2025年1月4日土曜日

「注目の人 直撃インタビュー」 袴田巌さんの姉 ひで子さんに聞く

「死刑囚」から再審によって一転無罪を確定(2024年)した袴田巌さんの姉 ひで子さんに、日刊ゲンダイがインタビューしました。どうぞお読みください。

 袴田巌さんは逮捕されてから死刑が確定したのち2014年の再審開始で仮釈放されるまで、48年間収監されていました。その間の筆舌に尽くしがたい精神的苦難は如何ばかりだったでしょうか。
 検察(と警察)及び一審・高裁・最高裁の判事らの不明は大いに愧じるべきです(一審を担当した判事三人のうち無罪を主張した一人は、後に判事を辞めました)
 また巌さんが逮捕された当時 静岡県警には紅林某という刑事がおり、犯人検挙で何度も表彰されましたが、その実態は過酷な拷問による不実の自白でした(紅林は後に「冤罪王」「昭和の拷問王」と呼ばれました。巌氏の取り調べには関与しなかったものの、同様な拷問手法は既に内部で伝わっていたようです)。

 日本における再審の道は余りにも細過ぎ、被告に有利な証拠は検察が隠匿でき、人質司法は全く改まらず…という「中世の司法」状態はいつになったら改善されるのでしょうか。
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注目の人 直撃インタビュー 袴田巌さんの姉ひで子さんに聞く
58年間“見えない敵”と闘い続けた不屈の精神の源泉は「ガムシャラ」
                         日刊ゲンダイ 2024/12/28

袴田ひで子さん(袴田巌さんの姉)
「私も巌も運命だと思っています。無罪が確定して、今は大変喜んでいます」──。袴田巌さん(88)の姉ひで子さん(91)は、謝罪に訪れた静岡地検の山田英夫検事正に対し恨み言は一切口にしなかった。逮捕から58年、死刑確定から44年あまりが経過した今年9月26日、静岡地裁は捜査機関の証拠捏造を認定し、「無罪判決」を言い渡した。あまりにも長かった国家権力との闘い。つらく苦しかった過去と、自由を取り戻した今の気持ちを聞いた。
                ◇  ◇  ◇
──91歳とは思えないタフさと若々しさですね。

 毎朝30分間、ストレッチをしています。52歳で始め、以来40年間一日も欠かしていません。拘置所に面会に行くでしょう。足腰が弱っちゃいかんと思って、それで始めました。続けてやることで効果がある。おかげさまでシャキシャキしていますよ。

──希望の光が見えたのはいつですか。

 2014年に静岡地裁が再審開始を認める決定をした時です。地裁は<これ以上、拘置を継続することは耐え難いほど正義に反する>として死刑判決は誤りだったと認めました。検察庁が何を言おうが、屁でもなかった。無罪になると思って闘ってきましたから。

──謝罪に来た静岡県警本部長や検事正に、文句ひとつ言いませんでした。

 当事者でもいればまた話は別ですが、今さら昔のことを言ったって何も始まりません。「そんなことをグダグダ言っても再審開始にならん」「あえて苦情は言うまい」とずっと思ってやってきました。運命だと思っています。そう思わないとしょうがなかった。

決して後ろは振り返らなかった

──それにしても長かったですね。

 今でこそ長いって言うけど、当時は長いなんて思わなかった。見えない権力と闘っていましたから、前に進まないとしょうがなく、決して後ろは振り返らなかった。

──巌さんが釈放された時、「もう怯えなくていいんだよ」と声を掛けました。

 死刑囚だったから、ものすごく死を恐ろしがっていた。だから「もう安心だよ」「何も怖いものはないよ」「あんた、勝ったんだよ」って。(長期収容による精神障害の)拘禁症状っていうのは妄想の世界に入り、人の言うことを聞かず、自分の考えで進んでいきます。収監されていた48年間、想像を絶するつらい思いをしてきた。自由にしてあげれば自然に治ると思っています。だから大いに自由を味わってほしい。巌に効く薬は自由しかない。だから放し飼いにしているんです。

──4人の殺人犯の姉という目で見られ、風当たりも強かった。

 隠したって皆、知っているから、開き直って生きてきました。同窓会にも行かないし、人が集まるところには顔を出さず、世間とは距離を置いて生活してきた。町で知り合いに会っても、向こうが挨拶しないのにこっちがすることはない。挨拶されたくないんだろうから、知らん顔をして気取った顔して歩いていました。「犯人だと思いたきゃ、思わせておけばいい」ってねそんなことより巌の再審に向かって進む方が大事だった。

