今月9日に全米370カ所でイランとの戦争反対のデモ※が行われました。
米国では25日に再び各地で対イラン戦争反対のデモが行われました。米国内だけで100カ所以上、カナダやドイツなど米国以外の同時行動をあわせると200カ所以上にのぼりました。
トランプはイランとの戦争に向け中東に3000人の兵士を送り込んだと伝えられていますが、イランを制圧するためには200万人以上の地上軍が必要といわれているので、そこにどんな意味があるのか不明です。そうまでして有志連合を頼みに、イランとの部分的な戦争を続けたいというのでしょうか。
史上空前の戦争国家であるアメリカは、「建国以来合計222年間=93%の年間 戦争をしてきた(2015年現在)」といわれています。
かつてクリントン大統領は、自身の不倫騒動で窮地に立たされる度に、イラクを空爆することで劇的に支持率を回復することを繰り返しました。要するに米国民は空爆に熱狂し、快哉を叫んだということです。
米国が戦争を続けるのは、対テロ戦争であれそれを続けないことには国が維持できないからといわれています。当然産軍複合体が戦争をしたがるわけですが、国民の一人ひとりには関係のないことなのでで、ようやく国民の間に厭戦気分が蔓延してきたようです。
米国が戦争を続けるのは、対テロ戦争であれそれを続けないことには国が維持できないからといわれています。当然産軍複合体が戦争をしたがるわけですが、国民の一人ひとりには関係のないことなのでで、ようやく国民の間に厭戦気分が蔓延してきたようです。
それとは別に26日、イラク首都の米大使館がロケット弾3発の直撃を受けました。1発は夕食時の食堂を直撃したというので人的被害も大きかったと思われます。
米政府は、イラク国内の「親イラン派」の武装勢力による犯行だと繰り返し非難していますが、米国がイランと事を構えればこうなることは当初から予想されたことでした。
しかもそれに重なる様にしてイラク国会は米軍の退去を決議したのですが、米軍はどこ吹く風とイラクの主権を無視して強盗のように居座っています。それは石油利権のためといわれています。
イラクではいま数十万人とも数百万人ともいわれる抗議デモが行われています。プライドが高いといわれるイラク国民の当然の行為です。
イラン、イラクに関する3つの記事を紹介します。(末尾のデモの写真からはイラク国民の怒りが伝わります)
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全米各地で反戦デモ「イランで惨劇繰り返すな」
国外あわせ200カ所が同時行動
しんぶん赤旗2020年1月27日
【ワシントン=池田晋】全米各地で25日、再び反戦デモが行われました。米国とイランの当面の軍事衝突は避けられたものの、戦争につながる危険な対立が続いていると訴えました。主催者発表によると、米国内だけで100カ所以上、カナダやドイツなど米国以外の同時行動をあわせると200カ所以上にのぼりました。
米首都ワシントンでは、数百人がホワイトハウス前で集会を開いた後、「正義がなければ平和もない! 米軍は中東から撤退を!」と唱和しながら、市内を行進しました。
女性反戦団体コード・ピンクのメディア・ベンジャミンさんは、イランを訪問した経験から、米国の独自制裁がいかにイラン市民を苦しめているかが分かったと語り、「制裁も経済戦争の一つの形態だ」と指摘。当面の衝突を免れたこの間に、戦争・制裁反対の運動をさらに広げようと呼び掛けました。
「全米イラン系アメリカ人評議会(NIAC)」のドンナ・ファバードさん(27)は、米イラン間の緊張激化以来、査証(ビザ)をもつイラン人留学生が入国拒否や強制送還されたり、イラン系米国人が「潜在的脅威」として当局からの監視対象になったりしていると訴えました。
高校生のアンナ・キャンベルレイドヘッドさん(17)は、「イラク戦争のような惨劇を、イランでまた繰り返すべきでない」と話しました。
イラク首都の米大使館にロケット弾3発直撃、1発は夕食時の食堂に
AFP通信 2020年1月27日
【1月27日 AFP】イラクの首都バグダッドにある米大使館に26日、ロケット弾が撃ち込まれ、3発が直撃した。数か月にわたって同大使館の閉鎖を求める抗議デモが行われているが、ロケット弾の直撃は今回が初めて。
