安部政権は、当初から「辺野古新基地建設が普天間基地の危険性を除去する『唯一の解決策』」と主張して強引に辺野古新基地建設に着工しましたが、その主張は早々に破綻しました。最大の原因は海面下90mの海底が軟弱地盤であるのに対して現有の作業船では砂杭を打つことができないということです。
政府はその事実を認め工事費用が9300億円にアップし、工事期間も12年に及ぶとする工事の変更案を明らかにしましたが、これは日程を延ばせ解決するという問題ではないし、そもそも12年間も米軍普天間基地を使い続けるなどは到底許容できないことです。
完成する見通しはなく、今後どれだけの国費を注ぎ込めば完成するのかも不明で、何よりも不等沈下の避けられない基地が完成したからといって、米軍がそこに移駐するという保障はありません。
政府はなぜこの問題を放置しようとするのでしょうか。
しんぶん赤旗が「 ~ 工事断念こそ『唯一の解決策』」とする主張を掲げました。
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主張 米軍辺野古新基地 工事断念こそ「唯一の解決策」
しんぶん赤旗 2020年1月6日
防衛省沖縄防衛局は昨年末、沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設で、完成までの期間を約12年、総工費を約9300億円とする試算を示しました。安倍晋三政権は新基地完成後の米軍普天間基地(沖縄県宜野湾市)の返還時期を早ければ2022年度としていましたが、30年代以降へと大幅にずれ込み、総工費も大きく膨れ上がることになります。安倍政権が新基地建設のために繰り返してきた普天間基地の「一日も早い返還」という口実が完全に破綻したことを証明しています。
工期、費用いっそう拡大
沖縄防衛局が新たな試算を公表したのは、辺野古東側にある大浦湾の埋め立て予定海域に「マヨネーズ」並みの軟弱地盤が広がり、当初の計画にはなかった大規模な地盤改良工事が必要になったためです。今回の試算では地盤改良を含めた埋め立て工事に約8年、その後の基地施設の建設や米軍への提供手続きなどを合わせ、完成までに約12年を要するとしています。
沖縄防衛局は今後、公有水面埋立法に基づき、地盤改良工事のための設計変更を玉城デニー県知事に申請し、承認を得なければなりません。「新基地完成まで約12年」というのはデニー知事が設計変更を承認するのが前提です。しかし、辺野古新基地に反対するデニー知事が承認するはずはありません。
埋め立ての工程が沖縄防衛局の計画通りに進む保証も全くありません。軟弱地盤は最大で海面下90メートルまで及び、そうした改良工事は国内に例がありません。
しかも、沖縄県の試算では、18年末から辺野古南側海域で強行されている土砂投入の総量は、19年10月末現在、大浦湾側を含む埋め立て工事全体に必要な土砂量の1%にすぎません。現地での座り込みなどの抗議行動が工事の見通しが立たない状況を生み出しています。「およそ1年で1%しか進捗(しんちょく)しないとすれば、埋め立ての完了までには単純計算で100年かかる」という声さえ上がっています。
辺野古の新基地建設問題は、1996年の日米両政府による「沖縄に関する特別行動委員会(SACO)」最終報告を出発点にしています。同報告では、普天間基地の返還は早ければ2001年の予定でした。その後、先送りが続き、両政府が13年に合意した「沖縄における在日米軍施設・区域に関する統合計画」では、普天間基地返還は「2022年度またはその後」とされました。今回の沖縄防衛局の試算では返還は早くても30年代以降となり、SACO最終報告からは30年以上も遅れ、実際には新基地建設のめども立たない事態になっています。
普天間基地の即時閉鎖を
総工費が約9300億円にとどまる保証もありません。沖縄防衛局は新基地建設の事業費として既に約1471億円を支出したとしています。土砂の投入量が全体の1%にしか達していないにもかかわらず、政府が2014年に国会答弁した総工費3500億円の4割以上を投じたことになります。
安倍政権は、辺野古新基地建設が普天間基地の危険性を除去する「唯一の解決策」だという立場に固執しています。しかし、沖縄の民意を無視した新基地建設工事を断念し、普天間基地を即時閉鎖・撤去することこそ「唯一の解決策」であることは今や明白です。