──アルコールに溺れたことも。

 初めの10年ぐらいは支援者がおらず、家族で支えてました。両親が続けて亡くなり、後を引き継ぐことになった。寝ていても夜中に目が覚め、巌のことしか頭に浮かばない。「どうしてこんなことになっちゃったんだろう」と思うと眠れなくなって。次の日の仕事に差し支えるからウイスキーをガブ飲みして寝てました。目が覚めるたびに飲んでいた。そんな酒浸りの生活が3年ほど続き、酔っぱらったまま支援者からの電話に出たんです。その時、「私、何をやっているんだろ。皆、親身になってやってくれているのに、こんなことを続けていたら巌を助けるどころじゃない」と思い、酒を断った。40代の頃です。朝、顔を洗っていたら、肌が荒壁みたいに荒れていました。

毎月の面会は「見捨てていない」というメッセージ

──59歳で借金を背負い、マンションを建てたのはどうしてですか。

 巌のことで希望が持てず、私の人生、このままじゃつまらない。自分で何かをしなきゃ、生きる希望をつくらなきゃと思い、将来、家賃収入で生活する計画を立てた。会社の倉庫の2階に住み込んで働き、18年でローンを完済。マンションに入居できたのは79歳の時、巌が帰ってくる2年前のことです。当時は巌が拘置所から出てくるなんて思ってもいなかった。気を紛らわせる意味もありました

──1980年、最高裁で上告が棄却され、死刑が確定した際には仲間が敵に見えたと。

 なんだか理由は分からなかったけど、弁護士や支援者といった味方も全てが敵に見えた。それぐらい残念だった。拘置所に行って巌に「こうなったら何でもやろう」と伝え、そこで開き直った。逆境に追い込まれると強くなる。つらくても負けることはありません。「何クソ、負けるもんか」って歯向かいます無実だから絶対負けない、それが当たり前だと思って闘ってきました。

──弱音を吐くことはなかったのですか。

 性格的に泣き言を言うのは嫌いなの。恨めしいとか、悲しいとか、一切言うまいと思ってガムシャラに生きてきた。言ったってしょうがないでしょう。話を聞いてくれた方が困っちゃう。負担になるのが嫌なのよ。相手に負担をかけるよりも自分が我慢する。こういう状況に置かれてからなおさら、そう考えるようになりました。

──親孝行だと思って巌さんを支えたそうですね。

 母親は「巌はダメかいねえ」「巌はダメかいねえ」と、うわ言のように繰り返し、死刑判決の2カ月後、68歳で亡くなりました。私たちはきょうだいだから我慢できるけど、巌を産んだ母親はどんな思いだったのか。私はロクに親孝行をせなんだ。母親のつらさ、悲しさ、苦労を見ていたから「ここらでひとつ、親孝行するか」って乗りかかったの。ほとんどの裁判に行っていた母親が、ある時、「ひで子、今日、裁判所で知らないおじさんが『この裁判はおかしいね』って声を掛けてくれたの」ってうれしそうに電話をしてきた。その言葉が今も耳に残っています

──心が折れそうになったことは。

 一切ありません。こんな理不尽なことがあるか、と思っていたから。いつかどこかで分かってくれる人がいると信じていた。初めの頃は「なんで、うちだけこんな酷い目に遭うんだろう」って思ったこともあった。昔は警察に取り調べられると、それが息子であっても縁を切るとか、「あんなもん、うちの息子じゃない」と言って見捨てちゃうの。真実も分からないうちに切り離して見捨てちゃう。だから冤罪が増える。でも、うちの場合は「そうはいくか」ってね。

──どれくらい拘置所に面会に訪れたのですか。

 初めの10年間は半年に1回、その後の30年間は毎月行っていた。そのうち拘禁症状がひどくなり、本人が面会を拒否するようになった死刑確定から約7年の間に会えたのは1回きりで、それも時間は1分間ほど。でも行かなきゃ、本人と連絡取れません。手紙出しても読むわけじゃない。「姉さんが来たよ」って伝えてもらっても、「姉さんいない」って拒否する。完全におかしくなったわけじゃないから、どこかで私だって分かってくれるはず。そう思って、「家族は見捨ててないよ」っていうメッセージを送るために、会えなくても何度でも通いました

──いつも笑顔で明るく、前向きですね。

 意識はしてません。巌が拘置所にいた頃はおっかない顔をしていました。集会に行ってもニコリともせずに言いたいことを言っていた。それまでの30年間は精神的にも外に出て笑うどころじゃなかった。10年前、巌が拘置所から出てきて変わった。巌と生活するには明るくしないと。暗い顔をしていたら巌の病気も治りゃせん。つまらないこと考えたって何も解決しないのよ。それより、ニコニコしてりゃあ、いいことが舞い込んできます。

