2020年10月4日日曜日

学術会議が任命拒否撤回迫る要望書 任命拒否の違法性は明瞭に

  菅首相が日本学術会議の推薦した新会員候補のうち6人を任命しなかった問題で、同会議の梶田隆章新会長は2日総会任命拒否の撤回を求める要望書を提案し了承されました。首相への提出などの具体的対応や文言はさらに議論してつめていくとしています。

 任命拒否された6人が所属する予定だったのは、いずれも人文・社会科学の教授らで構成する第1部会で、任命拒否が政治的判断から行われたのは明らかです。第1部会も、日本学術会議法に照らして首相の任命拒否は遺憾だとし、拒否理由の開示と法に基づく6人の任命を求める決議を採択しました。
 梶田会長は会見で、「日本学術会議は政府から独立して学問をベースに発信していく組織であることを譲るべきではない」と述べました。
 元々 菅氏は、安倍前首相時代の「官邸強権政治」のいわば「源流」にあった人で、数々の疑惑隠しや公文書の改ざん、さらにはTV報道を官邸ポリスの田中格氏らと監視して、政権に批判的なキャスターやコメンテーターを降板させるに当たり司令塔を務めた人でした。もしも今回学術会議の人事介入という無法を許せば、この先も留まることなく横暴は拡大して行きます。会長の言う通り絶対に「譲れない」ことです。

 共産党の志位委員長は会見で、日本学術会議法7条の「推薦に基づいて、内閣総理大臣が任命する」との規定は、憲法第6条1項の「天皇は、国会の指名に基いて、内閣総理大臣を任命する」の「基いて」と同じで、政府の裁量の余地はないという学者の見解をひいて、「裁量の余地のない法律になっている」とし、「政府は、一体どういう理由で、また、どういう法的根拠で任命拒否を行ったのか、説明すべきだ」と強調しました。

 2日の野党ヒアリングにおいても、任命を拒否された会員候補の3氏が「学問の自由の侵害」「首相に任命拒否権は事実上ない」と証言し、政府の無法・横暴。デタラメぶりは刻々と明瞭の度を深めています。
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首相に任命拒否撤回迫る 学術会議が要望書
          梶田会長「政府から独立、譲るべきでない」
                       しんぶん赤旗 2020年10月3日
 菅義偉首相が日本学術会議の推薦した新会員候補のうち6人を任命しなかった問題で、同会議の梶田隆章新会長(東京大学教授)は2日、東京都内で開いた総会で、任命拒否の撤回を求める要望書を提案し、了承されました
 要望書は、任命しない理由の開示と6人の任命を要求。要望書をホームページで公開して広く外部に訴え、首相への提出などの具体的対応や文言はさらに議論してつめていくとしています。
 梶田会長はその後の会見で、「日本学術会議は政府から独立して学問をベースに発信していく組織であることを譲るべきではない」と述べました。
 任命拒否された6人が所属する予定だったのは、いずれも人文・社会科学の教授らで構成する第1部会。総会後に開かれた今期初の第1部会では、会員から、「法学の候補者が多く拒否されている。サポートを考えたい」(三成賢次大阪大学副学長)、「日本学術会議の存在意義が問われている」(岡崎哲二東京大学教授)、「学協会とも連携して取り組んでいきたい」(若尾政希一橋大学教授)、「自身の会員の立場を疑わせるような事件」(西田真也京都大学教授)など、6人の任命を求める声が多数あがり、第1部会として独自の決議をあげました。決議は、日本学術会議法に照らして首相の任命拒否は遺憾だとし、拒否理由の開示と法に基づく6人の任命を求めています
 第1部部長に選出された橋本伸也関西学院大学教授は、「学問の自由という概念を鍛え直さなければいけない」「考えられない事態だ。今回は第1部会で起きたことだが、他の部会でも起こりうることで、学問全体にかかわる問題だ」とのべました。


