える教育研究の推進に不断の努力をしてまいります。
                               一橋大学長 中野 聡