──残りの人生をどう楽しみますか。

 2人とも余命いくばくもないんだけど、巌もせっかくシャバに出てきたんだから、もう10年ぐらいは頑張って生きてもらわないと。欲をかいてもしょうがないけど、私もやりたいこと、やることはまだいくらでもあります。性格的にジッとしているのが好きじゃないので、再審法の改正や冤罪被害者の救済にも極力協力していくつもりです。まだ終わりじゃない。まだまだこれからですよ
             (聞き手=滝口豊/日刊ゲンダイ)

袴田ひで子(はかまた・ひでこ) 1933年、静岡県生まれ。6人きょうだいの下から2番目。中学卒業後、地元の税務署に就職。13年勤務ののち民間の税理士事務所に転職。事件後は食品会社で経理を担当し、その後、弁護団の法律事務所で81歳まで現役で勤務を続けた。

残念な国になった日本/日本民主主義の力が問われる(植草一秀氏)

 植草一秀氏が、
 12月31日付で「残念な国になった日本」を、
 そして
 1月1日付で「日本民主主義の力が問われる」を載せました。
 時系列順に紹介します。
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残念な国になった日本
              植草一秀の「知られざる真実」 2024年12月31日
2024年が幕を閉じようとしている。元旦の午後4時10分、能登半島でマグニチュード76の巨大地震が発生した。石川県志賀町で震度7の揺れを観測した。
地震の揺れの激しさを示す地震加速度最大値は石川県志賀町で観測された。数値は2828ガル。2011年3月11日の東日本大震災で観測された地震加速度は2933ガルだったから、東日本大震災並みの強い揺れが発生したことになる。
石川県志賀町に北陸電力志賀原子力発電所がある。原発稼働中の地震であったならフクシマ事故が再現された可能性がある
また、激しい揺れに見舞われた能登半島先端の珠洲市にはかつて原発建設計画があった。
ここに原発が建造されていればどのような事態が生じたのか。想像を絶するものがある。

震災発生から1年の時間が経過するが、奥能登地方ではいまなお水道が復旧していない。
水道メーターまでの復旧が完了してもメーターから内側の住宅内部の配管工事が完了しなければ水道を利用することができない。いまなお自宅で風呂に入ることもできない生活が強要されている。現地の人々は怒り心頭に発しているが、もはや行政に期待することも諦めているとの心情を吐露されている

日本政府にお金や人力がないわけではない。あぶく銭のように巨大な血税が散財されている。
2020年度から23年度の4年間に補正予算に計上された歳出予算は154兆円そのすべては国債発行で賄われた。豆腐を買う感覚で1兆、2兆の血税が散財されてきた。
ロケットを上げる補助金には1兆円のお金がばら撒かれる。
半導体の工場を作る補助金には3兆円のお金がばら撒かれる。
コロナの病床確保の名目で国公立病院には6兆円ものお金がばら撒かれた。

「百害あって一利なし」と言われるワクチンに47兆円もの血税がばら撒かれた。
しかし、能登の復興に注ぐ公費はない。能登半島は本年夏に大水害にも襲われた。
土砂の撤去作業には人力が必要だが、政府は「ボランティアが足りない」と叫ぶ。
ボランティアは「自発的」に行われる善意の産物。国が「強要」するものでない。
国が責任をもって人々の最低限度の生活を保障することは憲法が規定する国家の責任ではないか。

私たちが暮らす日本とは、このような寒々しい国である。
巨大な資金を税金で巻き上げておきながら、国民のためにその血税を使わない。国民から巻き上げた血税は一部の人々が自分たちのお金にしてしまっている。
言語道断の放漫財政を実行しておきながら、「お金が足りない」と言っては国民全般に対する財政支出を切り込み、庶民に増税の負担を押し付ける。3年間で国民税負担が113兆円も増えたのに、税負担を減らす話になると減った分の穴埋めを求める
財務省の本性が露わになっている。この財務省にひれ伏す「ザイム真理教政治」が横行している。

2025年、日本は敗戦から80年の節目を迎える。この節目に際して一番大切なことは「平和憲法を守ること」。
そして、国民全体を苦しめる政治を排除して、国民のための政治、国民のための政府を打ち立てることだ。
1947年、新しい憲法が制定された。制定の経緯を踏まえて、自分たちの手で憲法を作り直すという主張が示された時期もあったが、誰が制定に関与しようが、「良い憲法は良い憲法」であるし、「悪い憲法は悪い憲法」だ。日本人が主導して制定したら「良い憲法」にならなかった可能性が高い
せっかく「良い憲法」が制定されたのだから、「良い憲法」は守る必要がある。
「良い憲法」を守り、「悪い政府」を作り変える。
これが敗戦から80年を迎える2025年の大きな課題になる。

