2020年1月16日木曜日

16- 「名簿はなかったことに…」官僚たちが目論んだ完全犯罪

 昨年11月参院予算委の理事懇談会に政府が提出した桜を見る会推薦者名簿4千人分)は、発行元である内閣総務官室(閣総)」の名称が白塗りで隠されていたものであることが明らかになりました(東京新聞が報道)。
 資料が黒塗りされた場合には、内容は判読できないものの「何らかの文言が隠されている」こと自体は分かります。しかし「白塗り」で隠された場合は隠されていること自体が分かりません。それは資料の改竄に相当するもので公文書偽造です。そして偽造した虚偽の資料を出すのは国会に対する冒涜で許されません。

 問題はその理由ですが、理事懇に名簿を提出する2日前(11月20日)に、衆院内閣委員会で内閣官房の審議官が「内閣総務官室(閣総)の推薦者名簿は廃棄済み」と答弁していたため、国会に知られずに発行部局名を消す必要があったからでした。
 田中龍作ジャーナルが報じました。
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「名簿はなかったことに…」官僚たちが目論んだ完全犯罪
 すべてはアベのために
田中龍作ジャーナル 2020年1月14日
  【写真説明】山井和則議員。オリジナルの文書を出すよう内閣府に求めているが、約束の時刻を過ぎても持って来ない。「本物を止めているのは誰か?」と語気を強めた。=14日、衆院16控室 撮影:田中龍作=

 官僚たちは安倍首相のウソを繕うために完全犯罪を目論んだ。
 黒塗りであれば隠したことが明らかになる。だが、白塗りにしてコピーをかければ、問題の箇所は最初からなかったことになる・・・
 “事件”のいきさつはこうだ―
 昨年11月22日、参院予算委員会の理事懇談会に、政府が桜を見る会の推薦者名簿を提出した。各省庁が保管していた4千人分だ。
 この名簿の一部に巧妙な文書改ざんがあった。部局名を修正テープで白塗りにしたうえでコピーをかけていたのだ。それが理事懇に提出された。
 白塗りにしたのは「内閣官房内閣総務官室総理大臣官邸事務所」とその略称である「閣総」。閣総は安倍首相からの推薦を取りまとめる。疑惑の核心を握る組織だ。

 理事懇に名簿を提出する2日前(11月20日)に、衆院内閣委員会で内閣官房の審議官が「内閣総務官室(閣総)の推薦者名簿は廃棄済み」と答弁していた。
 もし「内閣官房内閣総務官室総理大臣官邸事務所」と「閣総」を消さずに出したら、廃棄していないことがモロバレとなる。
 このため内閣府は白塗りの細工を施したのである。ウソにウソを重ねるというやつだ。
 政府が参院予算委員会の理事懇に提出していた改竄文書。左はしの空白には「閣総」と書かれていた。
 理事懇への書類は与野党が合意したうえで提出される。改竄した書類を出すのは、公文書偽造の罪にあたるばかりではない。国会に対する冒涜なのである。

 役人の一存でこんな大それた犯罪ができるわけがない。
 きょう14日にあった野党ヒアリングで、山井和則議員(立憲)が「決裁したのは(内閣官房)人事課長か、官房長か、菅官房長官か?」と政府側を質した。
 内閣府大臣官房の酒田元洋・総務課長は「最終的には人事課長です」と答えた。
 政治家を守るために、官僚は泥をかぶる決心を固めているようだ。
 東京新聞の追及がなければ、与野党の国会議員はガセをつかまされたままだった。
 公文書改竄すなわち歴史を改竄するという犯罪は闇に埋もれたまま。完全犯罪が成立していたのである。
~終わり~


内閣府、推薦部局隠し国会に提出 桜見る会名簿で、菅氏「不適切」
共同通信 2020/1/14
 菅義偉官房長官は14日の記者会見で、昨年11月に内閣府が「桜を見る会」の推薦者名簿を国会に提出した際、一部に推薦した部局名を隠す加工をしていたと明らかにした。「極めて不適切な対応だ。このような行為を厳に慎むよう内閣府に徹底した」と述べた。桜を見る会の招待者名簿を巡っては、公文書管理法に違反した管理簿への不記載などが既に明らかになっている。公文書のずさんな扱いが改めて浮上し、野党からの批判が強まりそうだ。
 政府は昨年11月に各府省庁が作成した推薦者名簿を参院予算委員会の理事懇談会に提出。その中で内閣府は「内閣官房内閣総務官室」の部局名の記載を消していた。