この攻撃によって、ここ数か月相次いでいる米大使館や米軍が駐留するイラクの軍事基地を標的としたロケット弾攻撃が、危険なほどに激化していることが浮き彫りになった。
これまでの攻撃に対する犯行声明は出ていないが、米政府はイラク国内の親イラン派武装勢力の犯行と繰り返し非難してきた。
治安筋がAFPに語ったところによると、ロケット弾1発は夕食時の食堂を直撃し、2発は近くに着弾した。
イラク高官によると、少なくとも1人が負傷したが、負傷の程度や、負傷者が米国人なのか、大使館で働くイラク人職員なのかは明らかになっていない。
AFPは米大使館にコメントを求めたが、これまでのところ回答は得られていない。
攻撃はいつもより早い時間帯に発生。AFP記者は午後7時30分(日本時間27日午前4時30分)ちょうどに、チグリス( Tigris)川西岸からに爆音が聞こえたと語った。
イラクのアデル・アブドルマハディ(Adel Abdel Mahdi)首相とムハンマド・ハルブシ(Mohammed Halbusi)国会議長はロケット弾攻撃について、イラクを戦争に引きずり込みかねないものと非難した。
イラクは既に先月から、米国とイランの憂慮すべき報復合戦に巻き込まれている。
イラク国民の主権を無視して米軍は占領を続けようとする
櫻井ジャーナル 2020.01.25
イラクの首都バグダッドではアメリカ軍の撤退を求める人びとの抗議活動が続いている。その参加者はAPによると数百名、CNNによると数十万名、主催者によると250万名、400万名以上という報道もある。
アメリカの親イスラエル派のひとつであるネオコンは1980年代からイラクを制圧しようとしてきた。CIAと関係の深いサダム・フセイン政権を倒し、イスラエルの影響下にある体制を樹立してシリアとイランを分断、その上でシリアとイランを壊滅させるという戦略だ。イスラエルでは1996年にベンヤミン・ネタニヤフが首相になるが、このネタニヤフに対し、ネオコンはこの戦略を売り込む。
ウェズリー・クラーク元欧州連合軍最高司令官によると、そのネオコンの中心グループの属すポール・ウォルフォウィッツは国防次官だった1991年にイラク、シリア、イランを殲滅すると語っていた。
ネオコンの戦略で動いていたジョージ・W・ブッシュ政権は統合参謀本部内の反対を押し切り、2003年にイラクを先制攻撃してフセイン政権を倒した。そして親イスラエル派の体制を樹立しようとするのだが、これは失敗してイランとの関係が強まっていく。
イランとイラクとの関係が深まった要因のひとつは両国ともイスラム教シーア派が多数派だからである。イラク人の5割強がシーア派。スンニ派系のフセインの体制ができたのはイギリスが支配グループとしてスンニ派を選んだからだと言われている。
そこでブッシュ政権はイラクで使う手先をスンニ派に戻す。これは2007年に3月5日号のニューヨーカー誌で調査ジャーナリストのシーモア・ハーシュが指摘している。スンニ派の過激派と手を組み、シリア、イラン、そしてレバノンのヒズボラを叩き潰すことにしたというのだ。スンニ派の過激派とはアル・カイダ系武装集団で、その主力はムスリム同胞団やサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)である。
これも本ブログで繰り返し書いてきたが、1960年代からイスラエルはイラクを揺さぶるためにクルドのバルザニ家を使ってきた。現在、アメリカはクルド自治政府のネチルバン・バルザニ首相を軸にする勢力を動かしているが、その祖父にあたるムスタファ・バルザニは1960年代後半からイスラエルの情報機関モサドのオフィサーだったと言われている人物。その息子でネチルバンの叔父にあたるマスード・バルザニがムスタファの後継者だが、やはりイスラエルの影響下にあった。
バラク・オバマ大統領はムスリム同胞団を使うことに決め、2010年にPSD-11を出す。そして始まったのが「アラブの春」だ。オバマ政権もスンニ派を手先として使っている。
今ではフセイン体制の残党と手を組んでいるネオコンだが、フセインを倒した理由は親イスラエル派の体制を築き、シリアとイランを壊滅、イスラエルに中東を支配させるつもりだったはずだ。
欧米の親イスラエル派にしろ、イスラエルにしろ、イラクは中東支配の要石だと考えている。イラク国民がどのように言おうと、アメリカ軍はイラク占領を続けようとするだろう。それが中東に反米感情をさらに広めることになる。