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日本民主主義の力が問われる
                植草一秀の「知られざる真実」 2025年1月 1日
みなさま新年あけましておめでとうございます。2025年があけました。
本年がみなさまにとって最良の一年になりますようお祈り申し上げます。
本ブログ、メルマガをご高読くださいましてありがとうございます。
みなさまとともに本年もさまざまな事象を考えて参りたく思います。
なにとぞご指導ご鞭撻を賜りますよう謹んでお願い申し上げます。

一年の幕開けに際して「和顔愛語」という言葉をお贈りしたいと思います。和やかな顔、優しい言葉。世の中を少しでも明るくするために「和顔愛語」を心がけてゆきたいと思います。
経済の停滞が長く続くのに、政府は私たちに対する給付を切り刻み、私たちの負担を増大させることばかりに執心しています。

しかし、本来、政府は私たちの意思で、私たちのために創設されるものです。
これが十分に機能しているなら、私たちの意思に沿う、私たちの幸福を実現するための政府が創設されているはずです。
それが、そのようになっていないこと。この現実を認識して、どうすれば、本来の姿に創り変えることができるのか。このことをよく考えて、その実現に向けて力を注いでゆくことが大事だと思います。
微力ですが、みなさまと共に、より良い明日をつくるため、力を尽くして参りたく思います。
本年もなにとぞよろしくお願い申し上げます。

米国では主権者が選択してドナルド・トランプ氏を新しい大統領に選出した。
バイデン大統領が大統領選への出馬を辞退して、公認候補がカマラ・ハリス氏に切り替えられた。民主党の大統領候補選出の際にはカマラ・ハリス氏に対して低い評価しか示さなかったメディアが手のひらを返してカマラ・ハリス氏を絶賛する報道を展開した。
トランプ元大統領に対しては多くの訴訟が提起されていたこともあり、犯罪者呼ばわりする報道が圧倒的に多かった。
日本の報道でもテレビ朝日「報道ステーション」司会の大越健介氏などはトランプ氏を貶める発言に終始していた。

ところが、米国民は新しい大統領にトランプ氏を選出した。
トランプ氏が完ぺきな人間であるとは思われないが、米国民はメディアの情報誘導に流されずにトランプ氏を新しい大統領に選出した。その力は特筆に値する

お隣の韓国では尹錫悦大統領に対する弾劾決議が議会で可決された。
尹錫悦大統領が12月3日夜に、突然、非常戒厳を宣布したことが弾劾の理由。
議会における弾劾決議を促したのは韓国民衆の強い抗議行動だった。
韓国でも主権者である民衆が政治の変革を実現する強い力を発揮している。

これに対して日本では、主権者である民衆が自らの力で政権を刷新したことが僅かにしか存在しない。1955年に自民党が創設され、自民党が長期にわたり日本政治を支配し続けてきた。
わずかに1993年に野党が結束して政権を樹立。自民が野党に転落した。
また、2009年には鳩山由紀夫民主党が総選挙に大勝して政権刷新を実現した。
1955年から本年で70年の時間が流れるが、この70年間に、たった2度しか政権の刷新は実現していない。

2024年は政治刷新の兆しが見えた年だった。
自公の政権与党が衆議院で過半数を大幅に割り込んだ。野党が結束すれば新しい内閣を樹立することは可能だった。
しかし、野党の結束は実現しなかった
この日本で政治の刷新を実現できるのか。主権者である国民の幸福を追求する政権を樹立し、国民本位の政治を実現することができるのか。
日本政治の真価が問われる一年になる。
そのための方策を考察してゆきたいと思う。

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2024年を振り返る - 能登半島地震と松本人志事件(世に倦む日々)

 世に倦む日々氏が年末に掲題の記事を出しました。

 一つは、元日の能登半島地震(東日本大震災に匹敵)時における政府の不作為の問題で、かつて(20年以上前)は土砂崩れで住民が埋まったとき、若い自衛隊員が雨の中、徹夜でスコップを振るい、土の中から生存者を救出する感動の場面があったが、安倍政権のときから災害時の人命救助をやらなくなり、自衛隊の本旨は「国の防衛=中国と戦争する軍隊(米軍の二軍)」にあるとされて、被災者への救援物資の配給や仮設風呂の提供などに限定されました。
 世に倦む日々氏は、「官邸のHPによると自衛隊員の派遣数は、1/1 の初動は1000人だが1/4 から活動人員を2000人にするとある」などと克明に派遣数を調べ圧倒的に少なすぎると指摘しました。
 しかし、実際に自衛隊で実働したのは1/13 まででわずか760人でした。後は推して知るべしです。
 24.1.08)救出活動やる気がない自衛隊と岸田官邸 なぜ施設科を本格投入しないのか
  24.1.10)陸自普通科は3連隊のみ、消防も活動規模を増やさず 政府の不作為

