LITERAが、「安倍マネー1億5千万円」についての続報を出しました。
23日行われた野党合同ヒアリングで、総務省の自治行政局選挙部の担当者は「参院広島選挙区の場合、選挙費用の法定上限は4700万円くらい」と述べたということです。
その高額さには驚かされますが「1億5000万円」はそれを大幅に超えているので、もしもそれを参院選に使い、上限を超えたのであれば公選法247条違反(選挙費用の法定額違反)に当たります。逆に、党から支給された以上、当人にとって選挙以外に使うという選択肢はなかったのではないでしょうか。
政治資金に詳しい上脇博之・神戸学院大教授は、
「公示前の政党活動費は含まれないとはいえ、党側が法定選挙費用を上回る資金を振り込んだのは、裏ガネ、買収などなんでもアリの不正選挙を奨励しているようなもの。夫の政党支部に7500万円が振り込まれたことにも注目で、夫婦一体の選挙で、河井克行氏が不正に関与した傍証になると考えられる。政党交付金の原資は税金です。それが特定の候補者に集中して投入され、違法選挙に使われたのなら、自民党の安倍総裁にも説明責任がある。桜を見る会と同様に、政治や選挙の私物化は目に余ります(要旨)」(日刊ゲンダイ)と述べています。
河井夫妻は安倍首相の覚えが極めて目出度いということなので、そんなことで検察が立件を躊躇することは許されません。
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河井案里議員の「安倍マネー1億5千万円」はやっぱり違法!
安倍首相に嫌われた対立候補にはわずか10分の1の金額で「ひどすぎる」と激怒
LITERA 2020.01.24
公選法違反容疑で強制捜査が入った自民党・河井案里議員と夫である河井克行・前法相に持ち上がった、「安倍マネー1億5000万円」問題。昨年の参院選で広島選挙区から新人候補として自民党から出馬した案里議員の選挙に、なんと自民党本部が1億5000万円も投入していたという疑惑だ。
昨日おこなわれた参院代表質問では、立憲民主党・福山哲郎議員がこの問題を取り上げ、「考えられない金額。自民党総裁として事実かどうか答えてください」と迫り、「安倍総理の秘書が少なくとも4人、広島の選挙に手伝いに入っていたという報道もあるが、これも事実か」と問いただしたのだが、安倍首相はこの質問をスルーして答弁しなかった。
なぜ質問に答えられないのか、答えは明白だ。そもそも、これほどの巨額を動かせるのは、自民党でも安倍首相か菅義偉官房長官、二階俊博幹事長しかいない。そして、本サイトで繰り返し言及しているように、この問題の選挙は安倍首相のことを下野時代に「過去の人」呼ばわりした自民党の重鎮・溝手顕正氏を蹴落とすために、2人区の広島選挙区に安倍官邸が主導して案里氏を擁立。福山議員が言及したように、安倍首相は自ら案里氏の応援に駆けつけるだけではなく、地元・山口の安倍事務所の筆頭秘書をはじめ少なくとも4人の秘書を案里氏の選対に送り込んでいたといわれている。
つまり、選挙を私怨を晴らすために使い、その資金として1億5000万円という異常な巨額を投じていたのだ。実際、溝手陣営が党本部から受けた選挙資金は1500万円だといい、じつに10倍もの差となっている。溝手氏の支援者もテレビ朝日の取材に対して「ひどすぎる」「『新人だから倍』くらいなら許容範囲かもしれないけど『10倍』はおかしい」と憤りをあらわにしていた。
あまりにも露骨な安倍首相の肩入れぶり──。一方、安倍首相による復讐劇の“刺客”となって当選した案里議員は、昨日、「いただきましたが、違法ではありません」と大見得を切った。
だが、案里議員がそう抗弁する他方で、この金の流れをめぐっては、公選法247条違反(選挙費用の法定額違反)にあたるのではないかという声もあがっている。
選挙では各陣営が使う選挙費用については公選法で上限が定められ、上限額は選挙の種類によって異なる固定額と選挙人名簿に登録された有権者数などによって算出される。これは選挙の公平性を担保するためのものだ。法定額を超えて支出すると、出納責任者が3年以下の禁錮又は50万円以下の罰金になり、連座制の適用によって候補者も当選無効となる。
そして、昨日23日おこなわれた野党合同ヒアリングに出席した総務省の自治行政局選挙部の担当者は、参院広島選挙区の場合、選挙費用の法定上限は「4700万円くらい」と述べた。つまり、自民党本部が投入した1億5000万円の約3分の1だ。
案里議員は「違法性はない」と言うが、1億5000万円を選挙資金として投入されながら、支出をその3分の1におさめたとは考えにくい。実際、この問題をスクープした23日発売の「週刊文春」(文藝春秋)では、〈異常な「金満選挙」は選挙中から注目を集めていた〉と報じ、1回1500〜2000万円ほどかかるビラのポスティングを公示前から何回もおこなっていたことを自民党の広島県議が証言し、「菅義偉官房長官が演説に来たときは駅から数百メートルにわたって看板が立てられるなど、とにかく物量がケタちがい」とも述べていた。
河井選対に送り込まれた安倍首相の秘書4人も違法選挙を黙認か
案里氏の選挙ではすでに車上運動員、いわゆるウグイス嬢に対して法定上限額である日当1万5000円を超える3万円を支払っていたと報道され、このほかにも〈陣営の一員として選挙運動をした男性会社員に対し、約86万円を支払った〉という疑惑も浮上(共同通信2019年12月29日付)。また、案里氏の選対を取り仕切っていたといわれている夫の克行氏が関与するかたちで、複数の選挙運動員に違法な報酬を支払っていたという疑惑を「週刊文春」も伝えている。1億5000万円という巨額資金は、ほかにも違法行為に注ぎ込まれていなかったのか、さらなる追及も必要だろう。
このような違法性が濃厚な「金満選挙」が、「安倍マネー」である1億5000万円が原資になっていたとしたら、これが大問題であることは言うまでもない。そして、安倍首相の責任は極めて重大だ。前述したように、安倍首相は秘書を最低でも4人も送り込んでおり、違法な選挙実態を知りながら見て見ぬふりをしていた可能性すらある。
繰り返すが、この問題選挙は安倍首相の私利私欲のための復讐選挙だったのだ。そこで金に物を言わせて運動員を買収し、不当な選挙をおこなわれていたという疑惑にくわえ、その金の出処が安倍自民党だったのである。これはある意味、昨年の参院選や一昨年の総裁選のために「桜を見る会」を使い、税金で地元関係者や地方議員を接待してきたやり方と通底するものだ。金さえあればどうにでもなる──これが安倍首相のやり口ということなのだろう。 (編集部)