2018年7月29日日曜日

「改憲阻止」運動を理由に川崎市教委が研究会の後援を撤回

 川崎市教育委員会が、「教育科学研究会」が同市で開催予定の年次大会に、一度出した事業後援を取り消したことが分かりました。この年次大会は、これまで主催地の各教育委員会で後援を受けてきたものです。
 後援を取り消した理由は、5つあるフォーラムのうち1つのテーマ「憲法『改正』と私たちの教育」で、討論の柱に「憲法9条『改正』阻止と記しているからだということで、市教委の担当者は「一方的な立場から議論が行われ、政治的中立性が損なわれるおそれがある」から説明したということです
 憲法を「改悪から」守ることがどうして「一方的な立場」で「政治的中立性が損なわれる」というのか、実に異常な説明と言うしかありません。
 
 外部から指摘を受けたということですが、指摘者の意図は大体想像できるところです。
 なぜ、憲法第99条(公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ)の精神に立脚して敢然と断らなかったのか、逆に安倍政権の意図に適うからとばかりにその判断基準を偏位させた醜さは、教育関係者としても情けない限りです。
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「改憲阻止」理由、後援撤回 川崎市教委 有識者のフォーラム
東京新聞 2018年7月28日
 川崎市教育委員会が、学識経験者らでつくる全国組織「教育科学研究会」が同市で開催予定の年次大会に、一度出した事業後援を取り消したことが二十七日、市教委への取材で分かった。複数開かれるフォーラムの一つで憲法改正「阻止」とうたっていることが、市教委の後援基準を満たさないと判断したという。担当者は「一方的な立場から議論が行われ、政治的中立性が損なわれるおそれがある」と説明している。
 
 同研究会ホームページによると、大会は八月十~十二日、同市中原区の法政第二中学・高校で開かれる。十日に予定される五つのフォーラムのうち一つは、テーマを「憲法『改正』と私たちの教育」として、討論の柱に「憲法9条『改正』阻止、平和と人権を進める」などと記している。
 
 市教委指導課によると、事業を後援する基準を定めた「事務取扱要領」は、「市の政治的中立性を損なうと判断されるもの」を後援しないと定めている。同研究会から同課に五月十七日付で後援申請が出され、同課は六月十一日付で承諾する通知を返送した。この時点で、フォーラムのテーマは把握していたものの、討論内容までは詳しく知らされていなかったという。
 同課は七月二十日ごろに外部から指摘を受け、二十六日に同研究会から大会内容を詳しく聞き取るなどした結果、同要領に抵触すると判断して二十七日に後援を取り消した。同日、同研究会に口頭で伝え、文書を発送した。
 
 同研究会によると、年次大会は、昨年は滋賀県近江八幡市で、一昨年は東京都板橋区で開き、それぞれ地元教委の後援を受けた。 (大平樹)