2020年1月28日火曜日

自衛隊の憲法明記は国防の根幹 と安倍首相 

 安倍首相27日の衆院予算委2019年度補正予算案の審議で、自民党小野寺五典氏の質問に答える形で「自衛隊を憲法に明記し、その正当性を確定することこそ安全保障・国防の根幹だ」と述べ、改憲に改めて意欲を示しました。
 自民党(というよりも安倍首相)の当初の考えは9条2項「戦力の不保持」を削除することだった筈ですが、それが現行の「1項、2項を据え置いたまま3項で自衛隊を明記することに方針転換したのは、日本会議の理論家:伊藤哲夫氏の作戦に従ったのでした。
 伊藤氏16年夏の参院選後、「三分の二獲得後の改憲戦略」として、この「9条3項を加える『自衛隊の戦略的加憲」を提唱しました(「明日への選択」16年9月号
 9条2項を残したままでも3項に(集団的自衛権の行使が出来る)自衛隊が明記されれば、2項は自動的に空文化されるのですが、形式上2項を残すことで護憲派の分断が図れるという狙いからでした。
 それにしてもわざわざ身内の元防衛相に質問をさせて「自衛隊明記の改憲論」を国会で口にするとはセコイ話です。

 一方、自民党の古賀元幹事長は27日、大阪市で講演し憲法9条世界遺産のようなものであり、絶対に守り抜かないといけない」とし、「自衛隊は、国際法上、すでに普遍のものとして認められており、憲法に書く必要はない。書くほうが大きな禍根を残すおそれがある」と述べました。
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自衛隊の憲法明記 首相「国防の根幹」
東京新聞 2020年1月27日
 衆院予算委員会は二十七日午前、安倍晋三首相と全閣僚が出席して二〇一九年度補正予算案の基本的質疑を行った。首相は「自衛隊を憲法に明記し、その正当性を確定することこそ安全保障・国防の根幹だ」と述べ、改憲に改めて意欲を示した。
 首相は「政治の場において、彼ら(自衛隊)の正当性を明らかにしていく責任が政治家にある」とも語り、憲法審査会で憲法論議を進めることに期待を示した。
 海上自衛隊の中東派遣に関し、近藤正春内閣法制局長官は、自衛隊が収集した情報の米軍への提供は集団的自衛権の行使に当たらないとの見解を示した。「一般論として、任務遂行のために得られた情報を他国に提供することは実力の行使に当たらない」と語った。
 中東派遣を巡る米軍への情報提供については、野党などから自衛隊が軍事衝突に巻き込まれる恐れがあるとの懸念が示されていた。
 いずれも自民党の小野寺五典元防衛相への答弁。

 首相は、自らの政権運営について「国民の厳しい声や批判に真摯(しんし)に耳を傾けながら、身を引き締めなければならない」と述べた。
 公明党の国重徹氏が「桜を見る会」を巡る問題やカジノを含む統合型リゾート施設(IR)を巡る汚職事件を念頭に「さまざまな政治不信を招く事態が、とりわけ与党内から起きている」と指摘したことへの答弁。 (上野実輝彦)


「自衛隊 憲法に書く必要ない」自民 古賀元幹事長が指摘 
NHK NEWS WEB 2020年1月27日
憲法改正をめぐって、自民党の古賀元幹事長は、安倍総理大臣が意欲を示す「自衛隊の明記」は必要ないと指摘しました。
自民党の古賀元幹事長は、大阪市で講演し、憲法9条について「世界遺産のようなものであり、絶対に守り抜かないといけない。『自衛隊は違憲だ』という憲法学者のために、自衛隊を明記する必要があるという安倍総理大臣の説明は納得できない」と述べました。

そのうえで「自衛隊は、国際法上、すでに普遍のものとして認められており、憲法に書く必要はない。書くほうが大きな禍根を残すおそれがある」と指摘しました。
また、古賀氏は、ポスト安倍をめぐって「菅官房長官に大きな期待を持っていることは間違いない」とする一方、「岸田政権を早く実現することも私の大きな使命だ。自民党の岸田政務調査会長には平和に対する不動の姿勢を持ってもらいたい」と述べました。