 もう一つは松本人志事件で、これは5億円余りの損害賠償請求を松本側が11月になって取り下げて決着となりました。これでもしも松本が公然と芸能界に復帰するようなことになれば松本側の勝ちになってしまったのですが、12月になって、週刊文春によって突如「中居正広」問題が明らかにされたことで、松本人志事件の騒動が再現される格好になりました。
 そしてどうやら中居正広の事件は松本人志の事件と繋がっていて、松本人志の汚い性的トラブルの渦中に加害側の一人として中居正広が登場する可能性が示唆されている」として、「週刊文春と松本人志との間の死闘は終わったわけではなく続いているし、フジテレビの性上納システムで美味い汁を吸ったのは果たして中居正広だけなのか。ジャニーズでも類似の問題が存在したが、性上納システム(という女性の人権を蹂躙する悪質な商慣習)を回していたマスコミは、フジテレビ一社だけなのか」と、世に倦む日々氏は問題提起しています。
 中居による犠牲者は決して一人ではなさそうで、フジTVに代表されるメディアの闇は深そうです。
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2024年を振り返る - 能登半島地震と松本人志事件
                      世に倦む日日 2024年12月29日
能登半島地震と棄民
元日(2024.1.1)に能登半島で震度7の大地震が発生。帰省した家族も含めて一同が実家に揃い、正月の宴を囲んで憩う場を地震が直撃した。関連死を含めて石川県だけで456人が死亡している。また、9月21-22日には震災の被災地を豪雨災害が襲い、一年の間に二重の激甚災害に見舞われる不幸となった。日本の一つの地域が、畳みかけるように続けてかく厳しい運命に遭遇するのを見るのは初めてで、気の毒で言葉もない。今から一年前になるが、能登半島地震に直面して二つの記事を書いた。その中身は、自衛隊の不作為に対する告発  政府の棄民政策に対する批判である。そして、不作為と棄民が目の前で冷酷に進行しているのに、それを指弾するどころか、逆に隠蔽して正当化し、棄民政策遂行の機構的一部として加担しているマスコミに対する憤激を書いた記事を二つ上げ、もうそれ以上何も言うことができなくなり、細部に関心を向けられなくなった

年をとり、精神に粘りがなくなったのかもしれない。テレビのキャスターたちは、震災3日目には現地に入り、輪島の朝市の焼け跡付近をぶらぶら歩いていた。珠洲市街も自由に闊歩・散策していた。まるで物見遊山している如くだった。そうしながら、道路が悪くて自衛隊が入れませんと現地から言い、来る日も来る日も、道路が寸断されていて自衛隊の救出活動を阻んでいますとワイドショーで繰り返していた。この連中の精神構造はどうなっているのだろうと、一年前も思ったし、今も訝り続けている。自衛隊が入れない場所に、なぜテレビ関係者が東京から大量に日帰り取材できるのだ。精鋭の工兵部隊を擁する陸自が活動展開できない難所に、なぜ撮影クルーが立ち入りし自在に往来できるのだ。その基本的疑問は、未だ誰からも発信されていない。公論化されていない。そして、能登半島地震の検証と総括において、棄民政策という本質的キーワードが前面に出ない

倒壊家屋から被災住民を救出するような活動は、自衛隊では陸自普通科(歩兵)が担当する。その普通科隊員が、能登地震では 1/1 に1000人の出動が指令されたきり、1/2 以降は増派されてない。記事にも書いたが、東日本大震災のとき(菅直人)は、初日で8400人が派遣され、2日後には5万人が動員されていた。私は政府資料のPDFで自衛隊の救助活動を追跡していたが、1/1 に出動指示された1000人というのも、実際に現地で動き始めたのは 1/2 から細々とであって、1/3 以降は普通科の追加が行われていない。政府は、空自と海自の航空隊の支援参加を膨らし粉”として計上し、アリバイ的な数字を作って、1/4 に2000人、1/5 に4600人と公表して世間を瞞着していた。今回、wiki を確認して驚いたが、直接救助要員として自衛隊で実働したのは、1/13 まででわずか760人だったとある。救出現場で手作業した普通科隊員は、わずか760人きりだったのだ

