2018年7月23日月曜日

オバマ時代の侵略戦争・クーデター・言論の封殺

 櫻井ジャーナルがオバマ大統領時代(2期8年)のアメリカの悪行をまとめる文書を発表しました。勿論オバマ氏を貶めることに余念がないトランプ氏を応援するためではありません。(^○^) メディアが明らかにしようとしないアメリカの本態を示すためです。
 
 アメリカは2011年にリビアとシリアに侵略戦争を仕掛け、「アラブの春」と呼ばれた一連の反政府運動でチュニジアやエジプトの政権を転覆させました。
 
 そして2014年には、アメリカが5000億円を投じて準備したと言われるウクライナでのクーデターを実行しました。それは棍棒、ナイフ、チェーン火炎瓶、銃等を持った暴徒が市民を襲い、仕上げはスナイパー(精密狙撃手)が市民と警官の両方を銃撃するという、きわめて凄惨なものでした。当初ヤヌコビッチ政権側がこの狙撃を行ったと宣伝されましたがそれはデマでした。
 その一方で、イラク国民をグアンタナモの違法な収容所でに収容し水責めの凄惨な拷問を行ってきました。
 また、この間ジャーナリストや内部告発者への攻撃が激化し、秘密指定される文書の件数が激増し有力メディアの政権への従属度高まり、政府の宣伝機関に成り下がりました
 
 これらは勿論オバマ氏の責任ということではなく、現実にオバマ氏はグアンタナモの違法な収容所の廃止を訴えています(体制側は諒とせず、継続しています)。しかし民主化への期待を持たれたはずのオバマ大統領治下でも、アメリカの獰猛な本態は何も変わらなかったという訳です。
 
 因みにトランプ氏は大統領に当選するや否や「水責め」の復活を公言し諫められました。理解の埒外というしかありません。
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ソロスの期待に応えられなかったオバマだが、侵略は継続、言論を封殺
櫻井ジャーナル 2018年7月22日
 アメリカの巨大資本にとって好ましくない体制を転覆させるプロジェクトで重要な役割を果たしてきた投機家のジョージ・ソロスがバラク・オバマへの失望を口にした​。多額の献金をしたにもかかわらず、ソロスが望む結果が得られなかったということのようだ。
 オバマは2009年1月から17年1月まで大統領を務めた。その間、2010年8月にムスリム同胞団を使った侵略戦争を承認、11年2月にはリビア、同年3月にはシリアへの侵略戦争を始めた。その手先になったのがムスリム同胞団やサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)を中心とするジハード傭兵。
 
 西側で「アラブの春」と命名された反政府運動の一環とされていたが、その運動で政権が倒されたチュニジアやエジプトの政権はリビアのムアンマル・アル・カダフィが進めていたアフリカ自立プロジェクトに賛成していた。両国の体制転覆にアメリカ政府が関与していた可能性は高い。
 ジャーナリストや内部告発者への攻撃が激化、秘密指定される文書の件数が激増したこともオバマ政権の特徴だった。2011年だけで秘密指定された文書は9200万件以上だと言われている。この間、有力メディアの支配層に対する従属度は高まり、単なる偽情報の発信源に成り下がった
 
 嘘で始められたイラクへの侵略戦争でアメリカCIAなどが拘束された人々を拷問していた(いる)が、その事実を明らかにしたひとりにCIAのオフィサーだったジョン・キリアクがいる。2007年12月にネットワーク局のABCニュースのインタビューでウォーターボーディング水責め)と呼ばれる拷問が行われているという話をCIAの同僚から聞いたと発言したのだ。それを理由として、キリアクは2013年1月、懲役30カ月の判決を受け、刑期を全うした。
 
 アメリカ政府は2014年2月22日にウクライナのビクトル・ヤヌコビッチ大統領を排除することに成功した。この人物は西側の傀儡ではなく、ウクライナの東部や南部で支持され、2010年2月の大統領選挙で勝利していた。
 その政権を倒すためにアメリカ政府はNGOを使って抗議活動を演出、2013年11月にはキエフのユーロマイダン(ユーロ広場、元の独立広場)へ約2000名の反ヤヌコビッチ派が集めることに成功した。
 規模が大きくなったところでアメリカ政府はネオ・ナチのグループを投入してクーデター劇の幕が開く。このグループは棍棒、ナイフ、チェーンなどを手にしながら石や火炎瓶を投げ、ピストルやライフルで銃撃を始め、2月中旬には2500丁以上の銃を持ち込み、狙撃も始めた。その背後にはアメリカのビクトリア・ヌランド国務次官補やジェオフリー・パイアット駐ウクライナ米国大使がいた。ジョン・マケイン上院議員もクーデターを扇動するためにウクライナ入りしている。
 
 狙撃に関し、西側の政府や有力メディアはヤヌコビッチ政権に責任をなすりつけていたが、2月25日にキエフ入りしたエストニアのウルマス・パエト外相は事実が逆だということを知り、その結果を26日にEUの外務安全保障政策上級代表(外交部門の責任者)だったキャサリン・アシュトンへ電話で報告した。
 「全ての証拠が示していることは、警官や街に出ていた人たち双方、そうした人びとを同じスナイパーが殺している。同じ筆跡、同じ銃弾。実際に何が起こったかを新連合(暫定政権)が調査したがらないほど、本当に当惑させるものだ。スナイパーの背後にいるのはヤヌコビッチでなく、新連合(クーデター派)の誰かだというきわめて強い理解がある。
 この情報をEUは封印した。
 
 このクーデターを資金面から支援していたソロスは2016年の大統領選挙でヒラリー・クリントンを支援している。ちなみに、ネオコンのヌランドはヒラリーの友人として知られている。この選挙でソロスは民主党(事実上、ヒラリー陣営)へ2500万ドル以上を寄付した。勿論、これは表に出た資金だけの話だ。
 
 民主党の幹部は2015年の段階でヒラリーを候補者にすることにしていたのだが、この事実がウィキリークスが2016年3月16日に公表した彼女の電子メールで発覚してしまう。2015年5月26日の時点でヒラリー・クリントンを候補者にすると決めていたことを示唆する電子メールもあったのだ。この事実はサンダースの支持者を怒らせることになった。民主党の幹部がクリントンを候補者に選ぶ方向で動いていたことはDNC(民主党全国委員会)の委員長だったドンナ・ブラジルも認めている​。
 この電子メール発覚の前、2月10日にヘンリー・キッシンジャーがロシアを訪問してプーチン大統領と会談、22日にシリアで停戦の合意が成立している。これを見て大統領選挙の「風が変わった」と噂されていた。
 
 この電子メールを明らかにしたウィキリークスをアメリカ支配層は潰そうとしている。ロンドンのエクアドル大使館で軟禁状態になっているウィキリークスのジュリアン・アッサンジは今年(2018年)3月から外部との接触を断たれているが、本ブログでも書いたように、ここにきてイギリスの当局へ数日から数週間の間に引き渡されるのではないかという話が流れている。エクアドルの大統領が昨年5月に対米自立派のラファエル・コレアから従属派のレニン・モレノへ交代したことが大きい。