すべての国民にとっての重大問題 志位委員長が会見
                       しんぶん赤旗 2020年10月3日
 日本共産党の志位和夫委員長は2日の国会内での記者会見で、日本学術会議が推薦した6人の会員の任命を菅義偉首相が拒否した問題について問われ、同日の野党合同ヒアリングに出席した3氏の証言を踏まえ、3点をのべました。
 第1は、3氏が共通して、この問題は任命拒否された6人だけの問題ではなく、日本学術会議の全体の問題であること、さらに科学は全国民のものであり、全国民の問題であるとのべたことです。
 志位氏は「学術会議は、日本の科学者を内外で代表する機関だ」と強調し、「学術会議が公式に推薦した方のうち政府の側で6人の任命を拒否した。まさに学術会議に対する介入日本の学問の自由に対する介入であり、そして国民の権利が侵害されている」とのべ、「そういう考え方でこの問題を国民に訴えて、世論を起こしていきたい」と語りました。
 第2は、学術会議の推薦は、厳正な集団的検討の上に、推薦理由もつけて提出されたもので、日本学術会議法7条で「推薦に基づいて、内閣総理大臣が任命する」との規定は、憲法第6条1項の「天皇は、国会の指名に基いて、内閣総理大臣を任命する」の「基いて」と同じで、政府の裁量の余地はないと指摘されたことです。
 志位氏は、「まさにその通りだ。法律との関係も非常に明確にのべられた」と強調し、「裁量の余地のない法律になっていると、政府も説明してきた。これを覆したことは本当に許されない」と批判しました。
 第3は、政府は今回の決定について説明する責任があることです。
 志位氏は、政府がとった対応は、憲法23条の「学問の自由」を踏みにじるものであって、日本学術会議法にも反し、違憲・違法であると指摘。「政府は、一体どういう理由で、また、どういう法的根拠で任命拒否を行ったのか、説明すべきだ」と強調しました。


学問の自由侵害 首相に拒否権ない 説明責任果たせ 任命拒否の3氏 
             野党ヒアリング
                       しんぶん赤旗 2020年10月3日
 日本学術会議が推薦した6人の会員候補の任命を菅義偉首相が拒否した問題で、野党は2日、国会内で野党合同ヒアリングを開き、任命を拒否された会員候補の3氏が「学問の自由の侵害」「首相に任命拒否権は事実上ない」と証言しました。

 小澤隆一東京慈恵会医科大学教授(憲法学)は、日本学術会議は独立して運営されるべきであり、新型コロナ危機の対応で明らかになったように、専門家の意見は国民の生命、安全にかかわると指摘。任命拒否は、学問の自由への侵害だと述べました。
 岡田正則早稲田大学教授(行政法学)は「理由のない行政処分はない」として、首相の説明責任を果たしてほしいと語りました。
 松宮孝明立命館大学教授(刑事法学)は、「首相に任命権はあるが、任命拒否権は事実上ない」と強調し、憲法6条で、天皇による総理大臣への任命権はあるものの任命拒否権はないのと同じと考えていいと語りました。
 一方、内閣府と内閣法制局へのヒアリングで、野党は、1983年の日本学術会議法改定の際の審議で、政府が「学会の方から推薦をしていただいた者は拒否はしない」と答弁したことを示し、法解釈の変更の有無をただしました
 内閣法制局の担当者は「法解釈を変えたわけではない」と回答。任命拒否の法的根拠は答えませんでしたが、2018年に同法7条の「推薦に基づいて、内閣総理大臣が任命する」の解釈をめぐる合議を内閣府と内閣法制局で行ったことを明らかにしました。
 また、任命拒否の判断はいつ、だれがしたかについて、内閣府の担当者は今年8月31日に日本学術会議から105人の推薦名簿を受理し、菅政権発足後の9月24日に任命の起案をし、同月28日に99人の任命を決裁したと説明。任命を拒否した経緯については、「人事に関する事柄」だとして答えませんでした