とんでもない事実だが、国会で追及され糾弾されたという話は聞かない。私は、二本の記事を野党の誰かが読み、国会質疑で応用してくれるものと期待していた。文章を読み上げるだけで委員会質問として十分な内容になる。数字は内閣府がPDFで上げた公表証拠であり、政府がどういう答弁を返すか興味深い。テレビ中継されれば、あるいはその質疑部分をマスコミが切り取って報道すれば、事実を知った国民は驚いただろう国民が想定していた自衛隊の救助活動と、実際の規模とがあまりに乖離しているからだ。真実は、政府は災害救助に自衛隊は使わないのであり、自己責任なのだ。消防緊急援助隊も、警察災害派遣隊も、形だけで中身はスカスカであり、理念と目標どおり整備されていない(能力がない)のだ。災害救助は、現地自治体の消防と警察が自前の能力でやるしかなく、政府は全国に「共助」を呼び掛けるだけなのだ。だからNHKが「共助」ばかり無闇に報道するのである

発災から一年となる今、マスコミがやらなくてはいけないのは、4/3 に起きた台湾東部沖地震の被災地の現状と、輪島や珠洲の現状との比較を可視化する報道だろう。花蓮の市街地は今どうなっているのか、村瀬健介や下村彩里が現地を歩き、復旧復興の進捗状況をレポートすることだ。台湾当局の災害対応は実に素早く、先進国のお手本のような救助と救援の姿を見せていた。発災から4時間後に避難所が開設され、個室テントが整然と張られ、行き届いた食事配給がサポートされ、能登とのコントラストに衝撃を受けたものだ。能登では年の瀬の今に至っても9つの避難所に41人が避難生活を余儀なくされている。また、集中豪雨で被害を受け、今も避難所暮らしを強いられている住民が316人いる。花蓮はどうだろうか。輪島の倒壊ビルは9か月以上経ってようやく解体が始まり、今も撤去工事が続いているが、花蓮の9階建てのビルはすぐに解体作業が始まり、あっと言う間に更地になった

もう一つ。憤って思う点として、政治家たちの欺瞞的な能登震災利用がある。与党も野党も被害に関心がなく、現地に入って救済する熱がなかった。世論を興す努力をしなかった。今回の震災ほど被災地と被災者が長く放置され、復旧政策の手が入らなかった例はないところが、8月中旬、岸田文雄が失脚して総裁選と代表選と衆院選の政局になった途端、政党幹部たちが防災服に身を固め、マスコミのカメラを引き連れて行脚のパフォーマンスに精を出すのである。我も我もと大名行列が始まった。被災地を出汁にして、てめえの選挙に宣伝利用するべく、8月、9月、10月、11月と、延々と能登詣での政治が続いた。その間、では、正月以来何も手つかずだと告発する現地映像が投稿され続けたのだが、何か改善の契機となる政治の動きはなかった。資材と人手がないのだとマスコミは連呼し、政治の不作為を正当化し続けた。それなら大阪万博から回せばよく、万博を延期か中止にすればいい

だが、そういう具体案を8月以降の政局で政策争点に立ち起こす者はなく、復旧救済のプランを、金額と工数を入れて説得的に提示する政治家はいなかった。立憲民主党も - 野田佳彦は明確にそうだが - 自民党と同じで棄民路線なのである。党の基軸方針は新自由主義であり、過疎の被災地は自己責任で切り捨てなのだ。その証拠に、例えば、野田佳彦は防災庁設置に(屋上屋だと)反対している

松本人志事件の騒動
今年、最も多く記事を上げたのはこの問題に関してで、1/16 から 2/9 まで6本の記事を書き散らした。その間、ずっと週刊文春を購読し続けた。一年前の年末に文春の記事が出た後、1/22 に松本人志が文春を提訴し、その後複雑な経過を辿ったが、11/8 に双方が合意して松本人志が訴えを取り下げる展開に至った。この決着は意外であり、予想外の事態である。週刊文春と被害者を応援する目的と動機で言論してきた立場として、梯子を外された気分で後味が悪い。被害女性は誌面に幾度も登場し、必ず裁判に出て証言をする、その覚悟がある、包み隠さず真実を述べて司法の判断を仰ぐと明言していた。一人だけでなく、複数の被害女性がそう決意を述べていた。途中で発生した悶着の材料からも、松本人志の不利はますます確実になっていて、文春側には余裕の勝利が待っていた。法的には松本人志は絶体絶命で、間違いなく敗訴し、芸能人としての生命が絶たれる結末に向かっていた

