13日に愛媛県の被災現場を視察した安倍首相は、14日、右足の『治療を要しない』「股関節周囲炎」と診断されたため、15日の広島訪問を中止しました。前日ヘリコプターで上空から被災の状況を確認しましたが「ヘリに乗るときに痛めた」ということです。
ネットでは早速「酷暑の中の現地訪問が辛いからでは」とか、「広島では被災者から厳しい言葉を浴びせられるから避けたのでは」などという厳しい声が上がりました。
一部でそんな皮肉交じりのことを言われるのは、有名税として甘受すべきなのではと思われますが、そこは他ならぬ安倍首相なので、15日、「万全を整えた上で必ず広島の被災地を訪問する」、「広島訪問を小此木防災大臣に代わってもらっても、現場の声やニーズを復旧復興につなげていく思いに変わりはない」などと、ツイッターで約10分間で計9本を投稿した(産経新聞)ということです。
首相たるものがそんなことに大車輪になるとは・・・? と思ってしまいますが、LITERAによると、御厨貴・東京大学名誉教授は、安倍首相に以前「『やってる感』なんだから、成功とか不成功とかは関係ない」と言われたということです。つまり安倍首相にとっては「国民に対して自分が『やっている』のだということを示すことが何よりも重要で、その結果がどうなったかは関係のないことだ」という訳です。
そういう安倍氏にとって、「辛いから行くのを止めたのでは?」などと揶揄されるのは、大いに狙いに反することになり耐えがたかったのだと分かります。
LITERAの「安倍首相~“やってる感”演出に必死~」を紹介します。
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安倍首相が災害放置をごまかすために“やってる感”演出に必死!
でも実際はカジノ審議優先、河野外相はフランスで大はしゃぎ
LITERA 2018年7月16日
安倍政権の危機管理能力のなさが露呈した西日本豪雨だが、初動対応に向けられている批判をかわすためか、安倍首相は遅すぎる「リーダーシップ」を発揮(してる感をアピール)するのに躍起になっている。たとえば、きょうは非常災害対策本部会議で被災者支援策を打ち出し、「スピードが勝負です」と宣った。
だが、一方で首相動静を確認すると、安倍首相は昨日も同会議に26分間参加したあとは私邸に帰宅。本日も官邸で16分間、小此木八郎・防災担当相や菅義偉官房長官、杉田和博官房副長官らと面談したあとは、同会議に21分間出席すると、やはり私邸へ帰っていった。──安倍首相は14日に「股関節周囲炎」と診断されたため昨日に予定されていた広島訪問を延期にしており、股関節を動かすことが厳しい状態だというが、ならば、何かあっても側近や関係閣僚とすぐに面会できる公邸で過ごせばいいはず。だが、安倍首相は私邸へそそくさと戻ってしまうのである。
安倍首相は以前、政治学者の御厨貴・東京大学名誉教授に対し、「『やってる感』なんだから、成功とか不成功とかは関係ない」と語ったことがあるという(『政治が危ない』御厨貴、芹川洋一・著/日本経済新聞出版社)。数十分の会議で強い言葉だけを残し、公邸ではなくすぐに私邸に帰宅してしまう態度は、まさにこの「やってる感」でしかない。
しかも、いまは豪雨対策に全力投球すべきなのに、安倍自民党は「カジノ法案」こと統合型リゾート(IR)実施法案を今国会会期中に成立させるべく、明日17日には参院内閣委員会で首相入りの質疑をおこなう予定だ。
「赤坂自民亭」問題だけではなく、この期に及んで「豪雨対策よりカジノ審議」を優先させる姿勢を隠さないとは……。もはや戦慄すべき態度であり、野党はこの不誠実内閣に対して不信任決議案を提出して対抗するのではないかという見方も広がっている。
だが、そんななかで自民党の石原伸晃議員が、こんなことを言い出したのだ。
〈政府が豪雨災害に対処しているこの最中に、野党が内閣不信任決議案を提出するという動きがある。粛々と否決するのみだが、さすがにこのタイミングで不信任案を出すその見識は疑わざるをえない。野党が優先したいものとは一体何なのか。〉
いやいや、「野党が優先したいものとは一体何なのか」って、この人は先週の参院内閣委員会の審議を知らないのだろうか。10日、野党6党派からの“被災地最優先で”という申し入れも無視してカジノ法案審議のために内閣委員会の開催を強行、災害対応の先頭に立つべき石井啓一国土交通相をなんと6時間も委員会に張り付かせるという信じがたい暴挙に出たのは、言わずもがな安倍自民党である。見識というよりも、自民党のその神経を疑いたいくらいだ。
しかも、だ。昨日放送された『日曜討論』(NHK)では、自由党の森ゆうこ議員が、台風シーズンを迎えることで二次災害を発生させないための対策をしっかり検討していくことの重要性を説いたあと、このように述べた。
