2020年1月25日土曜日

25- 日本YWCAが「中東への自衛隊派遣に関する抗議声明」を出す

 公益財団法人日本YWCA12日、安倍首相、茂木外相、河野防衛相宛の「中東への自衛隊派遣に関する抗議声明」を出しました。
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2020年1月12日
内閣総理大臣 安倍晋三 
外務大臣   茂木敏充 
防衛大臣   河野太郎 

中東への自衛隊派遣に関する抗議声明

公益財団法人日本YWCA
  藤谷佐斗子
総幹事 尾﨑裕美子

 日本YWCAは、中東への自衛隊派遣の閣議決定の撤回と、即時撤退を求めるとともに、武力による支配を進めようとしている現政権に対し、強い抗議の意思を表明いたします。

 日本政府は2019年12月27日自衛隊の中東派遣を閣議決定し、2020年1月11日から派遣を開始しました。
 防衛省設置法に基づく「調査・研究」目的で海上自衛隊の護衛艦とP-3C哨戒機が活動し、活動範囲はオマーン湾、アラビア海北部、バベルマンデブ海峡東側のアデン湾の3海域でいずれも公海上だと報道されています。防衛省設置法第4条に基づく調査・研究目的の派遣では武器使用が認められません。このため、日本関係の船舶が攻撃されるなど不測の事態が起きた場合は、自衛隊法第82条の規定に基づき、海上警備行動を発令することにより対応するとしていますが、海上警備行動や武器等防護(自衛隊法第95条及び第95条の2)での武器使用が国又は国に準ずる組織に対して行われた場合は、「武力の行使」にあたるおそれがあり、その場合には日本国憲法第9条に抵触します。またそのような重大な決定を、国会の審議を経ず閣議決定で行ってしまうことに、強い危機感を覚えます。

 日本政府は湾岸戦争後の1991年以来、度重なる自衛隊派遣を行ってきました。
 特に近年は、米国単独の要請に応えて派遣を決定しています。2001年9月11日、米同時多発テロの発生後、小泉純一郎政権はテロ対策特別措置法を制定し、海上自衛隊艦艇をインド洋へ派遣しました。その後9年間にわたり、米艦艇などへ無償で燃料を洋上補給し、米軍によるアフガニスタン攻撃を支える結果となりました。2003年、米国が始めたイラク戦争で、小泉政権が世界に先駆けて米政府への支持を表明し、イラク特別措置法を制定し、陸上自衛隊600人をイラクへ派遣しました。そして今回です。これまでの派遣でも少なくとも50名以上の派遣者が自死し、多くの隊員がPTSDで苦しんでいます

 私たちが望んでいるのは、武力による解決ではなく、外交や対話による解決です。武力は報復をよびます。しかし対話は和解につながります。武力で平和をつくることはできません。もともと中東諸国は日本に好意的な国々でした。しかし、この間の「親米」の方針により、敵国の1つに数えられることとなりました。今一度、信頼を取り戻すために、中東への自衛隊派遣を撤回し、対話による和解に努めてください。ここに強く要望いたします。