訴えを取り下げたのは原告の松本人志だが、取り下げ決着で合意してくれと頭を下げたのは松本人志側である。被告側の週刊文春と被害女性が合意しなければ、裁判はそのまま継続され、文春側勝訴の判決になっていた。なぜ文春と女性側が取り下げに合意したのか、文春のコメントを読んでもよく分からないし、ワイドショーでのブルシット⇒デタラメ)な解説を聞いても腑に落ちない。文春は「この取下げに際して、金銭の授受等が一切なかったことは、お知らせの通りです」と説明している。が、これを文面どおり第三者が了解するには、双方でどういう交渉があったか具体的に開示してもらう必要があるだろう。もしも本当に松本人志から慰謝料支払いがなかったとすれば、一体、被害女性たちは何に納得して裁判をやめたのか。松本人志のコメントには、「女性の中で不快な思いをしたり心を痛めたりした方がいれば、率直におわび申し上げます」という表現がある。すなわち、これは謝罪ではない

菊間千乃も「謝罪ではないと思う」と言っている。自らの非を認めた態度ではなく、事実上の開き直りを形式的な regret - 遺憾表明 - にしてお茶を濁す構文だ。謝罪ではない。そのことは、当の被害女性たちが最もよく分かっている事実だろう。しかし、これを受け入れて裁判を終了させた。女性側に何が得られたのか、全く分からず、裏で金銭が動いたとしか解釈できない。本来ならば、この松本提訴の訴訟で文春側が勝ち、続けて文春と被害女性が松本人志を提訴して、正式に慰謝料を勝ち取るというシナリオが筋である。それが法の正義が実現した理想形であり、正しい解決方式だ。そうならず、文春と被害女性側が折れて引き分けた形になっている。私は裏で金銭が動いたと見るが、仮にそうだったとして、その選択をせざるを得なかった理由があるとすれば、やはりこの訴訟が精神的に負担が大きすぎたからに違いない

松本人志を復権させたい勢力や愚衆が多く、誹謗中傷を受け続けるリスクがあり、裁判の途中で次に何が起きるか分からない。その重圧と恐怖があった所為だろうと思われる。残念だなと歯噛みしていたら、突然、中居正広の事件が発生した。最初に報じたのはポストセブンだが、週刊文春も積極的に暴露記事を書き始め、一年前に炸裂した松本人志事件の騒動が再現される格好になっている。そしてどうやら、中居正広の事件は松本人志の事件と繋がっていて、松本人志の汚い性的トラブルの渦中に加害側の一人として中居正広が登場する可能性が示唆されている。週刊文春はそれを踏まえた上で、つまり、年末から中居正広の事案が始まる展望を見据えた上で、松本人志との直接対決の裁判を手打ちに収めたのではないか。中居正広の醜聞が噴出すると、必ず連動して、松本人志に火の粉が降りかかる趨勢にならざるを得ない。週刊文春と松本人志との間の死闘は終わったわけではなく続いている

松本人志が復権して従前のようにテレビに出演し、何事もなかったかのように毒を吐いて信者を喜ばせる図が復活すれば、松本人志の勝ちであり、週刊文春の負けだろう。ジャーナリズムの正義のペンの屈服と敗北に他ならず、文春は単に部数を売って金儲けしただけという無意味でぶざまな結果に終わる。そこへ導かないためには、週刊文春は松本人志の復権を全力で阻止し、引退確定へ追い込まないといけない。中居正広の騒動の広がりは、芸能マスコミ界に宿痾として存在する性上納システムへの批判的再認識を呼び起こすに相違なく、松本人志に対する世間の目を厳しくし、松本人志を擁護して復権を手助けする関係者の環境をタイトにするだろう。フジテレビの性上納システムで美味い汁を吸ったのは、果たして中居正広だけなのかジャニーズでも類似の問題が存在したが、性上納システム(という女性の人権を蹂躙する悪質な商慣習)を回していたマスコミは、フジテレビ一社だけなのか

2025年は、そうした問題に注目が集まる年になるだろう。以上。国内政治と国際政治についてはまた別途

04- イスラエルはガザの民間人を故意に殺害しており、それは議論の余地さえない

 イスラエルによるガザ住民の殺害の悲劇は止むことがありません。イスラエル軍ガザ地区の民間人を直接 意図的に殺害し、子どもたちは頭を撃って殺害しています。
 唯一残っていた病院も、イスラエル軍は「ハマスの隠れ家」という口実で破壊しました。
 日本政府はいうまでもありませんが 何故西側のリーダーたちは米国に対し イスラエルによる住民殺害を止めさせようとしないのでしょうか。
 ケイトリン・ジョンストンが掲題の記事を出しました。
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イスラエルはガザの民間人を故意に殺害しており、それは議論の余地さえない
               マスコミに載らない海外記事 2024年12月31日
  念のため言っておくが、イスラエル国防軍がガザ地区の民間人を直接、意図的に殺害
  しているのは完全に確立された事実だ。
                ケイトリン・ジョンストン 2024年12月27日