「いまこうやって与野党集まって話しているだけでも、相当いろんなことを検討できるわけですよ。だから、カジノをやっている場合じゃないですよ。国交大臣も『災害の質問に答えていますよ』って(言うけれど)、実際はカジノ法案の審議なんですよ。なんとか目を覚ましていただけませんか、自民党と公明党。カジノやめてください、災害対策に集中してください」
「カジノより災害対策に集中して」という野党議員に、自民議員が言い放った驚きの回答
あまりにも当たり前の訴えだが、この森議員の発言に対して、自民党の参院副会長である愛知治郎議員は、こう言い放ったのだ。
「カジノというお話がありましたけれども、これはカジノだけではなくIR法案、総合リゾートの推進法案でありますから、それはしっかり議論していくべきだと考えております。(中略)災害対応は急務であり、最優先で取り組むべきでありますけども、その災害が起こったからといって、ほかの課題をまったく無視していいわけではありません」
「カジノじゃなく、カジノを含むIR法案だ!」などとできの悪いご飯論法みたいなことを言ったかと思えば、「災害が起こってもカジノは無視しない」と断言するとは……。だが、朝日新聞社が14・15日におこなった世論調査では、カジノ法案を今国会で成立させることについて、「その必要はない」と答えた人が76%にも達している。「災害のせいでカジノを疎かにするな」なんて、国民は思ってはいないのだ。実際のところそんなことを思っているのは、カジノ進出を狙う安倍首相のお友だちである里見治・セガサミーホールディングス会長や、カジノを日本で早く解禁させたがっているトランプ大統領と米カジノ企業くらいのものではないのか。
安倍首相の「やってる感」ポーズに、災害発生時に内輪でどんちゃん騒ぎ、「災害対応よりカジノ」という本音……。どこまでも安倍自民党は腐っているとしか言いようがないが、さらにここまできてもなお醜態を晒した閣僚がいる。河野太郎外相だ。
河野外相は14日、フランス・パリでおこなわれた革命記念日の軍事パレードに出席。安倍首相が8日になるまで非常災害対策本部を設置せず、その上、外遊取りやめを9日になるまで決断しなかったのは、自衛隊も参加するこのパレードに是が非でも出席したかったからではないかとも囁かれているが、渡仏した河野外相は安倍首相の分まで楽しもうと思ったのか、フランスから連続ツイート。それは、仏外務省内にあるという豪華絢爛な「王の寝室」のレポートだった。
河野太郎外相はフランスで大はしゃぎ!王様のベッドに寝転んだ写真をSNSに投稿
〈フランス外務省には、王の寝室と呼ばれる部屋があります。イギリスのジョージ六世が訪仏した時の寝室に用意された部屋だそうです〉
〈王の寝室には金のバスタブが。〉
〈女王の寝室と銀のバスタブもありました。フランス外務省、おそるべし。〉
いま、広島や岡山、愛媛県などの被災地がどんなことになっているのか、河野外相が知らないわけがない。避難者は体育館の固い床や段ボール製のベッドでの生活を余儀なくされているというのに、この閣僚は「王様」のベッドに横たわった自身の様子などを大はしゃぎで投稿しまくったのである。
いや、被災者の気持ちを逆撫でしようとするのは、河野外相だけではない。山陽新聞の報道によれば、被災地・岡山の自民党県議たちは13日、〈安倍晋三首相(党総裁)を応援する有志の会〉を立ち上げ、岡山市内で設立総会を開いた、というのだ。こんな最中に、である。
12日付の共同通信の記事によると、11日に岡山県倉敷市の避難所を視察した安倍首相に同行した伊原木隆太・岡山県知事は、〈首相の指示でクーラーが設置されたと強調する場面もあった〉という。クーラーを設置するのは暑さによる二次被害を出さないためにも必須のことだが、なぜそれをことさら「安倍首相の指示だ」と強調する必要があるのか──伊原木知事は自民党の推薦を受けて知事に当選した人物だが、災害そっちのけで安倍首相の3選に向けた選挙戦をはじめた自民党県議たちといい、被災者を使って安倍首相に媚びを売るような伊原木知事には「恥を知れ」と言いたくなる。
だが、こうした数々の下劣な言動が止まないのは、安倍首相の「やってる感」が蔓延しきっている証拠ではないのか。とりあえず「やってる感」を演出さえしておけば、あとは災害中にどんちゃん騒ぎをしても、災害対応よりもカジノの審議を進めても、フランスでハメを外しても、被災地で露骨な動きを見せても、国民から批判されることはない。安倍首相も安倍首相を支える政治家たちも、そう高を括っているのではないだろうか。
ようするに、この国の政治は、安倍首相の舐めた手法によって、もうすでに腐りきっているのである。 (編集部)