2018年7月2日月曜日

拉致問題を解決できるのか 新設「北東アジア第2課」

 7月1日新設外務省「北東アジア第2課」は、30人い北東アジア課を、韓国担当の「1課」と、北朝鮮担当の「2課」に分割したもので、安倍政権は第2課を新設する目的について「諸課題に効果的に対応するため」とアピールし、メディアも「拉致問題解決に一歩前進」と歓迎しています。
 しかしそれは実態からは遊離した話で、外務省内では、北朝鮮が安倍首相に強い反感を持っていることから「安倍政権下での拉致問題解決はまず無理」と見られているにもかかわらず、失敗したら責任を取らされるのは外務官僚です。そこで、その犠牲となる部署を新設したのではないかということです。役人も中々難儀なことです。
 
 安倍首相の下では拉致問題の解決はできないというのは素人が見ても明らかなことなので、それをどうするのかということこそが根本問題の筈です。
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拉致問題にどこまで本気か 新設「北東アジア第2課」の役割
日刊ゲンダイ 2018年6月30日
 7月1日新設される外務省のアジア大洋州局「北東アジア第2課」。現在、約30人いる北東アジア課を、韓国担当の「1課」と、北朝鮮担当の「2課」に分割する。新設される第2課は、日朝会談の実現と、拉致問題の解決に総力をあげるという。
 
 安倍政権は、第2課を新設する目的について「諸課題に効果的に対応するため」などとアピール。メディアも「拉致問題解決に一歩前進」と歓迎している。ところが、第2課について、霞が関ではきな臭いウワサが駆け巡っている。
外務省内では『安倍政権下での拉致問題解決は無理』との声が少なくない。原因は、これまで『対話のための対話では意味がない』と訴えてきた安倍首相にあります。でも、失敗したら外務官僚が責任を取らされるのは明らかです。そこで、“エリートに傷がつかないように第2課を新設したのだろう”とみられています。エリートは第1課に残し、第2課は省内のエリートに代わって、“詰め腹”を切らされる役割。国鉄の清算事業団と同じですよ」(外務省関係者)
 第2課に割り振られる人員の選考基準や人数について外務省に問い合わせると、「人事に関わる事項について、お答えすることは差し控えたい」との回答だった。
 
 新しい課をつくってまで、安倍政権は日朝会談の実現に奔走しているが、肝心の北朝鮮からは相手にされていない。
 北朝鮮労働党の機関紙「労働新聞」は、<安倍は権力の座に居続けるために、わが国の『脅威』を利用している>(28日)、<財布を見せびらかして朝鮮半島問題に干渉するのをやめるべきだ>(29日)などと、連日、批判している。
 元外交官の天木直人氏がこう言う。
「政府には、拉致被害者の生存者がいるのかどうか、検証するノウハウさえない。安倍首相の周辺には、『いずれ北は経済支援欲しさに頭を下げてくる』と主張する者もいますが、本当でしょうか。朝鮮半島の非核化が実現すれば、アメリカや中国、ロシアのビジネス資本が大量に入ってくる。日本の経済支援などあてにする必要がないのです。安倍政権下で拉致問題を解決するのは難しいでしょう。外交の失敗そのものですよ」
 
 新設される北東アジア第2課の顔ぶれを見れば、どこまで外務省が本気か見えてくる。