 念のため言っておくが、イスラエル国防軍がガザの民間人を直接、意図的に殺害していることは完全に確立された事実だ。大量虐殺の初期の頃は、この事実への異論があった時期もあるが、それはもはや真実ではない。事実は明らかで、問題は解決した。今、事件が起きているのだ。
 イスラエル軍兵士は、民間人を意図的に殺害し、その後偽って彼らをテロリスト扱いしていると報道機関に話しているイスラエル狙撃兵に頭を撃たれて死んだり負傷したりする子どもに頻繁に遭遇していると数え切れないほどの医師が証言している。イスラエル・メディア報道によれば、イスラエル国防軍は民間インフラを意図的に標的にしており、ハマス・メンバーと疑われる人物が、戦場ではなく、自宅で家族と過ごしている時にAIシステムを使って彼らを特に狙っているという。

 議論は終わった。「人間の盾」議論は完全に徹底的に論破された。これが起きていることをまだ否定するなら、それはあなたの世界観があまりに間違っていて、事実と現実を否定する必要があるためだ。

 10月7日に起きたことについて、我々は嘘を吹き込まれた。10月7日をもたらしたイスラエルによる虐待についても、我々は嘘を吹き込まれた。10月7日を大義名分として、過去15か月間、何が行われてきたかについても、我々は嘘を吹き込まれた。それでも、イスラエルの行動に対する批判に応えて、10月7日についてイスラエル擁護者連中は、うわ言を吐き、真剣に受け止められると依然期待している。

 こうである必要はない。物事がなぜ現状のままでなければならないのかを説明する話を富裕層や権力者から山ほど聞かされるが、それらはただのお話にすぎない。
 歴史を通じて、あらゆる社会政治的現状には、権力に奉仕する物語があり、物事がなぜそうなっているのかを説明し、権力者がこの世で実際に働いている一般の人々より遙かに快適に暮らしている理由を正当化してきた。かつて人々は、王は神から直接権威を授かったので、一般大衆より優れ、価値があると言われていた。今日では、様々な支配者が様々な物語で自分たちの支配を正当化し、大きな不平等がなぜ素晴らしいのか説明しているが、それら物語は、王権神授説の古い物語と同じくらい架空のものだ。

 今日、社会を支配する富豪連中は、勤勉と巧みな革新により莫大な富を築き、社会で最も生産的なメンバーであるため、一銭たりとも無駄にしない権利があると信じるように我々は教えこまれている。昔の農民が王権神授説を教えられたのと同じように、資本主義があらゆる制度の中で最も公平で公正で、アメリカが主導する世界秩序が、自由と民主主義が全ての人の利益のために保護され促進されることを保証すると我々は教えられている

 これらは全て作り話で、君主の血が特別なため目に見えない神により魔法の王権が与えられたという話と同じくら真実味がない。だが、我々に考え方を教える責任のある人々や、この洗脳を鵜呑みにする人々によって、これらが重大事実として扱われている。
 現実には、我々は望む時にいつでも物事のあり方を変えることが可能で、そうしない理由などない。我々の人数は支配者より遙かに多く、現在舵を握っているオリガルヒや帝国経営者連中は、生態系を破壊し、不平等と搾取を増大させ、複数の戦線で我々を核戦争へと追い込んでいる。

 十分な数の人々がそうする意志を奮い起こせば、いつでもそのハンドルを連中から奪い取る能力が我々にはある。我々が信じているかもしれないそれと反対言説は全て、支配者連中が自分たちの利益のために我々の心に植え付けた架空の考えの戯言にすぎない。

 歴史の現時点で、政治的にホームレスであることは何も悪いことではない。この特定の時空領域で人類全体は依然酷く混乱し、機能不全に陥っており、最も優れた政治派閥でさえ自分の心理状態や内なる明晰さに責任を取らない非常に神経質な人々に支配されている。信頼できる政党や派閥を見つけられたら素晴らしいことだが、そうでない場合、誰かのワゴンに永久に縛られることなく、価値ある大義や運動が出現するたびに、ケースバイケースで支援しながら、個人として立ち上がるのは全く問題ない

 人類が成熟するにはまだ道は長く、人類の最大利益のために一貫して行動すると信頼できる統一政治派閥が出現するまで、しばらく時間がかかるかも知れない
          ・・・・・・・・・・・・・・・・・・
           (中 略)
 全ての記事は、夫のTim Foleyとの共著です。
記事原文のurl:https://caitlinjohnstone.com.au/2024/12/27/israel-is-killing-civilians-in-gaza-on-purpose-and-its-not-even-debatable/

2025年1月1日水曜日

01- 新年のご挨拶

 新年おめでとうございます

 昨年は多くの皆様にご訪問いただきましてありがとうございました

 今年もどうぞ宜しくお願い申し上げます

                  2024年 元旦